本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『ステレオタイプの科学』(クロード・スティール著)のレビュー

よほど情報の伝播が遅い僻地(つまりど田舎)などでない限り、「女性だから」「高卒だから」などという理由で人をあからさまに差別するようなことは少なくなりました。 ただ、じつは差別行為を行わなくても「女性だから~の傾向がある」と本人が思い込んでい…

『カッコーの歌』(フランシス・ハーディング著)のレビュー

すばらしい物語に国境はありませんが、ことファンタジーというジャンルで言えば、ミステリーに並んで良質な作品がどんどん出てくるのはイギリスですね。 ちょっと挙げてみましたが、有名すぎる作品ばかりでキリがありません。 ハリー・ポッターと賢者の石 (1…

『思うことから、すべては始まる』(植木宣隆・著)のレビュー

発売前から業界内では話題になっていた本なので、すぐに読みました。 思うことから、すべては始まる 作者:植木 宣隆 発売日: 2020/07/07 メディア: Kindle版 本書は戦後2番目(当時)の大ヒットとなった春山茂雄著『脳内革命』(410万部)を編集し、現在はサン…

『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』(クリス・ヒューズ)のレビュー

成功者たちの本が世の中には溢れています。 なぜ人々が成功者たちの本を読みたがるかというと、「彼らの真似をすれば自分も成功者に慣れる」という考え(信仰?)があるからです。 ロジック自体は明快で、「成功するには正しい方法がある。そのロジックを知…

『友だち幻想』(菅野仁・著)のレビュー

私は友だちが多い方ではないです。 いまも付き合いがあるのは高校時代に1人、大学時代に2人の計3人でしょうか。 友だちの定義は難しいですし、男女によって差が出る気もしますが、私の場合は「なにも理由がなくても会える間柄」が基準かなと思っています…

『メインテーマは殺人』(アンソニー・ホロヴィッツ著)のレビュー

小説を読んでいて「すごいなぁ」と著者の筆力に感嘆することはよくあるのですが、私がとくに感心するのは「イヤなキャラクター」の描き方がうまいときです。 物語の場合、主人公の敵役とは別に、なんだか気に食わない、まじでこんな奴がそばにいたらイライラ…

『R62号の発明・鉛の卵』のレビュー

私はたまーに、暇だと土日などに開催されている読書会に参加したりします。 この本は以前(というか数年前)の読書会でだれかが紹介していたのをメモって脳内の「いつか読もうリスト」に入れていたのですが、ふいに思い出したので購入し、読みました。 本と…

『知的生活の方法』(渡部昇一・著)のレビュー

私の家には小さい本棚しかなくて、せいぜい100冊くらいしか収納できません。 ですので、必然的に溢れてしまった本は本棚の上に横に積んでおいたり、ダンボールに入れてしまっておいたりします。 たまに整理して、いらない本は処分したり、実家にお繰り返した…

『コンサル一年目が学ぶこと』のレビューなのか

「知っている」と「理解している」ことは別物であるというのは、聞いたことがある人が多いと思います。 「理解している」を「腹落ちする」に変換してもいいかもしれません。 つまり、実感を持って納得できたかどうか、ということです。 今回紹介するこの本は…

『日本人の勝算』(デービッド・アトキンソン著)のレビュー

仕事の忙しさがかなり軽減されてきているので、読書ペースが加速している今日このごろです。 Kindle Unlimitedもラインナップがけっこう変わっていたので、ガンガン読み進めています。 で、今回紹介するのはこちら。 日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義…

『ぼぎわんが、来る』(澤村伊智・著)のレビュー

私はホラーが苦手です。 ただ、「怖い話」が苦手というわけではありません。 「びっくりする演出」が苦手なのです。 だから、『不安の種』みたいなホラーマンガは読めるし、『新耳袋』みたいなホラー小説は読めます。 不安の種+(1) (少年チャンピオン・…

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介・著)のレビュー

いわゆる「健康本」って、評するのが難しいです。 健康本はその性質上、「おもしろい」とか「おもしろくない」という価値観で測れるものではありません。 「正しい」か「正しくない」か。 「役に立つ」か「役に立たない」か。 そういった指標に従わざるを得…

『13歳からのアート思考』(末永幸歩・著)のレビュー

私が美術館に行くようになったのは大学生になってからのことだったと思います。 というより、積極的に読書をするようになったのもこのころで、人生のモラトリアムを「読書」「映画」「美術」「アニメ」「麻雀」で満たしていました。 私が好きなのはバロック…

【読書】コロナ騒動で外に出られず死ぬほどヒマな人のためのオススメ本53選

年に1~2回くらい会う、働く意識高い系の友人がいるのですが、普段はビジネス書しか読まないくせに、急に「オススメの小説とかないかな」と連絡があったので、怒涛のごとくLINEを返して本をオススメしまくりました。 私みたいにもともとインドア派で、休日は…

『奇書の世界史』(三崎律日・著)のレビュー

私は普段、ビジネス系の実用書をつくっています。 実用書は「役に立つ」ことが求められます。 私がつくるような本の読者の目的は、その本を「読む」ことではなく、その本を読むことによって得られる「なにか」であるわけです。 これが小説などと毛色がちがう…

『コンテナ物語』(マルク・レビンソン著)のレビュー

世界を一変させるテクノロジーの誕生はたびたび起きてきました。 たとえば活版印刷、自動車、インターネットなどですね。 ただ、じつはそうしたイノベーションで大きな役割を果たすのは、そうした新しい技術そのものを生み出した人というよりも、それを広く…

『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(佐々木康裕・著)のレビュー

コロナウイルスが世界中で猛威を奮っている影響で外出する人が減り、経済が停滞している昨今ですが、尋常ではない影響を受けているのはリテール(小売)です。 もちろん、悪影響は時間差でほかの業種にも及ぶことが予想されますが、いかんせん、小売というの…

『ニルヤの島』(柴田勝家・著)のレビュー

私は基本的に「小説家はあまり顔を公に出さないほうがいい」と考えています。 いえ厳密に言うと、「小説家には顔を出さないほうがいい人と、顔を出してもいい人がいる」といったほうが正しいかもしれません。 たとえば筒井康隆とか京極夏彦とか村上春樹とか…

『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』(山下泰平・著)のレビュー

最近はブログから書籍化するケースが増えてきましたね。 ブログの記事が元になった書籍をまたブログで紹介するというのは、ちょっと変な感じがします。 だったら元ブログを紹介したほうが話が早いんじゃないかな、とか。 今回紹介する本も、元はと言えばバズ…

『PIXAR 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』(ローレンス・レビー著)のレビュー

ピクサーはいまではディズニーが買収しています。 しかし、もとはといえば、いまでは伝説的経営者として歴史上の人物になってしまったスティーブ・ジョブズが買収して名付け、独立させた会社であるということを知らない人が意外といるみたいです。 当時のジ…

『サブスクリプションで売上の壁を超える方法』(西井敏恭・著)のレビュー

みなさんは本を選ぶときに、どんなところで選ぶでしょうか。 タイトルとか装丁、内容(小説だったらあらすじ)、あるいは著者名あたりを見る人が多いと思います。 まあ購入をちらっと考えたら、その段階になってから値段もチェックしますよね。 編集者が書店…

『ヒトの目、驚異の進化』(マーク・チャンギージー)のレビュー

・人間の目は他者の感情を見抜く ・人間の目は透視をする ・人間の目は未来を予見する ・人間の目は死者の意思を読み取る こんなふうなことが主張された本があったら、まあトンデモ科学本かちょっとうさんくさいスピリチュアル系の本ではないかと勘ぐってし…

『折りたたみ北京』(ケン・リュウ編)のレビュー

SFというのはその性質上、著者が作品を書いた当時の社会を反映させたものになると思うわけです。 筒井康隆御大の古い短編小説などを読むと、当時の日本社会のことがなんとなく想像できますね。 くたばれPTA (新潮文庫) 作者:筒井 康隆 発売日: 2015/12/22…

『シン・ニホン』(安宅和人・著)のレビュー

昨今のビジネス実用書は二極化が進んできています。 めちゃくちゃ簡単な本と、めちゃくちゃ難しい本です。 簡単な本はとにかく図版やイラストを使い、改行をたくさんして余白を多くし、大きな見出しなどをたくさん挟んで、いわゆる「文字文字しさ」を軽減さ…

『絵を見る技術』(秋田麻早子・著)のレビュー

私は毎年、その年に読んだ本の中からとくに良かったものを10冊選んで紹介し、さらにその10冊のなかから「ベスト・オブ・ベスト」を1冊選んでいます。 しかし、2020年版の「ベスト・オブ・ベスト」は、もうこの1冊で決まってしまったかもしれません。 そのく…

『科学する麻雀』(とつげき東北・著)のレビュー

私が麻雀にハマっていたのは大学生の時だったのですが、あまり(というかまったく)強くありませんでしたので、まあ友人たちからすればカモだったと思います。 最近は本物の雀卓を囲んで麻雀をやる機会はすっかりなくなったのですが、麻雀そのものは好きなの…

『壱人両名~江戸日本の知られざる二重身分』(尾脇秀和・著)のレビュー

ONE PIECEがいま「ワノ国編」をやってますね。 ONE PIECE 95 (ジャンプコミックス) 作者:尾田 栄一郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2019/12/28 メディア: コミック 最近はジャンプの立ち読みもしなくなったのですっかり話についていけなくなりましたが、…

『獏鸚』(海野十三・著/日下三蔵・編)のレビュー

いまでは「推理小説」というジャンル名のほうが人口に膾炙しているけれど、昔だと「探偵小説」と呼ばれていたこともあります。 じゃあこの2つの違いは何かというと、あんまり明確な区別はないようですね。 ただ調べてみると、坂口安吾のエッセー「探偵小説…

年末年始はコレを読んどけアワード2019 ~小説・人文・ビジネス実用~

今年は仕事が忙しくてかなり本を読む量が減ってしまいました。 いや、言い訳をすると、本は読んでいるのです。 ただ、仕事の資料として読まなければならない本が多く、著者がかなり偏っているので、そういう場合はレビューを書いたりブログ記事にしたりしな…

『おとしどころの見つけ方』のレビュー

「交渉」というと普段の生活であまり耳馴染みがないというか、ビジネスシーンだけを連想する言葉だと思います。 ただ、じつは 「あらゆるコミュニケーションは交渉である」 というのは、一理あるのです。 そもそも「交渉」とは「話し合いによって何かを決め…