本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

ミステリー

『バールの正しい使い方』(青本雪平・著)のレビュー

ランキング参加中読書 今回紹介するのはこちら。 バールの正しい使い方 作者:青本雪平 徳間書店 Amazon この本、書店でたまたま見かけて、なんとなく惹かれて買ったものの、しばらく積読になっていた一冊です。つい先日、ふいに読んでみたら予想外(←失礼)…

『名探偵のままでいて』(小西マサテル・著)のレビュー

今回紹介するのはこちら。 名探偵のままでいて 作者:小西マサテル 宝島社 Amazon 宝島社が主催している「このミステリーがすごい!」で2023年の大賞を受賞した作品です。 著者の小西マサテルさんは、小説家としてはこれがデビュー作になりますが、もともとお…

『匿名作家は二人もいらない』(アレキサンドラ・アンドリューズ著)のレビュー

匿名作家は二人もいらない (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:アレキサンドラ アンドリューズ 早川書房 Amazon ※今回のレビューはネタバレを含むのであしからず。 私の独断と偏見ですが、本好きの人はだれでも、多かれ少なかれ「作家願望」をもっているものでは…

『老虎残夢』(桃野雑派)のレビュー

老虎残夢 作者:桃野雑派 講談社 Amazon SNSの投稿では、「タグ付け」が重要になったりしますね。 いかにフックのあるタグがたくさんつけられるか、みたいなところで注目されやすくなったりするものです。 その意味では、この本は「タグもりもり」な一冊でし…

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢 沙呼・著)のレビュー(ネタバレ注意)

※今回はレビューの性質上、思いっきり本作のネタバレを含んでしまうので、読んでない人は自己責任でお願いします medium 霊媒探偵城塚翡翠 (講談社文庫) 作者:相沢沙呼 講談社 Amazon ちょこちょことミステリーを読んでいると、なんとなく「きな臭い登…

『かがみの孤城』(辻村深月・著)のレビュー

かがみの孤城 作者:辻村深月 ポプラ社 Amazon 本をつくる仕事をしていてつねづね思うのは、「売れる本にするのであれば、内容を難しくしすぎてはいけないなあ」ということです。 ビジネス書とか実用書だと、これはとくに顕著です。 そもそも著者はなんらかの…

『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸・著)のレビュー

「クローズド・サークル」のお手本になる3冊 「論理を重ねて真相にたどり着く」のお手本になる1冊 「奇想天外で美しい謎」のお手本になる3冊 「密室もの」のお手本になる3冊 「心理的に美しい謎」のお手本になる3冊 「地の文にひそむウソ」のお手本にあ…

『羊たちの沈黙』(トマス・ハリス著)のレビュー

羊たちの沈黙(上)(新潮文庫) 作者:トマス・ハリス 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫) 作者:トマス・ハリス 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 ※ネタバレ含むので注意 今回紹介するのは歴史に名を残すサイコス…

『ヒポクラテスの誓い』(中山七里・著)のレビュー

ヒポクラテスの誓い 法医学ミステリー「ヒポクラテス」 (祥伝社文庫) 作者:中山七里 発売日: 2016/07/08 メディア: Kindle版 私がこのブログを解説したのが2015年のことなので、かれこれ5年も!書き続けていることになります。 あんまり書く気が起きないと…

『メインテーマは殺人』(アンソニー・ホロヴィッツ著)のレビュー

小説を読んでいて「すごいなぁ」と著者の筆力に感嘆することはよくあるのですが、私がとくに感心するのは「イヤなキャラクター」の描き方がうまいときです。 物語の場合、主人公の敵役とは別に、なんだか気に食わない、まじでこんな奴がそばにいたらイライラ…

『獏鸚』(海野十三・著/日下三蔵・編)のレビュー

いまでは「推理小説」というジャンル名のほうが人口に膾炙しているけれど、昔だと「探偵小説」と呼ばれていたこともあります。 じゃあこの2つの違いは何かというと、あんまり明確な区別はないようですね。 ただ調べてみると、坂口安吾のエッセー「探偵小説…

年末年始はコレを読んどけアワード2019 ~小説・人文・ビジネス実用~

今年は仕事が忙しくてかなり本を読む量が減ってしまいました。 いや、言い訳をすると、本は読んでいるのです。 ただ、仕事の資料として読まなければならない本が多く、著者がかなり偏っているので、そういう場合はレビューを書いたりブログ記事にしたりしな…

『屍人荘の殺人』のレビュー

NETABARE。 小説のレビューを書くときに最難関となるのがこれですね。 ビジネス書とか実用書の場合はあまり気にしなくてもいいのですが、小説の場合、とくにそれがミステリーだった場合、ネタバレは一気にタブーな行為になってしまうわけで、そこが文芸作品…

ほのぼのしない「おとぎ話ミステリ」 ~『むかしむかしあるところに、死体がありました。』のレビュー

おとぎ話を題材にしたミステリーそのものは、そんなに珍しくはない。

作者を信用してはいけない ~『叙述トリック短編集』のレビュー

ミステリーの読み方は人によってそれぞれだと思う。

鮮やかすぎるオバちゃん探偵の連作短編 ~『ママは何でも知っている』のレビュー~

ミステリーの世界には「探偵キャラ」がたくさんいるが、実際のところ、探偵を職業にしているのはごくごく一部である。

食用クローンが許された世界で起きるどんでん返しの殺人事件 ~『人間の顔は食べづらい』のレビュー

「怖いもの見たさ」という言葉があるように、平和な社会に生きている人間にとって「恐怖を感じる」というのはひとつのエンターテイメントだ。

タイトルがアレ~『マーチ博士の四人の息子』のレビュー~

なんだかんだミステリーが好きだ。

『大相撲殺人事件』を読んだだけだ

ちょっと前にTwitterで「あらすじがおもしろすぎる」と話題になっていたこの本を読んだ。 大相撲殺人事件 (文春文庫) 作者: 小森健太朗 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2008/11/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る

袋とじは読者の驕慢を叩き潰す ~『生者と死者』のレビュー~

私たちは、本が普通に読めることに慣れすぎてしまったのではないか。

ミステリーは短編に限る~『九マイルは遠すぎる』のレビュー?~

「ミステリー小説」といっても本当にいろいろ幅があるもので、最近、ある2冊の本を読んで、改めてそれを感じた。

西尾維新はなぜ書き続けるのか~『掟上今日子の備忘録』のレビュー~

今回紹介する本はこちら。 掟上今日子の備忘録 作者: 西尾維新,VOFAN 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/10/15 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (30件) を見る ご存知、多作エンタメ作家・西尾維新の「忘却探偵シリーズ」第一弾。

持ち上げておいて落とす技術~『紫のアリス』のレビュー~

今回紹介するのはこちら。 新装版 紫のアリス (文春文庫) 作者: 柴田よしき 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/04/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 『不思議の国のアリス』をモチーフにしたサイコミステリー。

どんでん返しの宝石箱や!~『この闇と光』のレビュー~

今回紹介する本はこちら。 この闇と光 (角川文庫) 作者: 服部まゆみ 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2014/11/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 盲目の王女レイアと父王を巡るゴシックミステリー。

映画4本のレビュー~『ゴーストバスターズ』『キング・オブ・エジプト』『シャッターアイランド』『リリーのすべて』

週末にまとめて4本、映画を見たので、ザザッとレビュー。

作家による作家のための作家の物語~『ハリー・クバート事件』のレビュー

ACCAと鬼平、好きです。 あと、『エルドライブ』が後半には化けてくるんじゃないかとひっそり期待している。

す年末年始はとりあえずこの本を読んどけ10選 2016年版(小説編)

年の瀬も近づく今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

『姑獲鳥の夏』は見た目より読みやすいぞ!

最近、Google Play Musicで篠崎愛さんの『TRUE LOVE』を購入した徒花です。

『体育館の殺人』を読んで、「読者への挑戦状」を考える

高校生時代は帰宅部だった徒花です。

青臭い……でもそれが大切なんだ~『いなくなれ、群青』のレビュー

昔は紫色が好きだったけど、その後は黄色が好きになり、最近は緑色が好きな徒花です。青が好きになったことは、ないなぁ。