本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『10歳のミッション』(齋藤孝・著)

しばらくお休みしていましたが、またボチボチ始めていきます。 今後はレビュー(自分の感想)というよりも、「分析」に近いものになるかもしれません。まあ備忘録ですね。 10歳のミッション キミを一生ささえる31の行動 (幻冬舎単行本) 作者:齋藤孝 幻冬舎 A…

『バールの正しい使い方』(青本雪平・著)のレビュー

ランキング参加中読書 今回紹介するのはこちら。 バールの正しい使い方 作者:青本雪平 徳間書店 Amazon この本、書店でたまたま見かけて、なんとなく惹かれて買ったものの、しばらく積読になっていた一冊です。つい先日、ふいに読んでみたら予想外(←失礼)…

『四つ子ぐらし』(ひのひまり・著)のレビュー?

今回紹介するのはこちら。 四つ子ぐらし(1) ひみつの姉妹生活、スタート! (角川つばさ文庫) 作者:ひの ひまり,佐倉 おりこ KADOKAWA Amazon 自分に子どもが生まれてから図書館に行く頻度が増えて、絵本のコーナーによく行くようになったのですが、そうす…

『「人それぞれ」がさみしい』(石田光規・著)のレビュー

今回紹介するのはこちら。 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える (ちくまプリマー新書) 作者:石田 光規 筑摩書房 Amazon 私は天邪鬼な性格なので、世の中でよいとされているものがあると「ほんまかいな」と思ってしまう人間です…

『名探偵のままでいて』(小西マサテル・著)のレビュー

今回紹介するのはこちら。 名探偵のままでいて 作者:小西マサテル 宝島社 Amazon 宝島社が主催している「このミステリーがすごい!」で2023年の大賞を受賞した作品です。 著者の小西マサテルさんは、小説家としてはこれがデビュー作になりますが、もともとお…

『ロボットには尻尾がない』(ヘンリー・カットナー著)のレビュー

今回紹介するのはこちら。 ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集 (竹書房文庫 か 18-1) 作者:ヘンリー・カットナー 竹書房 Amazon なにで見つけた本なのかまったく記憶がないのですが、刊行したのが双葉社なのがちょっと珍し…

『22世紀の民主主義』(成田悠輔・著)のレビュー

ブログの最終更新が昨年の5月になっていて驚きました。 私もいい年になってイロイロ忙しくなってしまったのがおもな理由ですが、このところちょっと余裕も出てきたので、ぼちぼちブログのほうも再開していきます。 ということで、再開の第一発目はこの本。 …

『匿名作家は二人もいらない』(アレキサンドラ・アンドリューズ著)のレビュー

匿名作家は二人もいらない (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:アレキサンドラ アンドリューズ 早川書房 Amazon ※今回のレビューはネタバレを含むのであしからず。 私の独断と偏見ですが、本好きの人はだれでも、多かれ少なかれ「作家願望」をもっているものでは…

『生物はなぜ死ぬのか』(小林武彦・著)のレビュー

生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書) 作者:小林武彦 講談社 Amazon ブログを初めてかれこれ7年になりますが、初めて「1か月以上更新しない」ということをやってしまいました。 まあもともと趣味として始めたブログだったので、あまり無理をしないようにや…

『バーティミアス サマルカンドの秘宝』(ジョナサン・ストラウド著)のレビュー

バーティミアス サマルカンドの秘宝 上 1 作者:ジョナサン・ストラウド,金原瑞人,松山美保 静山社 Amazon バーティミアス サマルカンドの秘宝 中 2 作者:ジョナサン・ストラウド,金原瑞人,松山美保 静山社 Amazon バーティミアス サマルカンドの秘宝 下 3 作…

『老虎残夢』(桃野雑派)のレビュー

老虎残夢 作者:桃野雑派 講談社 Amazon SNSの投稿では、「タグ付け」が重要になったりしますね。 いかにフックのあるタグがたくさんつけられるか、みたいなところで注目されやすくなったりするものです。 その意味では、この本は「タグもりもり」な一冊でし…

『タイタンの妖女』(カート・ヴィネガット・ジュニア)のレビュー

SF

タイタンの妖女 作者:カート ヴォネガット ジュニア 早川書房 Amazon ※ネタバレ入ってます SFというジャンルが問いかけてくるテーマは壮大なものが多いですが、哲学的なものも少なくありません。 つまり、 ・私たちはなんのために生きているのか ・人間とは…

年末年始はコレを読んどけ <2021年版>

ギリギリになりましたが、今年も私が読んだ本のなかからとくによかった10冊を選んでまとめておきます。 今年はわりと年末年始の休みが短めというか、実質一週間くらいしかない人が多いのではないかと思いますが、新型コロナのオミクロン株が流行の兆しを見せ…

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢 沙呼・著)のレビュー(ネタバレ注意)

※今回はレビューの性質上、思いっきり本作のネタバレを含んでしまうので、読んでない人は自己責任でお願いします medium 霊媒探偵城塚翡翠 (講談社文庫) 作者:相沢沙呼 講談社 Amazon ちょこちょことミステリーを読んでいると、なんとなく「きな臭い登…

『サクッとわかるビジネス教養 地政学』(奥山真司・監修)のレビュー

サクッとわかる ビジネス教養 地政学 新星出版社 Amazon 地政学というのはわかるようでよくわからない学問であります。 実際、本書の冒頭、「はじめに」で監修を務めた奥山真司さんも次のように述べています。 地政学とは何なのでしょう。研究者によっていろ…

『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』(川添愛・著)のレビュー

コンピュータ、どうやってつくったんですか?:はじめて学ぶ、コンピュータの歴史としくみ 作者:川添 愛 東京書籍 Amazon ちょっとご無沙汰していましたが、また更新します(理由はあとで)。 『2001年宇宙の旅』などで有名なSF作家のアーサー・C・クラークは…

『かがみの孤城』(辻村深月・著)のレビュー

かがみの孤城 作者:辻村深月 ポプラ社 Amazon 本をつくる仕事をしていてつねづね思うのは、「売れる本にするのであれば、内容を難しくしすぎてはいけないなあ」ということです。 ビジネス書とか実用書だと、これはとくに顕著です。 そもそも著者はなんらかの…

『知識ゼロからの日本絵画入門』(安河内眞美・著)のレビュー

私は仕事でビジネス実用系の本を作っているので、仕事の一環として最近売れているビジネス書とか実用書とかもよく読むのですが、最近はちゃんと「読む」ことがめっきり減ってきてしまいました。 この理由を考えると、単純に私が年をとってしまったことがある…

『完全版 無税入門』(只野範男・著)のレビュー

どの本だったかは忘れましたが、先日Amazonでとある本のレビューをザッ見ていて、「著者の主義主張が入っていてよくない」というような書き込みを見ました。 私からすれば、著者の主義主張がまったく感じられない本なんて読む必要があるんか?……などと思って…

『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚・著)のレビュー

世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた 作者:永井孝尚 KADOKAWA Amazon ある本が「いい本」か「悪い本」かというのは完全に個人の主観なので正解なんてないと思いますが、私はいち読者として本に接する場合、「世…

『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』(管賀江留郎・著)のレビュー

道徳感情はなぜ人を誤らせるのか ~冤罪、虐殺、正しい心 作者:管賀 江留郎 発売日: 2016/05/11 メディア: 単行本 鎌倉時代に浄土真宗を起こした親鸞は「他力本願」「悪人正機」という考え方を世に打ち出しました。 この考え方を端的に表現しているのが、有名…

『ネガティブ・ケイパビリティ』(帚木蓬生・著)のレビュー

新型コロナで東京都などに3度めの緊急事態宣言が出て5/31までの延長が決定しましたが、まあたぶん大多数の市民の感覚としては「はいはい」という感じであまり気に留めていない感じかと思います。 そもそも「緊急事態」というのはなんなのでしょうか。 Wikip…

『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸・著)のレビュー

「クローズド・サークル」のお手本になる3冊 「論理を重ねて真相にたどり着く」のお手本になる1冊 「奇想天外で美しい謎」のお手本になる3冊 「密室もの」のお手本になる3冊 「心理的に美しい謎」のお手本になる3冊 「地の文にひそむウソ」のお手本にあ…

『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』(岡田斗司夫・著)のレビュー

ここのところブログの更新が滞り気味なのは仕事がいろいろ忙しくてあまり本を読めなかったというのもあるのですが、同時に「これはおもしろい。紹介せざるを得ない」と感じるような本に出会えなかったことも理由の1つにあるような気がします。 おもしろい本…

『ブルシット・ジョブ』(デヴィッド・グレーバー著)のレビュー

アルベール・カミュの随筆『シーシュポスの神話』には、神々の怒りを買ったシーシュポスが、ひたすら山の山頂に岩を運び続ける罰を与えられるという話があります。 でもシーシュポスが苦労して山頂に岩を運んだ瞬間、岩は絶対に山のふもとまで転がり落ちてし…

『センスは知識からはじまる』(水野学・著)のレビュー

センスは知識からはじまる 作者:水野学 発売日: 2014/07/08 メディア: Kindle版 編集者はある程度のセンスが求められる職業であります。 たとえば本の表紙(厳密にはカバー)。 つくるのはもちろんデザイナーさんですが、デザイナーさんが出してくれた案にい…

『羊たちの沈黙』(トマス・ハリス著)のレビュー

羊たちの沈黙(上)(新潮文庫) 作者:トマス・ハリス 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫) 作者:トマス・ハリス 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 ※ネタバレ含むので注意 今回紹介するのは歴史に名を残すサイコス…

『幸せになる明晰夢の見方』(ディラン・ドゥッチロほか著)のレビュー

幸せになる明晰夢の見方 作者:ディラン・トゥッチロ,ジャレド・ザイゼル,トマス・パイゼル 発売日: 2014/11/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 明晰夢というのをご存じでしょうか。 「これは夢だ」と、夢を見ている本人が自覚しながら見る夢です。 「明晰…

『三行で撃つ』(近藤康太郎・著)のレビュー

三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾 作者:近藤 康太郎 発売日: 2020/12/12 メディア: Kindle版 どこかの本で読んだのですが、 「クライアントに感謝されるようでは、カウンセラーとしては二流」 といわれるです。 一流のカウンセリングを受けると、ク…

『職業としての編集者』(吉野源三郎・著)のレビューになっていない

職業としての編集者 (岩波新書) 作者:吉野 源三郎 発売日: 1989/03/20 メディア: 新書 私はこれまで「自分の人生を変えた本」というに出会ったことがありません。 いや、たぶん私の思考に多大なる影響を与えて、いまの私をかたちづくった本は無数にあるので…