本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『生物はなぜ死ぬのか』(小林武彦・著)のレビュー

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ブログを初めてかれこれ7年になりますが、初めて「1か月以上更新しない」ということをやってしまいました。

まあもともと趣味として始めたブログだったので、あまり無理をしないようにやろうという心づもりでいたのですが、そうはいっても1か月以上更新しないでおくのもカッコ悪いなあという感覚があり、なんとなく最低でも月に一度は更新しようかなと思ってはいたのですが、ついに破ってしまいましたね。

 

単純に公私ともに忙しすぎたせい……というのが目下、最大の理由ですが、もうひとつあるのは、いままでの読書を見直すということもありました。

そのひとつが、「Kindle Unlimited」の解約検討です。

読書好きの皆さんにおかれましてはご存じの通り、Kindle Unlimitedというサービスは、月額980円を支払うことで、対象となっている電子書籍が読み放題になるものです。

https://amzn.to/3NKR7aE

対象となる電子書籍は月ごとに入れ替わり、いったんスマホなどの端末にダウンロードしておけば、たとえ月が変わっても(ストックから解除しない限り)読み続けられるので便利に活用していたのですが、最近は一つ問題に感じることが増えました。

 

それは、Kindle Unlimitedの対象書籍を、さほど読みたくなくてもついつい読んでしまう、という問題です。

それこそ5年くらい前であれば、まだまだ暇だったし、目についた本をやたらめったら読みまくるということができましたが、いまになると時間も限られるし、集中力が続くなくなってきたので、Kindle Unlimitedの対象書籍に時間と集中力を奪われてしまうのは、とてももったいないことなのではないか、と感じるようになってきたのです。

 

とくにKindle Unlimitedの対象作品となるのは、出版社が恣意的に選んだ作品だけなので、なにかよほど戦略的な狙いがない限り、ほんとうにいま旬のベストセラーは読めたりしないことがほとんどです。

つまり、ちょっと旬を過ぎちゃったり、昔の本とか、あるいはあまり人気がない本が多数を占めるわけですね。

 

もちろん、そうした本の中に掘り出し物があったりすることもなきしもあらずですが、やっぱり外れ本であることが多いわけです。

また、読書好きの性というか、電子書籍であっても読みかけの本があるとどうしても最後まで読んだほうがいいのではないかと思ってしまう私の貧乏性なところも発揮されてしまうので、読んでも別にブログに感想記事を書きたいと思うような本ではないのに、ついつい通勤中の電車の中で読んでしまうという事態に陥ることが多々あったわけあります。

 

そんなわけで、それであれば、思い切ってKindle Unlimitedを解約してしまったほうがいいのではないかということも考えたわけですが、そうはいっても仕事の資料として、気軽に中身を確認できるものが見つかったりすることもあるし、「マンガで読破シリーズ」など、無料で読むのにうってつけのものもあったりするので、とりあえずまだ解約は保留にしています。

 

んで、Kindle Unlimited解約するかどうか問題に端を発して、「そもそももう少し読む本を選別するべき年齢に差し掛かっているのではないか」ということを最近は考え始めるようになったのです。

人生は有限であり、人間の肉体はだいたい25歳をピークに衰えていきます。

私も30歳を過ぎて肉体的には老化の段階に進みつつあるわけなので、いつまでも20代のときのように乱読する体力も時間もなくなってきました。

 

これは私の持論ですが、本の読み方というのは、年齢とともにやはり変化させるべきものでしょう。

それこそ10代とか20代であれば、いい本とか悪い本とか、そういうことはあまり深く考えずに、とにかく自分が読みたい本、読める本、目の前にある本をひたすら読みまくる、とにかくたくさん読む量をこなしていく、というのが正解だと思います。

しかし、そこそこ本を読んで30歳を過ぎてきたら、そろそろ読むべき本を絞るべき年令になっているのかな、という感じです。

つまり、安っぽい自己啓発本とかビジネス書は、息抜き程度に読むのはいいけれど、そればかり読んでいるべきではない、というのが私の考えです。

(40代、50代になったらどういう読書法をするべきなのか、ということについては、私にはわかりません。まだその年齢ではないので)

※ただし、これは「20代のときにある程度本を読んできた人の場合は」という前提がつきます。これまで読書経験がなかった人が、30代になってから読書の魅力にとりつかれた……等の場合は、むしろ手当たりしだいに読むのが正解かもしれません

※あるいは単純に、私が仕事柄、どうしてもうっすいビジネス書を読まざるを得ない状況が続いていることに飽き飽きしてきただけ、という可能性もありえます

 

ということで、私が最近ハマっているのは「新書」です。

ただ、新書と言っても硬いものから柔らかいものまでさまざまあります。やわかめの新書は結局、よくあるビジネス書とあまり大差ないので、私が意識的に読み始めているのは、「講談社現代新書」とか「中公新書」などの硬めのものです。

ただ、ベストセラーになったから、という理由で中公新書の『応仁の乱』を現在読み勧めていますが、非常に難航しています。

 

 

47万部も売れたというベストセラーですが、私なんかが読んでも専門用語と固有名詞の嵐で、まったく内容が頭に入ってきません。日本史はそんなに苦手ではなかったはずですが、おかしいな……はたしてみんな、この内容を理解しながら読み進められているのか、非常に謎です。読み終えられる気がしません。

 

もう一冊、中公新書で読み進めているのが『モチベーションの心理学』という本です。

 

 

こちらは全然とっつきやすいです。このジャンルはビジネス書でもよくあるテーマですが、本書はしっかり専門家が、最新の研究事例を上げながら詳しく紹介してくれていて、さすがそこらへんのビジネス実用書との格の違いを見せつけてくる感じが刺激的ですね。これは読んでいて、おもしろいです。

 

ちなみに、私もまだ新書の読書歴は浅いのであまりくわしいことは言えないのですが、新書のレベルはレーベルごとに分かれていて、ざっと調べた感じ、次のようなヒエラルキーを形成しているようです。

 

【↑格式が高い】

岩波新書

中公新書

講談社現代新書ちくま新書

文春新書/新潮新書集英社新書

PHP新書光文社新書朝日新書平凡社新書

 

こんな感じでしょうか。私の主観も多分に混じっているので細かいところはご容赦いただきたいところです。なお、「格式が高い」というのはイコール「内容が難しい」と思ってもらって構いません。私が読んでいる限り、「講談社現代新書」もけっこう難しいです。なんとなくのイメージですが、大学の講義をベースにしているのもが多いので、「大卒」を読者として想定しているようなイメージですかね。

 

さて前座がすっっっっっっかり長くなってしまいましたが、そういう流れの中で読んだのが、今回紹介する『生物はなぜ死ぬのか」という一冊なのです。

 

 

たいへん売れている本で、10万部を突破したようです。NHKの「おはよう日本」でも著者がインタビューを受けました。

https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/blog/bl/pzvl7wDPqn/bp/p9zmDDLzrP/

 

さて、「生物はなぜ死ぬのか」という質問を、たとえば小さい子供から投げかけられたとしたら、その答え方にはいろいろなアプローチがあると思いますが、本書では「そもそもなぜ、生物は死ぬようにプログラミングされているのか」という視点から著者の分析&持論が述べられていきます。

 

では以下、それぞれの章の概要をざっくりまとめます。

 

第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか

この世に存在するのは「生物」と「無生物」であり、その2つを分かつものはなんなのか、という話です。たとえば、「ウイルスは生物ではない」とされます。それはなぜかといえば、ウイルスはウイルスだけでは増殖できないからです。ざっくり言えば、自己複製できるものは生物だといえるわけで、私達はDNAレベルから「作っては分解して、また作り変えるサイクル」を繰り返しています。これが大事なポイントです。

 

第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか

地球の特徴の一つは生物の多様性であり、歴史を顧みると、さまざまな生物が「絶滅」していきました。この絶滅と多様性は生物全体におけるターンオーバー(作り変え)であり、環境に適応していく「進化」であるといえます。この「進化が生き物を作っている」というのが超重要です。地球全体で考えた場合、恐竜などが絶滅しから、私達人間が反映した、ともいえるわけです。

 

第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか

生物の死は大きく「アクシデントによる死(捕食されるなど)」と「寿命」にわけられます。小さい生き物はほかの生き物に捕食されることが多いので、長生きしても仕方ないから、とにかく食べられないように生きるようにシフトしました。一方、大型の動物は体が大きい分、たくさん食べないと生命を維持できないので、食料を確保するのが至上命令になります。

 

第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか

人間の場合は老化とそれにともなう病気などで死にます。そして、進化によっていまの生物が選択されているということは、「死ぬことが定められている生物が生き残るようになっている」ということです。死は必然なわけですね。人間はDNAレベルから老化し、死ぬようにプログラミングされています。これは人間という種族が生き残るために必須のプロセスなのです。

 

第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか

これがこの本のクライマックスです。

人間を始めとした生物に寿命があり、いつか死ななければいけない理由。それは種族をつねにアップデートし、生き残るためです。生物は子どものほうが多様性に満ちていて、適応力が高い、つまり、基本的に子どものほうが生物として優秀なはずなのです。極端な話をすれば、子どもが自分一人で生きていけるようになったら、親はさっさと死んだほうがよい、少なくとも子どもよりも先に死ぬようにプログラミングされているわけです(このあたりの話はセンシティブなので、本書でもいろいろフォローアップされていますが)。

 

最後にちょっと抜粋しておきます。

 

生き物が生まれるのは偶然ですが、死ぬのは必然なのです。壊れないと次ができません。これはまさに、本書で繰り返してきた「ターンオーバー」そのものです。

――つまり、死は生命の連続性を維持する原動力なのです。本書で考えてきた「生物はなぜ死ぬのか」という問いの答えは、ここにあります。

「死」は絶対的な悪の存在ではなく、全生物にとって必要なものです。第1章から見てきた通り、生物はミラクルが重なってこの地球に誕生し、多様化し、絶滅を繰り返して選択され、進化を遂げてきました。その流れの中でこの世に偶然にして生まれてきた私たちは、その奇跡的な命を次の世代に繋ぐために死ぬのです。命のたすきを次に委ねて「利他的に死ぬ」というわけです。

生きている間に子孫を残したか否かは関係ありません。生物の長い歴史を振り返れば、子を残さずに一生を終えた生物も数え切れないほど存在します。地球全体で見れば、全ての生物は、ターンオーバーし、生と死が繰り返されて進化し続けています。生まれてきた以上、私たちは次の世代のために死ななければならないのです。

 

この結論、なんというか、生命の話だけではなく、日本の社会全体とか、あるいは会社組織とかにも応用できそうな感じもします。私も、自分より一回り年下の新入社員とかが入ってくると、彼らの感覚のほうが時代に即していて、自分もどこかで身を引いて彼らにすべてを任せたほうがいいんだろうな、と感じることもあります。

 

後記

このゲーム、ダウンロードを楽しみにしながら待っていて、ようやくプレイしてみたのですが、ちょっとがっかりして、すぐにやめてしまいました。

キャラクターがガチャじゃなくてすべてポイントを利用した購入方式になっているとか、いろいろ工夫はされていると思うのですが、なんというか「コレジャナイ感」がすごいんですよね。

あと、全体的に挙動がもっさりしているというか、テンポが悪いのもすごく気になるところでした。たとえば細かいところを言えば、ポップアップされたウインドウを閉じるために、左上の小さいバツ印をしっかりタップしないといけない……といったところに小さなフラストレーションを感じたりします。

最近はウマ娘もコツコツプレイしているのですが、こちらは細かいところまですごくUIを考えられている、しっかり作られたゲームだと感じます。それと比べるといささかおそまつな出来栄えで、ちょっとガッカリしてしまいました。

ブレイブリーデフォルトは名作だったのですが、いやはやこれももう10年前のゲームとは……時の流れは恐ろしいものです。

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末様でした。