『姑獲鳥の夏』は見た目より読みやすいぞ!
最近、Google Play Musicで篠崎愛さんの『TRUE LOVE』を購入した徒花です。
もくじ
これは現在土曜日の夕方に放送しているアニメ『タイムボカン24』のエンディングテーマだ。
カレンちゃんはかわいいなぁ!
とにかくこの曲、なんというか懐かしさを感じる曲なのだ。いい曲。
『姑獲鳥の夏』
それはさておき、今回紹介するのはこちら。
もう名作だし、映画かもしれいるのでいまさら説明する必要はないかもしれないが、オカルトちっくなミステリーである。
京極夏彦氏の著作はどれも恐ろしく分厚く、「レンガ本」などと揶揄されたりする。
実際、本書もかなり分厚く、この分厚さのせいで京極夏彦に手を出していない人もいるのではないかと勝手に想像している。
京極夏彦の本が分厚い理由
だが、そうした心配はあまりしなくていいだろう。
というのも、じつは京極夏彦の本は、見た目以上にすげえ読みやすいからだ。
これはひとえに著者の筆力によるものだと思う。
そもそも、なぜ京極夏彦の本がこんなに分厚いのかというと、本筋以外のさまざまなウンチクがストーリーのいたるところにちりばめられているからだ。
たとえば本書の場合、冒頭で語り部の小説家・関口巽(せきぐち・たつみ)と探偵役の中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ・あきひこ:通称「京極堂」)の会話シーンから始まるのだが、ここで延々と「妖怪と幽霊は実在するか」というテーマで、脳科学や量子力学まで幅を広げながらいろいろと語られ、それがかなりのページを割いているのである。
もちろん、そうした妖怪談義にまったく興味がない人にとってはこの段階で挫折してしまうかもしれないが、この内容そのものが、じつは事件の真相を紐解く壮大な伏線になっているのだから仕方ないのだ。
そして、この説明もあまり難しい専門用語を使わず、適度な比喩を用いて門外漢でも理解できるように説明してくれるので、すごく親切なのである。
無意識(阿頼耶識)とか不確定性原理について無知でも、この部分を読めば非常に感覚的に理解できる。
20か月も妊娠し続けている女の怪
とりあえずあらすじを紹介しよう。
Wikipediaをベースに、徒花的な改変を加えた。
夏のある日、小説家・関口巽は友人の中禅寺秋彦の家を訪ねた。関口は「20か月もの間妊娠し続けている女」の噂を知り、本当にそんなことがあり得るのか、物知りな中禅寺に尋ねようとしたのだ。しかし中禅寺湖と京極堂は驚く様子もなく、「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と返すのだった。
だが、いろいろ調査を続けていくと、どうやらその噂は本当らしく、20か月も妊娠している久遠寺梗子(くおんじ・きょうこ)の家が、じつは代々続く「憑物筋」の家系であることや、梗子の夫が密室から忽然と姿を消したことが明らかにされていく。
関口巽は中禅寺の妹で雑誌記者をしている中禅寺敦子(ちゅうぜんじ・あつこ)や、人の記憶を見る能力を持つ探偵・榎木津礼二郎(えのきづ・れいじろう)とともにこの事件を捜査する。やがて彼は久遠寺家の経営している産婦人科で嬰児の連続失踪事件が起きていることや、「姑獲鳥」という妖怪のことを知り、不可思議なことが起こり始めるのだった。
やがて、いよいよ京極堂が重い腰を上げて、久遠寺家に赴く。そして彼は、すべての事件をひとつに結びつける真相を語るのだった。
すべての謎はひとつにつながっている
本作で読者に投げかけられる謎は以下の4つ。
・20か月も妊娠し続けているとされる久遠寺梗子の謎
・密室から失踪した梗子の夫の謎
・嬰児連続失踪事件の謎
・久遠寺家に伝わる「憑物筋の呪い」の謎
こんなに謎があると読者は混乱してしまいそうだが、そこはまた著者の技量のたまもので、特に混乱することなく読み進めていくことができる。
そしてもちろん、すべての謎はどれ一つ欠くことができず、つながっているのだ。
結末はかなり奇想天外から落ちるものだが、普通に描写すれば「ぶっ飛びすぎでしょ!」と突っ込みたくなるような真相でも、作品全体の怪しげな雰囲気とドラマチックさによってなんとなく納得させてしまう強引さもある。
しかしそれを感じさせないも作者の技量だと思う。
人気のある作品はやはりそれだけの理由があるのだ。
おわりに
本作は映画化もされていて、これも見た記憶はあるのだが、よく覚えていないので、そのうちまた見てみようと思う。
ちなみに、なぜかこれの続編で、京極堂シリーズの第2作目である『魍魎の匣』だけアニメ化されているのは不思議である。
このアニメはなかなか良作だった。
『姑獲鳥の夏』もアニメ化してほしいもんだ。
小説版も過去に読んだ記憶があるが、全然覚えていないのでこれも読みなおそうと思う。
今回はこんなところで。
それでは、お粗末さまでした。