本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『人生がときめく片づけの魔法』は片付けの本だけど片付けの本じゃなかった

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片付けも超絶苦手な徒花です。でもモノは少ないはず。しかも最近は本も、極力買わないようにしている。Kindle図書マンセー

もくじ

というわけで今回紹介するのはこちら。

人生がときめく片づけの魔法

人生がときめく片づけの魔法

 

もういまさら紹介する必要もないくらい有名な本だし、著者の方もめちゃくちゃ著名になってしまったのであえてここでは説明しない。

読み始めてすぐ感じたデジャ・ヴュの正体

とりあえず読み始めて早々、私は唐突な既読感に襲われた。こんな感じの文章、つい最近、どこかで読んだぞ…………と。そしてすぐに思い出した。これ、アレン・カーの『禁煙セラピー』と同じだ! 

 

本書は、一見すると片付けの具体的なテクニックを伝えるハウツー本のようだが、じつは「自己啓発書」なのだ! 具体的にどういうところが似ていると感じたのか、細かく説明していこう。

①根拠のない断言口調

まず本書は「あなたは絶対に片付けられる!」と根拠もなく断言してくれる。アレン・カーも「あなたは絶対禁煙できる!」と根拠もなく断言してくれる。

②「片付けられない人」を責めない姿勢

こんまり氏は「片付けられない人」を否定しない。もちろん、片付けられない人の問題点を指摘するのだが、あまりダメ出しをする感じではなく「まだ知らない人」に向けて語る感じだ。アレン・カーも、「タバコを憎んで喫煙者を憎まず」というスタンスである。

③基本的には精神論、そして同じことの繰り返し

こんまり氏の片付け方法は一貫している。「まずは捨てる」「捨てるか残すかの判断基準は手に持ったときに“ときめく”か否か」などなど。アレン・カーもタバコのやめ方については一貫している――「吸う理由」など、ないと。

④キッパリやめさせる手法

こんまり氏は「毎日ちょっとずつ片付けていくやり方」にキッパリとNOをつきつける。片付けは必ず、すべて一度に終わらせなければならないという。それが片付けの鉄則なのだ。アレン・カーも、「タバコは徐々に減らすのではなく、必ず即座にゼロにしなければならない」と口をすっぱくする。

 

――とはいえもちろん、別人が書いた本だし、テーマも違うので、相違点もいくつかある。本書を読んでいて思うのは、「けっこうユーモアが随所にある」「ちょっとスピリチュアルが入ってくる」の2点だ。

本書のハイライト

以下、個人的に気に入った箇所を、本文を引用しつつ紹介していく。が、徒花の個人的なメモ的要素が強く、そして長いので、とくに読まなくてもいい。

片付けはマインドが9割

つまり、「片づけはマインドが九割」なのです。

これこそ、本書が片付けのハウツー本ではなく、自己啓発書の一種だといえる最大のゆえん。つまり、部屋を片付けられないor片付けてもすぐに汚れてしまう人は、知識やスキルがないのではなく、そもそもマインドが根本的な原因にある。だから、まずはその根本であるマインドを変えなければならない――とこんまりさんは主張する。

多くの人は「完璧な片付け」を人生で一度も経験いていない

人は誰でも、完璧な片づけを一度でも体験すると、人生がときめくような感覚を覚えます。そして、「片づけたあと」に人生がドラマチックに変化していくのを実感します。  そうすると、もはや二度と元の散らかった状態に戻れなくなるのです。  これを私は、「片づけの魔法」と名づけました。

これはタイトルの由来のひとつ。

こんまりさんの主張のひとつに、「片付けは徹底して行われなければならない」というのがある。徹底された片づけが行われた部屋がどういう状態かというと、①不必要なものがない ②すべてのものに「定位置」がある ことを指す。

片づけでやるべきことは大きく分けて、たった二つしかありません。「モノを捨てるかどうか見極めること」と「モノの定位置を決めること」。この二つができれば、片づけは誰でも完璧にできるのです。

片づけが出来ない究極的な要因

考え抜いた末、私が出した片づけられないタイプは三つ。一つは「捨てられないタイプ」と、もう一つは「モノが元に戻せないタイプ」と、あとはそのミックス型で、つまり「捨てられないし元に戻せないタイプ」。「性格なんてあいまいな基準じゃなくて、実際に起きている現象を基準に分けるべき!」と考え抜いた結論です。

 しかし、この基準で見てみると、私のところに来るお客様の九割が「捨てられないし元に戻せないタイプ」。残りの一割が「モノが元に戻せないタイプ」です。じつは、純粋に「捨てられないタイプ」の人(捨てられないけど、元には戻せるタイプ)は存在しないことに気づきました。モノが捨てられないのであれば、そのうち絶対にモノがあふれて元に戻せなくなるからです。しかも一割の「モノが元に戻せないタイプ」の人だって、実際、片づけを始めてみれば最低三〇袋は出てくるくらい、まだまだモノが減らせていないのが実情なのです。

上ではグチャグチャ言っているが、要は「モノが多すぎる」のが原因である。

捨てるか、残すか、の判断基準は「ときめき」

「捨てる」ことだけを考えて片づけをすると、不幸になります。なぜなら、本来片づけで選ぶべきなのは、「捨てるモノ」ではなくて「残すモノ」だからです。

「そのモノを触ったときに、ときめくか」。この基準には根拠があります。そもそも、何のために片づけをするのでしょう。結局、お部屋も持ちモノも「自分が幸せになるため」にあるのでなければ意味がないと私は思います。

これがタイトルの由来その2。たしかに、人は「断捨離」などもそうだが、「何がいらないか?」に焦点を合わせてしまいがちだ。しかし、本来は「なにが必要か(なにが自分をときめかせてくれるのか?)」を重視したほうがいい。モノが持つネガティブな側面に注目するよりも、モノが持つポジティブな側面に注目したほうがいいですよ、というアドバイスなのだ。

ジャージ女の部屋にはサボテンがある

 ちなみに、ジャージ姿で過ごす独身女性の部屋には、なぜかサボテンの鉢植えが置いてあることが多いということ、知っていますか。女性なら、部屋でサボテンを育てるよりも、一輪の花を飾る暮らしのほうが断然いいと、私は思うのですが……。

 聞くところによると、サボテンはマイナスイオンをとくに多く発生する植物らしく、ジャージで過ごす女性は無意識のうちに癒しを求めて置いているのかもしれません。かわいい部屋着に着替えれば、サボテンに頼らずとも、自分からマイナスイオンを発生できる女性になれる、と考えれば、なんだかウキウキしてきませんか。

これはノーコメントにしておく。

本はどうやって選別するか?

 ですから、本の場合も、読み返すかどうかとか、身についたかどうかとかは一切考えず、一冊ずつ手にとって、ときめくかどうかだけで判断してください。手にとって本当にときめく本、本棚に置いてあるのを見るだけで、「この本がここにあるのが幸せだな」と思えるモノだけを残しましょう。

 もちろん私が書いているこの本も例外ではありません。手にとってときめかなかったら、迷わず捨ててほしいと思います。

本はタイミングが命。出合ったその瞬間が読むべき「時」なのです。その一瞬の出合いを逃さないためにも、手元には本を置きすぎないことをおすすめします。

本で言われると、なんとなくとても納得できる。手元においておきたい本……というのはあるものだ。しかし、同じくらいおもしろい本が数冊あっても、やはりそのなかで「手元の置いておきたい本」「そうでもない本」があって、その境界線はあいまいである。最後は自らの経験と勘を信じるしかない。

謎のコードの謎は永遠に解けない

 用途不明のコード類

 おそらく今あなたが見て「何のコードだろう」と思うようなモノ、それは一生使うことがありません。謎のコード類は永遠に謎のままです。

ある。

トイレットペーパー多すぎ問題

そしてトイレットペーパーのストックでは、八〇ロール。「お腹がゆるくて……すぐ使いきっちゃうんですよ」とお客様はいいますが、一日一ロール使っても三か月近く持ちます。一日中お尻を拭きつづけても使いきれるかあやしいところ。お尻が切れるかトイレットペーパーが切れるか、体を張った我慢勝負を毎日繰り広げる、だなんて考えたら、片づけ術の伝授よりも軟膏をプレゼントしたくなります。
極めつきは綿棒のストック、なんと二万本。二〇〇本入りの箱が一〇〇箱出てきました。一日一本使ったとしても、使いきるのにじつに五五年。ここまでくると、空になる頃にはものすごい耳かきの技法が編み出されているかもしれない、なんて最後の一本を使う日に思いをはせて、丸めた綿がお坊さんの頭のように神々しく見えてくるものです。

こんまりさんがこれまで出会ったクライアントの例。こういうちょっとしたユーモアも本書の魅力なのです。

マインドフルネス!

しかし結局、捨てられない原因を突き詰めていくと、じつは二つしかありません。それは「過去に対する執着」と「未来に対する不安」。この二つだけです。  もしモノの見極めをしているとき、「ときめかない。でも捨てられない」と思ったら、次のようにちょっと立ち止まって考えてみましょう。 「これって『過去に対する執着』で捨てられないのかな、それとも『未来に対する不安』で捨てられないのかな」

本書の最後の部分では精神面に突っ込んでいくが、まさかの、いま話題なマインドフルネスにまで話が及ぶ。これは禅とか瞑想に近いものがある。あらゆる道の達人は、その道を究めることで真理に到達できるのである。

片づけをすると、やせる

「片づけすると、やせます」「モノを捨てると、お肌がきれいになります」。一見すると、うさん臭い広告のようですが、これはあながちウソではありません。こればっかりはビフォアとアフターでご紹介できないのが残念ですが、実際、私のお客様もお部屋がきれいになるにしたがって、明らかに見た目の印象がスッキリし、肌の輝きや瞳のキラキラ感も強くなっていきます。

そういうもんかな。

本当は片付けなんて必要ない

これまでさんざん片づけについて書き連ねてきましたが、本当は、部屋の片づけなんてしなくてもよいのです。なぜなら、片づけをしなくても死にはしないからです。

 実際、世の中には片づけなんかできなくても気にもしない人も大勢いるはずです。でも、そういう人ならこの本を手にとりもしないでしょう。

こんまりさんは、年に2~3回しか片づけをしないらしい。「余分なものがなく」「すべてのモノの定位置が決まっている」から、あえて片づけをする必要がないのだ。

しかし、たとえ部屋が汚れていても、じつはそれはそれでたいした問題ではない。部屋が汚くても人生を成功させている人は大勢いる。こだわりすぎる必要はない。

おわりに

ワタクシ本は意識的に減らしているのだが、自分の部屋を見まして、意外と「洋服」が多いことに気づきました。靴下とか、2か月分洗濯しなくてもいいくらいある……。服を減らそう、そうしよう。

 

今回はこんなところで。

それではお粗末さまでした。