アホとついつい戦ってしまう人たち ~『頭にきてもアホとは戦うな!』のレビュー
「アホ」とか「バカ」は、あまりお上品ではないけれど、コトバとして強い力を持っているのは間違いない。
もくじ
ネガティブな言葉の持つパワー
ネガティブな意味の言葉というのは人を引きつける。
考えるに、「それって自分のことかな?」と、見た人を一瞬ドキッとさせるからかもしれないし、「あの人のことかな?」と、見た人の周りにいるだれかを想起させるからかもしれない。
逆に、読者をバカにしたようにすると、無駄にひんしゅくを買うだけになるので、使い方には注意が必要な言葉だ。
自分は自分、バカはバカ。 他人に振り回されない一人勝ちメンタル術
- 作者: ひろゆき(西村博之)
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2019/04/06
- メディア: 単行本
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書籍の世界の話で言えば、新書『バカの壁』がミリオンセラーになってから、バカと使うタイトルは増えた気がする。
で、ここに来てドラマ化も果たし、売れているのが、今回紹介するこの本だ。
出版業界は売れる本が出るとすぐにパク……オマージュするので、すでに本書に似たタイトルや装丁のものは出ている。
気が小さくても立場を悪くせずとも職場のアホを撃退できる! 都合のよすぎる方法
- 作者: イェンツ・ヴァイドナー,Jens Weidner,片山久美子
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/08/22
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本書は「現代版・孫子の兵法」である
さて本書の著者である田村耕太郎氏は元参議院議員で、現在は国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院の兼任教授を務めているとのこと。
著書は何冊も出ていて、世界で活躍する生き方や、読書の方法について書いたものがある。
- 作者: 田村耕太郎
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書の冒頭で田村氏が述べているこの本の説明は、「現代版『孫子の兵法』」というものだ。
そういう意味で、この本は「非戦の書」である。私が世界最高の非戦の書だと思う『孫子の兵法』が、2500年の時を超え、現代実社会版になったのがこの本だと自負している。その孫子の兵法で一番有名な一説として、「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり(百戦百勝といっても最高の優れた戦い方ではない。敵兵と戦わないで屈服させることこそ最高の戦い方である)」というのがある。私は、この孫子の一説をさらに進化させ「敵と戦わずに屈服させるだけでなく、その力を自分の目的を達成させることに利用する」ことをこの本で説いている。
世のなかにアホは腐るほどいるが、そんなアホとまじめに戦って勝つ(説得したり論破したりする)のを目指すのは、アホと同レベルになってしまうアホな好意であり、賢いやり方ではないわけだ。
「アホ」とはどんな人なのか?
ではここで気になるのは、田村氏の言うところの「アホ」とはどんな人物なのか、ということである。
本書ではこのように説明している。
ここで想定するアホとはどんな人物だろうか? 一言で言えば、あなたがわざわざ戦ったり、悩んだりする価値のない人間である。そして不条理な人物である。あなたにとって一見、目障りで邪魔である。時として正当な理由もなくあなたの足を引っ張ってくる当たり屋でもある。あなたに体当たりして絡んで、自分の価値を上げようとする人物だ。
アホの特徴として、以下の要素があるという。
・暇人である
・あなたに強い関心がある
・深層心理では、たぶん相手のことが好き
かのマザー・テレサは「愛の反対は無関心」と言ったらしい。
まさにそのとおりで、なにかしら突っかかってくる人は、その人、あるいはそのテーマについて強い関心を持っている人であり、それは無関心よりもむしろ愛に近い。
ついアホと戦ってしまう人はどんな人か
では逆に、まじめにアホと戦ってしまう人の特徴はどんな物があるのか?
・正義感が強い
・自信にあふれる
・責任感が強い
・プライドが高い
・おせっかい
これは私が最近思っていることなのだが、「正義ほどやっかいなものはない」ということだ。
私は基本的に性善説(この世に悪い人はいない)と考えながら生きている人間なので、客観的に見て、どれだけ凶悪なことをしている人であっても、それがその人の中の「正義」から起きたことであり、認識の違いでしかないという考えがある。
ただ、世の中には「自分の信じている正義=みんなが当たり前に感じる正義」だと思っている人もいて(これもその人の中では正義であるわけだが)、厄介なのは、それを相手にも押しつけてこようとする人がいるということだ。
正義の押しつけほど面倒くさいものはない
これに関しては、先日印象深い出来事があった。
池袋の交差点で当時87歳の男性の運転する車が暴走して31歳・3歳の母子を始めとした12名の人が死傷した事故で、運転していた男性が退院したとき、私は以下のようなツイートをした。
池袋の事故の運転手の方の退院映像見た。率直に「この人もこの人でかわいそうだな」と思ったけど、ニュースのリプ欄を見ると私のように感じる人は全然いないみたいだった。そうなんだな…
— 徒花@読書 (@Ada_bana) May 18, 2019
そうしたら、こんなリプをいただいた。
私ももらった直後にイラッ☆として、よほど反論しようかとも思ったが、調べてみるとこのアカウントは2019年5月に登録されたものだった。
おそらく、私のツイッターをフォローしているだれかが、自分のアカウントで発言したくないから捨て垢みたいな感じで、即席でつくったものだと思われる。
まあ、そういう相手に時間と労力を割いて反論するのもバカバカしいと感じたので、適当に返事をした。
言ってしまえば、この人は「ヨチヨチ歩きで車を運転して事故を起こした人が避難されるのは当然のことである」という正義を持っていて、それを私にも押し付けようとしてきたわけだ。
このあたりのことについては、過去の記事でも述べているのでご参照いただきたい。
話が脇道にそれたが、本書では「自分の中の余計なプライドを捨てる方法」「敵対する相手を味方にする人たらし術」など、アホな人と戦わずにいなす方法を紹介してくれている。
文章はスッキリ爽快、ドライな読み応えで、そこそこのボリュームはあるがサクサク読み進めていける。
ご興味があれば、ご一読あれ。
頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
- 作者: 田村耕太郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/07/08
- メディア: 単行本
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後記
マリオカートツアーのクローズドβに当選したらしいので、最近はドラガリアロストと並行して、せっせとスターを集めている。
これは今年リリースを予定してる任天堂の新作スマホゲームで、片手でマリオカートが楽しめるというものだ。
クローズドβテストというのは、リリース前の試作品を一部の人にだけプレイしてもらうという試みのことだ。
キャラクター、マシン、カイトと3つのガチャ要素があり、コースごとにポイントを稼ぎやすい組み合わせが異なるので、どれもそれなりに育てていかないとなかなかスターが集まらない。
操作性は快適で、グラフィックも綺麗なのでなかなかおもしろい。
また、コースは2周するとゴールで、1レースの時間を短縮するような工夫も凝らされている。全体的にコースも短めだ。
もっとガッツリレースが楽しめるモードがあってもいいと思うが。
今回はこんなところで。
それでは、お粗末さまでした。