本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

ホラー映画の中に迷い込んだら秒ですべきこと ~『ホラー映画で殺されない方法』のレビュー

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セス・グレアム=スミスはいま、ホラーエンタメ業界の中で間違いなく、もっともホットな人物だろう。

 

彼は『高慢と偏見とゾンビ』で鮮やかなデビューを飾り、『ヴァンパイアハンターリンカーン』も人気作となった。

 

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高慢と偏見とゾンビ *3

 
ヴァンパイアハンター・リンカーン

ヴァンパイアハンター・リンカーン

 

 

そしてなんと、世の中の人に「ピエロ・トラウマ」を植え付けた、スティーブン・キングの伝説的ホラー映画、『IT』のリメイク版のプロデュースまで手掛けているのだ。

 

 

そんな彼が、本当に世の人のために書き下ろしたのがこちらの一冊だ。

 

ホラー映画で殺されない方法

ホラー映画で殺されない方法

 

 

気を確かに持ってほしい。あなたに悪い知らせだ。今この本を読んでいるならば、あなたはホラー映画の中に閉じ込められている可能性が高い。わかってる、わかってる、馬鹿げた話に聞こえるだろう。だが、しばらくは私を信じたほうがいい。この本には、この本を必要とする相手を見つけ出してたどり着くという特性がある――つまり、この本があなたの手元にあるなら、そこにはちゃんと理由があるのだ。

 

もしもこのエントリーを読んであなたが本書に興味を持ち、Amazonで購入したいと思ったのなら、すでにあなたはホラー映画の中にいる可能性が高い。

つまりどういうことかというと、いきなり家のクローゼットのなかから刃物を持った男が飛び出してきたり、冷蔵庫の中から人食いドーナッツが襲いかかってくるかもしれない、ということだ。

 

 

とても全部を語ることはできないが、もしかするとこの本が手元に届くまでにひどいことにならないように、本書の一部だけをここで紹介しておきたい。

 

自分が迷い込んだ映画のジャンルを特定する

自分が囚われてしまったのが「パニック・ムービー」なのか、殺人鬼モノなのか、心霊・悪魔モノなのか、それともSFホラーなのか、どれによって注意するべきポイントが変わってくる。

たとえば都会にいるなら悪魔系の可能性が高い。

キャンプ場ならスラッシャーだ。

 

映画の予算を特定する

自分が迷い込んだ映画の予算がわかれば、危険度やジャンルが特定できるかもしれない。

たとえば周りの映像がパッとせず、場所が頻繁に切り替わらない、近くの机の引き出しを開けてみてすべて中身が空っぽだったりしたら、低予算映画の可能性が高い。

逆に歩いていて、有名な歌や本物の映画、テレビが写っていたら、プロデューサーはそれぞれの著作権者に法外な料金を支払う必要があるので、予算は潤沢だと判断できる。

予算がある場合、特殊効果をふんだんに使った悪霊、悪魔系の可能性が高い。

ハリウッド映画くらいの巨額な予算が使われていそうなら、確実に悪魔かエイリアンだ。

 

クソ野郎は死ぬ

テラーヴァース(恐怖が支配する世界)では、弱いものをイジメたり、仲間を裏切ったらい、わがままを言ったり、どこでも盛ってすぐセックスするような、つまり、観客に「いやなやつ」だと思われるような人間は、幸福なエンディングを迎えることができないというルールがある。

そのため、テラーヴァースを生き残りたいなら、まずは人に親切にして、ホームレスの戯言にも真摯に耳を傾け、飼っている犬が狂ったように吠え始めたらそこからすぐに逃げ出すような配慮が必要となる。

 

十分なアドバイスとは到底言えないが、とりあえずこれでAmazonから本が届くくらいの時間は命が保てるだろう。

Amazonプライムに入っていればお急ぎ便が無料になる(残念ながら、このエントリーを書いている時点ではKindle版が出ていない)。

 

幸運を祈る。

 

後記

グランド・イリュージョン』を見た。

 

 

凄腕マジシャン4人組はとある目的のために盗みを繰り返すというアクションエンターテイメント作品で、彼らが何のためにこれらの行動をしているのか、そして本当の黒幕は誰なのか、というのが物語を楽しむポイントとなっている。

 

作中にはさまざまなマジックが登場するが、いかんせん、いまはCG全盛の時代なので、映画の中だとすごいマジックも「単なるCGの賜物」のように感じられてしまうのがちょっともったいない。

もちろん、マジックの種明かしをしてくれるところもあるのだが、とくに最後まで解説されないものもある。

 

ただ、アクションは派手だし、最後のどんでん返しというか、結末はなかなかよかったので、エンターテイメント作品としてはおもしろい。

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。

*1:二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション

*2:二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション

*3:二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション