正しい捕虜のなり方 ~『戦場の生存術』のレビュー
誰でもふとした瞬間に銃弾の雨あられを受け、捕虜になるか死ぬべきかの選択を迫られることがあると思う。
もくじ
そういうときに役立つのがこの一冊だ。
本物の傭兵が書いたサバイバル術
著者の柘植(つげ)さんは1942年生まれで、慶應義塾大学の学部生だったときにコンゴ動乱に傭兵として参戦し、フランス外人部隊教官となって、アメリカ陸軍の特殊部隊に加わり、アフリカやインドシナなどで戦争に参加してきた生粋の軍人だ。
(本書は1988年に刊行された『グリンベレー 戦場のサバイバル』に大幅な加筆修正をして出版されたもので、初版は1994年
本書で学べることの概要
本書では以下のようなことを網羅的に学ぶことができる。
戦場ではどんな服装で行くべきか
どんな武器を携帯するべきか
自分や仲間がけがをしたらどんな処置をするべきか
休息と移動の効率的な方法
身を隠し、音を立てずに動く方法
足跡を読む方法
安全に川を渡る方法
動物と植物の見分け方
敵に悟られずに火をつけるには
安全な食事と飲料水の確保
警戒線の設定方法
仕掛け爆弾、狙撃兵の見分け方
捕虜のとらえ方
敵情視察のコツ
攻撃の仕掛け方
白兵戦と敵陣突入
地雷からの身の守り方
市街戦のやり方
捕虜は2名くらいが適当
今回は特に「捕虜」についてお伝えしていこうと思う。
一気に踊りかかり、指揮官とほか一名くらいを捕虜とする。もし適当なグループがなく、二〇名から三〇名の集団を襲うときは、銃撃を加えてしまう。いきなり先頭と最後尾を斃し、それから真っ直中に手榴弾を放りこんだり、M-79榴弾発射砲(グレネードランチャー)を射って榴弾をたたきこむ。
指揮官と思われる人物から少し照準を外すことが大切だ。爆風で一時のあいだ人事不省にさせるのが、もっとも望ましい展開となる。反撃がなくなった時点で、半分が支援に回り、残りが敵のチェックに入る。所持品は可能な限り集める。
※このように、本文は非常に具体的に書かれている。イラストもちょいちょい入る
戦闘中の投降は殺される可能性大!
さて肝心なのは、捕虜をとらえるタイミングである。
形勢が悪くなると素早く武器を捨てて降伏してくる敵兵がいる。こんな奴に限って、状況を見ていて不意に敵対行動を再開する。ときとして縛り上げる余裕すらないときがある。その場合が一番危険だ。
後送するにしても、数名の捕虜に一名の監視をつけねばならない。とてもではないが面倒をみるわけにはゆかなくなる。
だから戦闘が終熄に向かっていない限り、幸福の意思決定は無視するべきだ。全体が抵抗を止めない限り、攻撃を加えたほうが賢明と言えるだろう。
捕虜の確保は、基本的に戦闘が決しつつあるときでないとNG。
むしろ、先頭の途中に投稿しても殺されたりする可能性が高いので気をつけたい。
拷問に耐えてもいいことはない
次に拷問の方法である。
上手に吐かせるためには、殺さないように手加減することが必要だ。そこが技術である。その男が捕らえられたことが広まっていなければ、急襲して仲間を捕らえ、またそこから組織の輪をたぐり寄せる。
二名捕らえたら、敵愾心の旺盛で頑強そうなのを攻めて、もう一方に見物させる。燃えやすい小屋があったらそこに後ろ手に縛って放り込み、戸口を密閉しておいて四方から火を放つ。これは効果があった。残った方は腰を抜かしてペラペラ喋り始める。こちらから質問の余地がないくらい、自動的に喋り続けることが多い。
早いとこ白状し、その内容が正確だったなら、吐いた人間は生かしておく。もう敵方に戻れないから、こちらの協力者として働くことが多い。また別の利用価値が生じてくるのである。
ただ拷問を受けてからようやく吐いたのはダメだ。いつか裏切られるから助命すべきではないだろう。
まずここで意外なのは、「小屋に火をつけるのが効果的」という部分。
フィクションの世界だともっと残酷な方法がとられていて、目の前で攻められているのを目にしたほうがインパクトが強そうだけど、案外そうでもないんだろうか。
もうひとつ、残念ながら拷問に耐えてもあまりメリットはないっぽい。
むしろチャッチャと本当のところを吐いてしまったほうが、重宝されるようだ。
もちろん、その後、どのような扱いを受けるかの保証はとくにないけど。
戦争の勝敗を分けるもの
本書を読んでいて感じたのは、先頭における勝利を分けるのは「地の利」とか「戦力差」とかではなく、むしろ圧倒的な「想像力」と「観察力」なんだなあと思った。
まず、なんといっても重要なのは「先手必勝」。
相手よりも先に相手の存在に気づいたほうがまず勝利する。
そのためには、徹底的に環境を観察し、分析し、相手がどんな行動をとるかを考慮しなければならない。
相手のとるような行動を相手の立場に立って想像する力も求められる。
敵との戦闘より病気やけがのほうが怖い
もうひとつは、実際の戦場で気をつけなければならないのは、敵との戦闘よりも、むしろそれ以外のことだということ。
たとえば体調の管理や、虫刺され。そして一番多いのがブービートラップだ。
大前提として、戦場では不用意にものを拾ってはいけないし、動きすぎてもいけない。
現代の戦場経験者だからこそ語れるリアルな知識。
淡々として読みやすい文章でつづられているので、興味がある人はぜひ一度、読んでみてほしい。
今日の一首
18.
住の江の 岸による波 よるさへや
夢の通ひ路 人めよくらむ
現代語訳:
住の江に寄る波ではないけれど、夜の夢の中で見る私への通い路さえも
どうしてあなたは人目を避けようとするのでしょうか
解説:
詠み手は男性なので、女性の気持ちを想像した一首。
おそらく禁断の相手と恋に落ちてしまったので、現実世界ではなかなか人目が気になって会えないのだけれど、なぜ夢の中ですらなかなか会いに来てくれないのかという恨みがましさが垣間見える。
とくに、平安時代では、夢の中に恋人が現れるのは「相手が自分のことを想っている証」だとされていたので、夢の中に来ないということは相手の心変わりを示唆するような意味もある。
ちなみに、住の江は大阪の海岸で、「待つ恋」の歌によく詠まれる場所でもある。
後記
いまさらCODのWWⅡをやってる。
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なんでかというと、バトルフロントのデータが飛んだからだ。
さすがに最初からやり直す気はなかったので、奥さんが買っていたこちらをコツコツと進め始めた。
焼夷ショットガン強すぎ。そして命が軽い……。
今回はこんなところで。
それでは、お粗末さまでした。