どんな人でも説得力を持った話ができるフレームワーク ~『1分で話せ』のレビュー
基本的に、「話は短く、文章も短く」というのが、人に何かを伝えるときの基本だ。
もくじ
これは近年、とくにその傾向が強まってきている。
その背景にあるのは、おそらくSNSの普及だろう。
多くの人は本を読むよりもツイッターやブログを読んでいる。
長い文章に触れる機会がない。
長い文章に触れる機会がない。
そのこと自体の良し悪しは別として、「 人々の行動はそうなっているんだ」という事実を受け止めると、 その環境において人々に届くように伝えるには、 短くするしかない。
『1分で話せ』
ということで、今日紹介するのはこの一冊。
1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術
- 作者: 伊藤羊一
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/03/14
- メディア: 単行本
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発売後から売れ行き好調な「話し方」のハウツー本だ。
とはいっても雑談とかではなく、スピーチ、プレゼン、朝礼、 会議など、自分の意見・ 主張を相手に納得させるシーンで役立つことを想定している。
本書では、まず初っ端から読者にこの事実を突きつける。
人はあなたの話の80%は聞いていない
まあ、80%
日常会話では実感できると思うが、 みんな真剣に話を聞いているように見えるビジネスシーンでもこの ことは変わらない。
だから、 1分で自分の主張を論理的に話すことが必要だというのが本書のメ インメッセージである。
結論があいまいなまま話をしている
さて、ではなぜ人は話を短くまとめられないのか?
その理由は「着地点を自分でわかっていない」ということがある。
自分の一連の発言を通じて、相手になにを伝えたいのか、 が自分の中で明確になっていない。
だから、必要のない話が続いたり、根拠ばかり並べたりして、 なかなか結論にたどり着かない。
企画を通す場合などにおいて、「こういう企画です」ということと「これは売れます」ということと、 どちらが結論なんだ?と思われませんか?
正解は「これは売れます」が結論です。
もっといえば、「これは売れます。だからやりましょう」が結論です。
結論とは、相手に動いてほしい方向を表したものです。
「こういう企画です」という言葉は、方向を表していません。いいのか悪いのか、好きなのか嫌いなのか、売れるか売れないか、 わかりません。
「売れます(だからやりましょう)」には方向があります。売れるか、売れないかという選択肢がある中で、「売れます」 と言っています。
プレゼンは相手に「動いてもらう」ために行うもの。だから、どちらに向かうのか、動いてもらう「方向」を出すのが結論です。
ロジカルなように見えるもの
さてさて、結論がわかったら、
しかしこれもクセモノで、多くの人は、じつは「根拠」 をわかっていない。
どういうことかというと、 理由と結論がロジカルにつながっていない、と著者は主張する。
たとえば
「私はこの会社が好きです。業績がいいから」
という言い方は、一見するとおかしなところはなさそうだが、 ロジカルではない。
なぜなら、ここには「ロジック」が隠れているからだ。
つまり、
会社の業績がいい↓(給料が高い)↓この会社が好きだ
というつながりがあるのに、意図的に(もしくは無意識に) 中間をすっ飛ばしているから、聞いている相手には「なんか、 わかるようなわからないような話だな」 という感想を抱かせてしまうのである。
左脳だけじゃなく右脳にも働きかける
この本のいいところは、ここまで述べてきたようなロジカル(
よく言われることなんだけど、 ロジカルに話せば相手が納得してくれるわけではない。
むしろ、ガチガチに理詰めで説得されると、 かえって反発したくなるのが人間の心理だ。
そこで重要になるのが「イメージ」の力を活用することだ。
いろいろやり方はあるが「たとえば~」が使いやすい。
相手に伝わる話し方のフレーム
すなわち、1分で相手を変える方法というのは
主張(Point)↓なぜなら根拠(Reason)↓たとえば例示(Example)↓主張(Point)
本書では具体的かつ詳細に書いてあるのでぜひ読んでほしいが、 最低限、このフォーマットにしたがって話をすれば、相手に「 なにをいっているのかわからん」といわれることはなくなるはず。
この本自体も非常にロジカルで、楽しんで読めた。
1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術
- 作者: 伊藤羊一
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/03/14
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今日の一首
38.
忘らるる 身をば思はず ちかひてし
人の命の をしくもあるかな
右近
現代語訳:
私のことを忘れることはどうとも思いません。
でも、(神仏に)誓ったあなたの命が罰を受けてしまうことが惜しまれます。
解説:
神仏に愛を誓ったのに、裏切った男性に向けて詠まれた一首。
直接「恨めしい」と相手の男性に向かうのではなく、「神仏の罰を受けるあなたがかわいそうだわ」と婉曲下言い方をしているのがまた怖い。
ただし、読み手の右近も恋多き女性だった模様。だからこそ、自分を振った相手にこんな言い方ができるのかも。
後記
最近テレビCMしている『猫のニャッホ』をインストールして最近はプレイしている。
イラストはかわいい。
ゲームとしては、要するに『キャンディークラッシュ』だ。
そこにゴッホをモチーフにした貧乏画家の猫をキャラクターとしてくっつけて、ストーリー仕立てにしている。
わりとパズルとしての難易度が高いけど、個人的に、こういうコツコツひとりで進められるゲームは好き。
今回はこんなところで。
それでは、お粗末様でした。