本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『ビジネスに効くスケッチ』『スケッチ思考法』『「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力』『シンプル・ビジュアル・プレゼンテーション』のレビュー~スケッチを描けば思考力が高まる!……かも~

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さあさあ! いよいよTDLのスターツアーズで『エピソードⅦ フォースの覚醒』のエピソードが追加される。

もくじ

www.tokyodisneyresort.jp

スタートは2月2日。とはいえ、上の記事もあるとおり、期間限定となっているのでそのままエピソードのひとつとして追加されるわけではないっぽいのがちと残念。ちなみに、期間中はほかのエピソードは見れなくなるようだ。9月までと期間は長いので、遅くとも夏には体験できるはず。以下本題。

スケッチは思考力アップのツールになりうるか 

最近、ビジュアルと思考の関係について興味を持っている。

本は情報や考え方を文字で伝えるメディアだが、なかにはイラストやグラフ、図解などが加えられているものも多く、そうしたものを見ると、文章で説明されるよりもより直感的に理解できる。と同時に、もしかすると、自分でそのように視覚的な解釈を用いることは、思考法として役立つのではないか、と考えているのだ。早速、参考になりそうな本をいくつか読んでみた。

まず1冊目はこちら。

ビジネスに効くスケッチ (ちくま新書)

ビジネスに効くスケッチ (ちくま新書)

 

著者は1951年に岐阜県で生まれ、東大工学部を卒業した後、都市設計などの仕事に携わり、1985年に開催された科学万博といったイベントの会場設計などを行った人物。そのため、以下のようなスケッチに関する本をいくつか出しているが、本書はそのなかでもちょっと毛色が違うものである。

目次を見ると、以下のようになっている。
●第一章 スケッチはビジネスの武器になる
●第二章 スケッチ眼を養う
●第三章 スケッチで理解する
●第四章 プレゼン力をアップする
●第五章 仕事スケッチの文具考

このようにスケッチが「観察力」「理解力」「コミュニケーション脳力」と、ビジネスにかかわるさまざまな領域で役立つことが述べられている。

……とはいえ、読んでみた感想としては、ぶっちゃけ「よし、自分もやってみよう!」という気持ちはあまり起こらなかった。随所に山田氏によるスケッチが挿入されているのだが、けっこうどのスケッチもうまく、あまり「自分にもできそう」な感覚を抱けない。技術的な部分ではいろいろとおもしろいことが書かれているが、ちょっと即物的すぎて、それ以前の「興味を持たせる」という段階が弱すぎる気がする。プレゼンに関しては、「すまん、パワポでよくね?」というものだった。 

ともあれ、文句ばかり書いても詮無いので、本書から個人的に「おもしろい」と思った部分を伝えていこう。

スケッチ眼と構造理解

まずは「スケッチ眼」というもの。
私たちは普段、視覚によって周囲を認識しているが、自分にとって重要ではないものは無視している。だからたとえば、郵便を出すとき、普段毎日歩いている場所のどこにポストがあるか、よくわからなくなったりする。日常生活の中では、ポストの前を歩いても、そのポストの存在を認識しないまま通り過ぎてしまうのである。

しかし、スケッチをしようとすると、そうした「無意識に取捨選択してしまう」こととは違った意識で物事を見ることができる。すると、散々見てきたはずなのに、それまでの自分が気づいていなかったことを発見できる可能性があるのだ。これは、スケッチしようとする意識から得られる新たな視点といえるだろう。

もうひとつは「構造を意識すること」。

スケッチを描く場合、大切なのはその物体の構造を意識することだという。スケッチはもちろん平面状に描くものなので描かない部分もあるわけだが、描かないからといって考えなくてもいいわけではない。見えない部分も構造をしっかり理解したうえで描くからこそ、そのスケッチを見たときに「なにを描いたのか」がわかる。

また、そうすると、描くものの構造を分解して理解することもできる。たとえば以下の画像は本書の49ページに掲載されているものだが、ワインボトルのようなものの場合、2つの円柱と先端が切り取られた円錐が組み合わされたものであると認識できるわけだ。

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『スケッチ思考法』は買う価値ナシ

次に読んでみたのはこの本。

スケッチ思考法―図式化することでみるみる考えがまとまる!

スケッチ思考法―図式化することでみるみる考えがまとまる!

 

タイトルだけを見ると私が求めていることが書かれていそうで、私は結構期待しながらページをめくったのだが、結論だけ言うと、この本はクソだった。私がスケッチと思考について考える上で、まったく何の役にも立たないものだった。どこがどうクソなのかをあげていくとキリがないし、(世の中にはクソがいかにクソかの説明に一生懸命な人も多いが)クソの説明に文面を割くのも非生産的なので「読まないほうがいいよ」というアドバイスだけつけて割愛する。

……いや、ひとつだけ、ちょっと参考になったところがあった。最初のほうで語られているのだが、「そもそも思考とはなにか?」という根源的な問いかけの部分である。曰く、思考とは「分析する力」と「統合する力」に分けられるという。分析する力というのは状況を細分化して要素に分けることであり、統合する力というのはそれらの要素を再構築してまとめなおすことである。そして、スケッチすることは、分析と統合を同時に行う好意であるという意味で、意義があると述べているのである。ここだけは「なるほどなぁ」と思った。終わり。

『記事トレ!』は日経新聞の宣伝本でもある

3冊目はこちら。

「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力

「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力

 

ちょっとスケッチ思考からは外れるのだが、本書は日経新聞の記事を自分で図解してみるとビジネスセンスが身につくよ!」ということを伝えている一冊。ただし、見ればわかるように出版社は日経新聞なので手前味噌感があふれているし、最後のほうには「会社が購読している新聞ではダメ! 日経新聞は自分で買いましょう」と、あからさまな日経新聞の購買アピールもあるので、そこのところが嫌らしい。

著者の板橋悟氏は大学卒業後、リクルートに入社してから独立し、インディペンデント・ビジネスプロデューサーとして現在は活動しているらしい人。公式サイトもあるが、更新はしばらくやっていないっぽい。

ita3.jp

とはいえ、じつは内容的にはかなり実用的で役に立つ、かなりおススメできるビジネス書だった(私は日経の回し者ではない)語り口は明瞭かつ簡潔で非常に読みやすいし、全体の構成および掲載の順序もロジカルで巧み、初級から上級まで、読んでいくとステップアップしていけるのがわかる。また、これは日経新聞自ら作っているからこそできる強みだろうが、実際の日経新聞の記事を掲載しながら、実際に図解していく家庭を具体的に指南するケーススタディーが豊富で、「ちょっとやってみよう」という気持ちを引き起こさせた。単純に、ビジネスパーソンとしての基礎力……というか、ビジネスセンスを身につけたいと考えているなら文句なくおススメできる一冊だ。

とはいえ、個人的にはあまりスケッチ思考について参考にできる部分は少なかった。ただ、本書の中で紹介されていた以下の本には図解による思考の整理方法について書かれているらしいので、そのうち読んでみようとは思った。(これも日経新聞の本だった)

佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)

佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)

 

ちなみに、佐藤可士和(さとう・かしわ)氏はデザイナーで、ユニクロ楽天、今治タオルなどのロゴを手がけている超売れっ子である。

『シンプル・ビジュアル・プレゼンテーション』

最後がこちら。

シンプル・ビジュアル・プレゼンテーション

シンプル・ビジュアル・プレゼンテーション

 

著者の櫻田潤氏はプログラマーシステムエンジニアなどの経験を経て、現在はインフォグラフィック・エディターとして独立して活動している人物。インフォグラフィックというのは、情報を伝えると言う目的を持ったグラフィックのことで、道路標識や避難経路表示などに使われているピクトグラムをイメージしてもらえればOKだ。以下は、櫻田氏の公式サイト。

www.visualthinking.jp

タイトルの通り、本書は「うまいプレゼンテーションのやり方」を伝えることを目的とした本である。上記サイトを見ると、グラフィックソフトを使って書いているが、本書の中ではその前段階の手書きラフが多く掲載されており、内内のプレゼンならばソフトで清書する必要がないことも伝えられている。

プレゼンは4コママンガが基本

おもしろいのは、プレゼンにおいては4コママンガを基本に考えろ、という点。4コママンガは起承転結を端的に表した最小単位であり、プレゼンにも起承転結をまとめることが要求されるというのだ。そして、描き始めるのは必ずしも「起」からではなくともいいという。むしろ、起承転結の中でもっとも伝えたいポイント(大体の場合、「転」になる)から描き始めればいいらしい。

それから、個人的にはp92から始まる情報収集と整理の方法がなかなか良かった。情報を集めたら「社会背景(起)」「問題提起(承)」「解決策(転)」「効果(結)」の4つに分ける方法だ。それを各10個ずつは集め、そのなかからコアとなるものを拾ってストーリーに仕立て上げていく。

そして、地味に「なるほど」と思ったのは8種類の基本パーツの描き方を教えてくれている点。人間の描き方とか、モノ、概念、矢印、フキダシなど、描くときのポイントを簡潔にまとめている。しかも最後には「必ずしもビジュアルで描くことにこだわらなくてもいい」というのは優しい。全ページ2カラーでちょっと大判であるため、お値段は税抜き1600円と若干お高めだが、わかりやすく、なかなか良い本だった。

おわりに

よくよく考えてみれば、思考とビジュアルを結びつけるツールにはマインドマップなるものがあるのだった。。。結局、思考力を高めるためのビジュアルツールとしては、これがひとつの完成形なのかもしれない。

新版 ザ・マインドマップ(R)

新版 ザ・マインドマップ(R)

 
マインドマップ超入門 (トニー・ブザン天才養成講座) (トニー・ブザン天才養成講座 1)

マインドマップ超入門 (トニー・ブザン天才養成講座) (トニー・ブザン天才養成講座 1)

 

いろいろと本を読んで徒花が感じるのは、「頭と体はつながっている」ということだろうか。結局のところ、文字や絵を目で追っているだけだとなかなかその知識や情報は身につかないわけで、自分の手を動かしてそれを別の形で表現する(肉体を動かす)ことで、ようやく人間は理解したり、実行できたりするのかもしれない。写経と言う行為は、だからとても意味のあるものなのだろう。

まだ自分の中で明確な答えが見出せて折らず、もやもやしているが、そのうち答えは見つかるのかもしれない。

 

それでは、お粗末さまでした。