本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

午後の眠気は「気のせい」~『スタンフォード式 最高の睡眠』のレビュー~

今回紹介する本はこちら。

 

スタンフォード式 最高の睡眠

スタンフォード式 最高の睡眠

 

 

スタンフォード大学で睡眠の研究をしている日本人が、睡眠のテクニックについてまとめた一冊。

 

睡眠本のなかでは説得力が段違い

 

睡眠本は最近のブームで、いくつもの本が出版されている。

 

SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術

SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術

  • 作者: ショーン・スティーブンソン,花塚恵
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 
できる大人9割がやっている 得する睡眠法

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必ず眠れるとっておきの秘訣! 最新の睡眠科学が証明する~今までの睡眠本では眠れない人へ

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一流の睡眠―――「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略

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寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本

寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本

 

 

すべての本を読んだわけではないが、ここ最近出版された本のなかでは、一番説得力があるのは本書ではないかと思う。実際、書店での売れ行きも断トツだ。売れているものは正しい。

 

というのも、どうしてもそれ以外の本の場合、あまり科学的なエビデンスに基づいておらず、著者や著者のクライアントの人たちの経験則なものが多いからだ。

もちろん、なかないは説得力があるトピックスもあるが、こうした健康本の場合、いくつかの本に目を通して、あまり一冊の本の内容をうのみにしないほうがいい。

 

睡眠不足は寿命を縮める

 

まず、日本人は寝不足の人が多い。それを自覚する目安は「仕事がある日の睡眠時間と、休日の睡眠時間の差」である。この差が大きい人は、普段仕事をしているとき、十分な睡眠をとれていない可能性がある。

 

睡眠は単に日中の活動のパフォーマンスを左右するだけではない。本書によれば、睡眠不足は次のような影響を及ぼすことが危惧されるという。

・寿命を縮める

・太りやすくなる

 

寝る間も惜しんで本を読んだり映画を見たりすることが私にもあるが、これは結局、将来の時間(老後)を前借して消耗しているようなものだ。

 

でも、たくさん寝れない人のためのテクニック

 

本書がすごいところは、正論だけではないところだ。

寝る時間をしっかり確保すればいいのは、誰でも知っている。しかし現実問題、現代の日本社会ではそれができない人が大多数だ。

じゃあ、どうすればいいのか?

本書はその解決法を提示してくれるのである。

 

ポイントは「最初の90分をしっかり深く眠る」ことである。

もちろん、これだけでは十分とは言えないが、少なくとも、最初の90分の深い睡眠がしっかりできれば、睡眠の質は確実に向上する。

具体的な方法は書くと長くなるので、本書を読んで確認のこと。

 

睡眠のウソ1 夢はレム睡眠のときしか見ない

 

睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」にわかれていて、だいたい90分間隔で交互にやってくるというのは、多くの人が知っていると思う。

まず、この90分というのはあくまで目安で、人によってはかなり睡眠のリズムに違いがあることは知っておくべきだろう。ただし、それを個人が正確に把握するには、あらゆる影響を除外してモニタリングしないといけないので難しい。

 

また、じつは人はノンレム睡眠のときも夢を見ている。ただし、レム睡眠中の夢よりももっとあいまいで、ストーリーみたいなものがないケースも多いので、ほとんどの人が覚えられないだけだ。

 

睡眠のウソ2 ブルーライトはそんなに影響しない

 

寝る間にパソコン、スマホを見ると深く眠れない、というのは聞いたことがあると思う。その原因とされるのがブルーライトだ。しかし、ブルーライトは、少なくとも睡眠にはそれほど影響を与えないらしい。以下、引用。

 

よく、「スマホやパソコンの画面から放たれるブルーライトは睡眠に悪い」といわれているが、ブルーライトの影響を睡眠に及ぼそうと思えば、かなり画面に顔を近づけてジッと見続ける、ぐらいのことをしないといけない。

スマホやパソコンが睡眠に影響を与えるのは、ブルーライトというよりも、操作で脳を刺激してしまうことにあるといえる。

 

ブルーライトが悪いというよりも、スマホやパソコンの躁さでついつい脳が興奮してしまうことが、睡眠を妨げる要因であるようだ。

 

睡眠のウソ3 「一時間早く寝る」

 

もし、どうしても翌日早く起きなければならないとしたら、どうすればいいだろう?

ここで犯しがちな間違いが、「いつもの時間よりも早く寝る」という行動だ。引用しよう。

 

人は普通、ずっと起きていると「睡眠圧」が上がる。つまり、起きていればいるほど眠くなるのだ。そう考えると、「眠る直前」が一番睡眠圧が高い、つまり「入眠前が一番眠い」はずだ。

しかしこの実験では、通常就寝する時間の直前から2時間前あたりまでがもっとも眠りにくいことがわかった。(中略)

これを実験の睡眠に当てはめれば、毎日必ず午前0時に眠る人は、22時から2時間は一番眠りにくいことになる。

このように、入眠の直前には脳が眠りを拒絶する「フォビドンゾーン(進入禁止域 Forbidden Zone)」というものがある。いわば「睡眠禁止ゾーン」だ。

 

眠くない時間に無理矢理寝ても、ベッドで横になる時間が増えるだけだ。

なので、もし明日早く起きなければならないとしても、普段の就寝時間は変えないほうがいい。つまり、睡眠時間を一時間削ったほうがいいわけだ。

 

睡眠のウソ4 朝、ジョギングする

 

朝、目覚めてジョギングをする人もいるかと思うが、これもあまりよろしくない。というのも、ジョギングのような激しい運動をするとたくさん汗をかき、放射熱によって体温を下げてしまうからだ。

眠気というのは、体温の変化によって生じる。だから、寝る前にお風呂に入ると、体温が上がった後に下がるから眠気を感じるのだが、朝にジョギングすると、起きた直後にこれを起こしてしまうことになるからだ。

 

もちろん、朝の運動自体が悪いわけではない。とにかく、汗だくになるのがよくないのだ。だから、朝はジョギング程度にしたほうがいいよ、というのが著者の提案である。

 

睡眠のウソ5 午後の眠気は「昼食を食べた」から

 

引用しよう。ちなみに、アフタヌーンディップというのは、午後の眠気のことである。

 

「アフタヌーンディップの原因は、睡眠夫妻とサーカディアンリズムの影響が大きい」というと、首をかしげる人もいるだろう。

決まって、「えっ、ランチを食べたせいでしょう?」と反論があるのだ。

だが、これまたスタンフォードの研究で「昼食は午後2時ごろに起きる入眠潜時の短縮(眠気の襲来)には関係ない」という実験結果が出ており、生物的に、ランチは午後に眠くなる要因ではない。

(中略)

ただし、私たちの多くは「ランチの後は眠い」という自覚があるのも事実だ。いったい、どういうことだろう?

「食事をとると、消化のために腸に行く血流が増えて、脳に行く血流は減る」とよくいわれるが、どんな状況でも脳血流は第一に確保される。

なので、ランチ後の眠気は血流の問題ではない。「満腹感によって意欲が低下し、何もする気が起きず、眠いと感じる」というのが私の見解だ。

ランチ後に訪れるのは、厳密にいえば「眠気とは違う倦怠感」といったものだろう。両社はなかなか区別がつきにくいが、少なくとも「朝食後眠い」というのは、聞いたことも、経験したこともない。

 

個人的には、ここが本書の中で一番「へー」と思った部分だった。

 

こんな感じで、けっこういろいろ、巷で言われている睡眠に関する定説を覆し、最新の研究に基づいたおもしろいことが書かれているので、気になった人、睡眠でトラブルを抱えている人は、読んでみてもいいかもしれない。

 

スタンフォード式 最高の睡眠

スタンフォード式 最高の睡眠

 

 

今日の一首

 

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64

あらざらむ 此世の外の 思ひ出に

今ひとたびの 逢ふ事もがな

和泉式部

 

現代語訳:

もう私は死んでしまうわあ!

あの世に持っていく思い出として、もう一度あなたに逢えたらいいのになあ。

 

解説:

恋多き女性として有名な和泉式部が、高齢になって病気のために死の淵にいるときに詠んだ歌。技巧表現はあまりないが、とにかく冒頭の「あらざらむ」(「あら」は動詞「あり」の未然形で「生きている」という意味)のインパクトが抜群で、それだけの激情の激しさを感じさせる。

 

参考:

 

後記

 

U-NEXTの無料体験に加入したのはいいのだが、いろいろとやりたいことが多すぎて、まったく映画を見れていない。

また、U-NEXTの映画のラインナップも結構貧弱で、エロ系の作品が多いのもなんか萎える部分。

 


とりあえず、興味がある映画はマイリストに放り込んでいるので、暇があったらこちらの映画も消化していきたい。

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。