ぜひとも読みたいビジネス書15冊~『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』のレビュー~
今回紹介する本はこちら。
ビジネス書の書評家として有名な土井英司氏の「ビジネス書の読書術」について書かれた一冊。
ビジネス書は汚しながら読んだ方がいい、というのはよく言われることだ。線を引いたり、付箋を立てたり、欄外にメモをしたりするのを推奨している人は多い。しかし、具体的にどのように本を汚すべきなのかは、意外と誰も細かく教えてくれていない。
本書は、「本のどのようなところに線を引いておくべきか」のみならず、ビジネス書とはどのように読むのが正しいのか、どのように選べばいいのかを教えてくれる。
いくつか、ビジネス書を読むうえで心得ておきたいことを、少し抜粋してみよう。
書評を書くために読書をしてはいけない
本を読むと、かならず「書評」を書きたがる人がいる。それ自体が悪いわけではない。私自身もそれを生業にしている。
問題はその書評の内容だ。読書は、「書評」を書くためにするものではない。自分が主であり、本は従だ。その本から必要な部分を取りだし、自分のなかに練り込んでいく作業こそが、読み手がやるべきだろう。
私の書評は、その本から自分自身が何を取り込んだかを説明している。本の内容よりも、自分自身の変化を述べることにしている。現在の自分に不足している部分が見えているからこそ、それを補うために読書するのだ。
著者と編集者の罠に騙されてはいけない
本には、著者が発信している「ウソ」や「はったり」が混ざっていることを、読者はよく知っておいたほうがいい。(中略)
誤解を恐れずに書けば、「自己申告」の類は、すべてウソである可能性がある。数字などの客観的データ、動かぬ証拠、ディテールに満ちた具体的で迫真性に富んでいるエピソード、第三者による証言など、裁判の証拠ではないが信憑性を検証できる内容でない限り、自己申告に過ぎない内容として割り引いて受け取るか、すべて無視する必要があると思う。
(中略)
出版社や編集者は、たとえ自己申告だらけの本であっても、あたかも読むべきところがあるように見えるタイトルや見出しをつける。そのうえ、学びたくなるように感覚を刺激するデザインを駆使して装丁をつくり込んでいく。
こうした罠にだまされてはいけない。
ネットの情報が玉石混交だというのはすでに常識だが、出版社から刊行された本も同じだ。読んでいると著者の主観とか、「たぶんこう思う」という独りよがりな推測ばかりで論が進み、そこに描かれているメソッドやテクニックが本当に再現性(ほかの人が真似しても同じ結果が得られるのか)があるのかが疑わしいものが多い。
ただし、わたしもそういう風に本をつくる。私が上司に言われたのは、次のような言葉だ。
「役に立つかどうかは問題じゃないんだ。『役に立ちそうに見えるか』と、『役に立ちそうだと感じられるか』が大事なんだ」
正しいかどうかは別にして、売れる本というのは得てしてそういうものである。
本書はこれ以外にも
・結果に線を引くな
・固有名詞の多い本を選べ
・「今年は○冊読む」などの目標は無意味
・全体を見るな、部分を見ろ
・「知っていることばかりが書いてあって残念」というレビューは三流
などなど、ビジネス書を読む人にとってかなり興味深いトピックスが満載なので、読んでみると楽しめると思う。
で、今回は本書で紹介されているおススメ本のなかから、徒花が興味を持ってこれは読んでみたいと思う本だけを一覧にして紹介する。すでに徒花が読んでいる本などは除外する。もちろん、本書で紹介されている書籍のごく一部である。
ではいってみよう。
- 作者: A.G.ラフリー,ラム・チャラン,斎藤聖美
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2009/05/23
- メディア: 単行本
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P&GのCEOも務めた著者が、アリエールやファブリーズといった目がヒット商品をどのように生み出し、イノベーションを起こしてきたのか、その秘密をすべて解き明かした一冊。
高級路線のスーパーマーケットとして不動の地位を確立している成城石井がどのように自らのブランド価値を築き、指示を受けていったのか、そのカラクリを明かした一冊。
「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか? 海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣
- 作者: 三田村蕗子
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2015/03/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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じつはフランスで絶大な人気を誇るグリコのポッキーは、日本とは全く違う商品イメージを作り上げることで成功している。マーケティングとはどうあるべきか、その神髄が具体的な事例によって語られる。
ビジネスで成功したいなら、お金の流れ…すなわち決算書が最低限読めることは必須のスキル。決算書の読み方が全くわからない人で、びっくりするくらい分かりやすく説明してれている一冊。
決算書の読み方をテーマにしたロングセラーで、なぜ人々が決算書をうまく理解できないのか、その理由が端的に述べられ、解消できるようにしてくれる。
大学で経営戦略を学ぶ機会を得られなかった人にとって、古今東西の戦略から経営戦略の神髄を手っ取り早く学ぶことができる素晴らしい一冊。戦略は流行り廃りがあるので、最新の戦略をひとつ学ぶよりも、まずはその趨勢をざっくりと学んだほうがためになる、というのは納得できる。
- 作者: スティーヴン・クウォーツ,アネット・アスプ,渡会圭子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/04/07
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人々に支持される「クール」な商品とは何か? そもそも、「クール」とはなんなのか? マーケティングによって人々のニーズを理解するのに役立つ。
- 作者: Philip Kotler,Kevin Lane Keller,恩藏直人,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2014/04/19
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すんごく高いし、1000ページを超える分厚さだが、それを補って余りあるほど濃密で役に立つ内容だという絶対に読むべき一冊。
膨大な情報のうち、なにが有益なシグナルで、なにが無益なノイズなのか、その見分け方について伝える一冊。統計学がわからない人でも、様々な事例で楽しみながら学べる。
タイトルの通り。経済はみんな知っているようで、意外と知らない。でも、知っていると意外と役に立つ。
俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方
- 作者: 坂本孝
- 出版社/メーカー: 商業界
- 発売日: 2013/04/03
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業界に核心を起こした創業者の哲学、施策がおどろくほどわかり、業界の慣習を打破してブレイクスルーを起こす考え方が満載。
交渉などのコミュニケーションでどのように最高の結果を引き出すべきか、それを心理学をベースに教えてくれる名著。
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
- 作者: トム・ケリー,Tom Kelley,ジョナサン・リットマン,Jonathan Littman,鈴木主税,秀岡尚子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/07/25
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イノベーションをおこし、クリエイティブでありたいと願うならば、読んでおきたい一冊。
小さな会社が大きな会社と戦いながらどうやって儲けをだし、存続していけばいいのか。その秘密から、勝つための戦略が見えてくる。
他社との差別化を図るための最大のカギは「好き嫌い」。単純ではあるが、これこそが最強の差別化戦略である。
以上。
今日の一首
91
きりぎりす なくや霜夜の さむしろに
衣かたしき 獨りかねもねむ
後京極摂政前太政大臣
現代語訳:
コオロギが泣いている霜の降りた寒い夜。
むしろの上に自分の袖の片方を敷いて、私は一人さびしく寝るのだろうか。
解説:
きりぎりすは現代のコオロギのこと。「さむしろ」は粗末なムシロのことで、もちろん「寒し」とかけている。また、平安時代は男女が一緒に寝るとき、お互いの袖を枕にして添い寝する風習があったらしいので、自分の袖を枕にして寝ることで、独り寝の寂しさを表現している。ちなみに、著者の後京極摂政前太政大臣はこの歌を詠む直前に奥さんを亡くしており、自身も38歳で急死するなど、幸が薄い人物だった模様。
参考:
後記
久しぶりに置き型ゲーム機が自宅でできるようになったので、うれしくなって『魔女と百騎兵』をコツコツやっている。
あのスーパーやり込みゲームで有名な日本一ソフトウェアのものだが、今作流行り込み要素はあまりなく、アクションゲームになっている。序盤はサクサク進むが、後半からけっこう難しい……というよりも敵が強くなってくる。
しかしキャラクターデザインはかわいいし、ダークファンタジーな世界観は好み。声優も豪華で、ストーリーも楽しめる。
なんというか、最近は「やっぱりゲームは一人でしたいなぁ」と思うことが多い。最近はスマホゲームに限らず、いわゆるテレビゲームもオンラインにつないで赤の他人と一緒にプレイするのが増えている。
もちろん、SWのバトルフロントなど、それはそれで楽しい側面もあるのだが、やはり、すごく気楽にやりたい娯楽のゲームで人間関係のしがらみを作るのは個人的にはなかなか慣れない……というか、知り合いができるとそのゲームをやりたくなくなる。
今回はこんなところで。
それでは、お粗末さまでした。