ラノベの書き手は人工知能になるかもしれない
こちら、人工知能が書いた小説が文学賞の一次審査を通過したというニュース。
もくじ
人工知能がものすごい勢いで発達していて、近い将来、単純労働の人は仕事を奪われるだろう的なトピックスが出始めている今日この頃、「とはいえ、クリエイティブな仕事は大丈夫でしょ」などと考えていた私はけっこう驚いた。もちろん、上記のリンク先に書かれている内容を読めばわかるが、まだ多くは人の手によって作られていて、「現時点では貢献度としてはAIが2割で人間が8割というのが実感」ということだが、こういう話を聞くと、ロボットに出来ないことなんか、将来はなくなるのかもしれないと考える。
ちなみに、小説関連ではこんなニュースもある。
このニュースに関連して私が思ったのは「人工知能ならおもしろいライトノベルが書けるかもしれないな」ということだった。
ライトノベルの中にはライターが書いたものも交じっている
ちょっと前のことだが、とあるライターさんと話をしていて驚いたことがある。そのライターさんは普段、実用書とかノンフィクションとかのゴーストをしたり、自著を書いたりしているのだが、なんとその人、別のペンネームでライトノベルも書いているというのだ。その人は全然オタクではなく、普段、マンガやアニメなどはほとんど読まない。
じゃあなんでライトノベルを書いたのかというと、知り合いの編集者に話を持ちかけられたからだそうだ。つまり、物語のプロットはその編集者が組み立て、文章力のあるライターさんがそのプロットに沿って物語を完成させ、著者になるわけである。具体的な売り上げはよくわからないが、Amazonでみたところ、そこそこ高評価だったし、まあまあ売れたらしい。
こうした話、最近はそんなに珍しいことではないらしい。ライトノベルの著者になるというと、とりあえず新人賞にせっせと作品を送る人が多いと思うが、もしかするとコチラのルートのほうが自分の本を出す近道なのかもしれない。「フリーライター」なら今日から名乗れるし(仕事がもらえるかは別)。
よくよく考えればこれはもっとも話で、ライトノベルというのはある程度、ヒットする作品に傾向がある。たとえば「魅力的なヒロイン」だったり、「SF的な要素とファンタジー要素の融合」だったり、「エロ」だったり、「バトル」だったりだ(あと絵師さん)。そして、ライトノベルの編集者というのはそれこそ日課のように毎日さまざまなライトノベルを読んでそうした要素を熟知しているわけだから、既存のライトノベルから要素をピックアップしてそれを新たに組み合わせれば、ヒットする可能性の高い新たな作品を生み出せるのだ。
人工知能のほうが効率的におもしろい作品を生み出せるのかも
んで、こうも思う。
「売れるライトノベルが既存の作品の要素の組み合わせでできるんなら、もう人間が作る必要、なくない?」
たとえばの話、人工知能にこれまで出版されて売り上げのよかったライトノベルのシリーズをすべて読ませ、そこからパクリにならないように新たな組み合わせによるストーリーを組み上げるようにすれば、人工知能がヒットする作品を生み出せる。もちろん、ライトノベル以外の小説や映画、アニメなどもインプットさせれば、これまでのライトノベルにない要素を組み込んだ作品を作ることもできるだろう。
これはよくいわれる話だが、「完全オリジナルのストーリー」というものはまずめったにない(しかもそれが「売れる」かはまた別問題)。自分の中にないものを生み出すことはできないはずだから、どんなクリエーターもほとんどの場合、過去のだれかの作品の影響を受けているのだ。
そもそも、人を感動させたり興奮させたりする要素というのを突き詰めて考えれば、そのパターンはそんなに多くはないだろう。人工知能が「こうすれば人間は感動する」というポイントを学び、それを体系化すれば、彼らがそれを作ることはたやすいことのように思えるのだ。
もしかして人工知能が書いたブログはもう出回っているんじゃないか
これはライトノベルに限った話ではない。
たとえばブログだってそうだ。そもそもテキストコンテンツというのはたかだか平仮名とカタカナと漢字とアルファベットを組み合わせて作っているものなんだから、「バズる記事」の要素を人工知能が解析し、最新のニュースの内容を取り入れながら「こういう書き方をすればブクマしたくなるだろう」「こういう書き方なら炎上するだろう」と考え、アクセス数を稼ぐことだってできるはずなのだ。
もしかすると、その試みはすでに秘密裏のうちに行われているのかもしれない。ポッと出ていきなりバズる記事を書いているようなブログは、もしかすると人間ではなく、人工知能が書いているブログかもしれないのだ!!
このブログだって、果たして著者を名乗っている「徒花」という人間が実在するのかどうか、確認することができる人はごくごく一部に限られている。もしかするとこの文章を書いているのが人工知能である可能性だって十分あり得るのだ。
人工知能がどれだけ発展しているかについては、この本に詳しい。
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
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あと、コチラもオススメだ。文章はダブりも多くて読みにくいけれど、なんとkindleで無料で読める(3か月限定の配信)。
「仕事」が「遊び」になる未来に
冒頭のリンクで、「人工知能によって奪わえる仕事」という記事を紹介したが、もし本当に人工知能がいろいろできるようになれば、もしかするとそう遠くない将来、「人間が働かなくてもいい社会」が到来するようになるかもしれない。衣食住のすべては人工知能およびロボットに任せて、人間は働かなくても何不自由なく暮らせる社会だ。
そうなったとき、私が考えるのは「じゃあ人間は何をするのか?」ということである。もし、「明日から働かなくてもいいよ」といわれたら、今日と同じように会社に行って仕事をする人は果たしてどれだけいるのだろうか? そして、働かなくなったそれらの人々は、はたしてどうやってこの先何十年も続く人生の「時間つぶし(つまり遊び)」をするのだろうか?
仕事一筋だった人が定年退職した途端、趣味もなく、時間つぶしに苦労するという話はよく聞く。私が警告したいのは「人工知能によって仕事を奪われること」ではなく、その先にあるかもしれない「やるべきことがなくなったときにあなたはなにをするのか」ということだ。
ちなみに私は、おそらく今日と同じように働く。むしろ、そういう未来になったらちょっとうれしい。なぜなら、そういう未来になれば、「売れるかどうか」をあまり考えずに、自分が作りたい本をいくらでも作れるようになる、ということだからだ(書いてくれる著者がいるのかはわからないけど……)。
おわりに
ちなみに、あと私が心から望むのは「そのときに電脳化が実現してないかなー」ということである。私は読書が好きだが、正直、ちょっと本を読むのは面倒くさい。もうちょっと正確に言うと、「本を手に持って指でページをめくり、文字面を目で追う作業がめんどくさい」のだ(電子書籍にしても、端末を持って画面をフリックするのがめんどくさい)。もし電脳化が実現して、自分の頭の中で本が読めるようになればすごくうれしい。
あと、いまのうちに人工知能関連銘柄の株式を買っておいた方がいいよ! 徒花は先月に人工知能銘柄を買っておいたところ、このニュースや囲碁で人工知能が勝利したというニュースを受けて、なかなかの利益を得た。
たぶん10年後あたりには、けっこうな利益になっているはず(もちろん投資は自己責任で)。
今回はこんなところで。
それでは、お粗末さまでした。