本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

年末年始はコレを読んどけ <2021年版>

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ギリギリになりましたが、今年も私が読んだ本のなかからとくによかった10冊を選んでまとめておきます。

今年はわりと年末年始の休みが短めというか、実質一週間くらいしかない人が多いのではないかと思いますが、新型コロナのオミクロン株が流行の兆しを見せていますので、自宅でまったり過ごすという人は、ぜひ本選びのお役に立ててください。

 

そういえば今年はけっこう、Audibleも利用したりしました。電車に乗っているときとかはけっこう便利ですね。

 

 

さて、2021年に読んだ本は12月30日時点で「142冊」でした。

例年はだいたい200冊くらいは読んでいるので少なめです。

今年は公私ともにだいぶ忙しく、ブログもまともに更新できませんでした。

何が忙しかったのかというと、仕事でヘンに偉くなって管理職になってしまったのと、子どもが生まれたことです。

とくに子どもが生まれるとほんとうに、これまで読書とかに充てていた時間がすべてなくなるなど、生活リズムが激変しますね。

また、子どもの成長に応じて少しずつこのリズムが変わるのも厄介なところです。

なので、細切れの時間で本を読むことはできても、それをブログに書きまとめる時間がなかなかつくれませんでした。

 

そんなわけで、いままでは、わりとブログで紹介した本の中からオススメの10冊をセレクトしていましたが、今回はタイミングを逃してブログに書けなかった良書も多かったので、それにこだわらず、紹介していきます。

 

もくじ

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『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢 沙呼・著)のレビュー(ネタバレ注意)

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※今回はレビューの性質上、思いっきり本作のネタバレを含んでしまうので、読んでない人は自己責任でお願いします

 

 

ちょこちょことミステリーを読んでいると、なんとなく「きな臭い登場人物」というのが嗅ぎ取れるようになってくるのではないでしょうか。

個人的には「こんなやつは怪しい3大ミステリ登場人物」がいたりします。

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『サクッとわかるビジネス教養 地政学』(奥山真司・監修)のレビュー

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地政学というのはわかるようでよくわからない学問であります。

実際、本書の冒頭、「はじめに」で監修を務めた奥山真司さんも次のように述べています。

 

地政学とは何なのでしょう。研究者によっていろいろな答えがあると思いますが、私は「国際政治を冷酷に見る視点やアプローチ」と考えています。

 

それがどういう学問なのか自体が「研究者によっていろいろな答えがある」のは学問としてどうなのかというツッコミを入れたくなります。

が、まあそこは置いておいて、いわゆる自然科学や数学のように明確な答えがあるものではなく、どちらかというと哲学とか経済学のようなものだと捉えれば問題ないのではないでしょう。

地政学を学んだからといって、一般の人がなにがどうなるというわけでもありません。

でも、地理の一環として知っていると国際紛争とか大国の思惑みたいなものがなんとなくわかるようになるかもしれません。

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『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』(川添愛・著)のレビュー

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ちょっとご無沙汰していましたが、また更新します(理由はあとで)。

 

『2001年宇宙の旅』などで有名なSF作家のアーサー・C・クラークは、『未来のプロフィル』というエッセーのなかで、のちに「クラークの三法則」とよばれるものを書きました。

 

(1)高名で年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
(2)可能性の限界を測る唯一の方法は、その限界を少しだけ超越するまで挑戦することである。
(3)十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。

 

いちばん有名なのはたぶん3番めのやつです。

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『かがみの孤城』(辻村深月・著)のレビュー

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本をつくる仕事をしていてつねづね思うのは、「売れる本にするのであれば、内容を難しくしすぎてはいけないなあ」ということです。

ビジネス書とか実用書だと、これはとくに顕著です。

そもそも著者はなんらかの道のプロフェッショナルであり、一般の人よりもたくさんの知識と経験を持っているという点で特異な人物です。

だからこそ本を書けるわけです。

私は文芸書の編集者ではないので小説については門外漢ですが、おそらくこの法則は小説にも当てはまるのではないかなと思います。

それを感じたのは、『謎解きはディナーのあとで』を読んだときでした。

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