本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

「赤字は犯罪である」~『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』のレビュー~

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ダイレクト出版という、書店を介さずに本を販売している出版社がありまして。

 


ここの会社はDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)という、端的に言えば「興味のあるお客さんに自分から来てもらう」という手法をメインに事業をやっているので、インターネットを使ったDRMが非常に得意なわけです。


で、同社はダン・ケネディというDRMの生みの親的な人の公式サイトも運営していて、そのWebサイトでは、あのバーグハンバーグバーグさんが手がけた「ニセ・ダン・ケネディのニセDRM講座」というコーナーでいろいろふざけたことをやっているので、暇で暇で足の甲に穴が空きそうな人は読んでみるのもありです。

 

成功者が経験しているもの

 

で、成功者に関する本をいろいろ読んでみると、いわゆる成功者と呼ばれる人は、結構な確率で破産、もしくはそれに近い経済的な大ピンチを迎えているらしい。

そこで、今回紹介するのがこちら。

 

ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み

ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み

 


株式会社日本レーザーという、工業用のレーザーを取り扱う社長さんの著書なのだが、けっこう売れている。

タイトルの通り、本書の目玉は「ありえないくらい人を大切にする経営手腕」についてだ。
しかし、それもおもしろいのだが、本書の冒頭で述べられているのは著者の近藤氏がこれまでの人生で7度の崖っぷちを経験しているということである。

 

著者が経験した7度の崖っぷち

 

●1度目の崖っぷち
28歳の若さで労組の執行役員になるも、オイルショックで1000人の首切りをさせられる。
→経営がしっかりしないと、人は守れないことを痛感

 

●2度目の崖っぷち
28歳のとき、初めての子ども(双子)が血液型の不適合で死亡。以後、現在に至るまで子宝には恵まれていない。

 

●3度目の崖っぷち
米国法人に行くも、そこでも全社員の20%をリストラせよと指令を受ける。そのうえ、二度の胃潰瘍と大腸ガンを患う。

 

●4度目の崖っぷち
日本に戻ったらまたリストラ(左遷)宣告の仕事。

 

●5度目の崖っぷち
毎年赤字が続き、1億8000万円の債務超過に陥っていたポンコツ会社「日本レーザー」への出向と再建を命じられる

 

●6度目の崖っぷち
日本レーザーの社長就任直後、信頼していた右腕の常務が商権と優秀な部下を引き連れて独立。

 

●7度目の崖っぷち
なんとか赤字を復活させ、親会社である日本電子からの独立を目指す。だが、銀行から借り入れに際して個人保証という条件を提示され、失敗すれば自分も破産せざるを得ない状況になる。

 

なかなか波乱万丈な人生である。(全部が「崖っぷち」と呼んでいいかどうかには異論の余地があるが)


そして、やはりサラリーマンである以上、どれだけ優秀な人間であっても、ぜったいに会社にこき使われてしまうのだなぁというのを感じた。

 

会社の役割とは何か


とはいえ、これだけの経験を重ねてきた近藤氏は、日本レーザーの再建の際、次のような哲学を掲げたという。

 

★会社の存在意義とは安定した雇用を提供することである
★雇用の安定が社員のモチベーションを高め、それが会社の成長となる
★社員を守れなくなるので、赤字は犯罪である
★会社の業績はすべて社長次第


そのため、同社は


・定年は70歳(将来的には80歳も目指している)
・家族の都合や病気で働けなくなっても給与を支払うケースもある
・TOEICの試験のための勉強会や受験料の負担
・新卒一括採用を廃止して、通年採用に
・人によって異なる雇用契約を結ぶ
・「今週の気づき」「今週の頑張り」などで積極的なコミュニケーションをとる

 

などの施策を実施している。

 

ちなみに、経営の本を普通のサラリーマンが読んでも余り役に立たないと思われがちだが、そんなことはない。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということばもあるが、こういう経営者の人たちがどういう思考回路で物事を考えているのかを知ることは、ビジネスで役に立つ機会もある。

また、本書で大きく扱われているリストラというやつは、切られるほうもつらいが、切るほうもなかなか精神的な負担が大きそうだとうかがい知れる。それは、ジャック・ウェルチの著書でも述べられていた。

 

ジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫)

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「運」は自分で上げられる


個人的に興味深いのは、最終章で、近藤氏が自身の人生に対する哲学を述べている部分である。
近藤氏は自分が幾度ものピンチを乗り越え、日本レーザーの経営再建を果たした要因を振り返ったとき、このように語っている。

 

「運がよかった」

 

結局それかい!
と突っ込みたくなるが、もちろんこれは他力本願のものではなく「天は自らを助くる者を助く」という意味である。

 

新・完訳 自助論

新・完訳 自助論

 

 

運というと、自分の努力ではどうしようもない印象を受ける。

私は最近、「運」とは「雰囲気」と似たものかもしれないと思っている。

 

「雰囲気」とはなにかというと、その人からなんとなくかもし出されるぼんやりしたものだ。
しかし、いろいろな人を見ていると、明らかに雰囲気の良い人と、雰囲気の悪い人がいる。

 

雰囲気は自分で変えられる。

それと同じように、「運」も自分で変えられる。

 

おわりに

 

「運」については、なんとなく今後、多くの人から注目を集めそうな気がしないでもない。ここら辺の研究は、今後、進んでいくのではないかと思っている。

本書の最後では近藤氏が教える「運を高める方法」についても述べられているので、気になる人は読んでみてほしい。

 

ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み

ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み

 

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。