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本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

アニメ『ガッチャマン クラウズ インサイト』に圧倒的に足りなかったもの~ついでに映画3作のレビューも~

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今月の19日くらいから謎の高熱と頭痛と鼻づまりとのどの痛みと倦怠感に苛まれ、しかも奥歯が痛くて歯医者に行ったらさらりと「親知らずを抜きましょう」といわれてマックス憂鬱な気持ちになり、そのうえ再度病院に行ったらなんの心の準備もなく人生初の採血されて心が折れ、半ば意識が朦朧としながら生ける屍と化していた私だが、そんな状況だったのでシルバーウィークもその後の休業中もじっくり本を読むことさえできず、とりあえずアニメをチェックしたりテレビをぼんやりと眺めたりしていた。

 

さて、そろそろ夏アニメも終わりということで、先週にかけて各アニメが続々と終了していったが、個人的に残念だったのは割と気に入っていたガッチャマン クラウズ インサイトである。ジョーさん(笑)が見切れているのに他意はない。

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ガッチャマン クラウズ インサイトについて

本作は2013年に放送されたガッチャマン クラウズ』の続編であるが、タイトルの通り有名なアニメ科学忍者隊ガッチャマンシリーズの一作である。とはいえ、世界観も設定もいわゆる本家とはまったく別物となっていて、最近はやりのいわゆるひとつの「リブート作品」といえるものだろう。

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本作の特徴的なところは、「正義の味方」であるガッチャマンたちが主人公であるにもかかわらず、それと対立する存在であるはずの「絶対的な悪」がいないという点。そして、シリーズでは一貫して「ヒーローとは何か?」という問いかけを視聴者に投げかけている。

とくに第2期である「インサイト」では前期以上に日本の社会に対するメッセージ性の高い内容で、「空気に流される国民性」を痛烈に批判している。そして主人公であるはじめちゃんこと一ノ瀬はじめはこの「空気」こそが真の敵であると看破し、社会を変えるための戦いに挑むのである。

この作品に足りなかったもの

本作はそうしたなかなかむつかしいテーマを真正面から扱いつつも、それなりに納得感を持って答えのひとつを提示しているという点においては評価できる。個人的に絵柄も好みだし、OPがセンス全振りなのも高ポイントだ。

しかし! しかしである。

まずマジメすぎる。ギャグなど一切いれず、すべてのキャラクターが常に真剣に取り組んでいるのがちょっと物足りない。徒花は「ギャグ」や「エロス」は作品を引き立てるスパイス的な要素だと思っているので、そうした側面がいい塩梅で入っていればもっとおもしろかったのに……と思っている。

それから、バトルものなのに圧倒的にバトルが足りないのだ。1期目ではまだ一応、明らかな敵キャラクターがいて、生死をかけるような熱いバトルが後半に展開された。しかし2期目は最初のほうでそうした展開がちょこっとあったものの、後半になるとバトルは儀礼的なものになり下がり、手に汗握るような白熱した展開が見られなかった。ここも、なんとも見終わって不完全燃焼気味になってしまった要因であると考えている。

そしてもうひとつ、この作品に根本的に欠けていた要素があるのだが、それは後述する。その前に、本作が抱えていた根本的な問題点を考察しよう。

主人公を神格化しすぎ

主人公の女子高生、はじめちゃんはかなり達観した人物である。感情に左右されることもなく、すぐに物事の本質を見抜き、冷静にその解決策を見出し、自らを犠牲にすることもいとわずに人々を正しい道に導く。そしておっぱいも大きい。

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キャラクター|ガッチャマン クラウズ インサイト|日本テレビより

だがしかし、やはりこうした主人公だと視聴者は共感しづらいし、物事がすべてスムーズに進みすぎてしまう。ということで、2期目から登場するつばさちゃんこと三栖立つばさ(みすだち・つばさ)が役割を持てる。

 

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キャラクター|ガッチャマン クラウズ インサイト|日本テレビより

彼女はまさにつばさちゃんとは正反対に、「未熟」を体現したようなキャラクターだ。一時の感情に流され、表面的な部分に拘泥し、熱血ですぐに冷静さを失ってしまう。彼女の行動は視聴者をイラつかせるが、それはおそらく見ている人が持っている「自分の嫌な部分」と共鳴してしまうためだろう。

というツイン主人公で2期は進むわけだが、はじめちゃんと対照的なつばさちゃんの登場ははじめちゃんの「悟りっぷり」をさらに増長させ、彼女を神格化させてしまったのだ。これがけっこう致命的になっているように感じる。つまり、「はじめちゃんも普通の女子高生である」ということを視聴者に忘れさせてしまったのだ。

このデメリットが効果的に働いてしまうのは、つばさちゃんが自分を犠牲にして社会に平和をもたらそうとするシーンである。本来、こうした自己犠牲的な行動は感動を与えるものだが、変につばさちゃんが常人離れした精神構造を発揮してしまっているがために、「はじめちゃんなら自己犠牲的な行動をするのも当たり前」のように感じられてしまうのだ。

しかしこの弊害、じつは1期目ではちゃんとカバーされている。

彼女が自分の存在を賭けて終盤に大きな決心をしたとき、彼女は電話でいきなり自分の母親に電話をしたのだ。それまで親の存在なんて一切描かれていなかったにもかかわらず、である。一見するとまったく不要のシーンにも思えるが、彼女のこの行動こそ「はじめちゃんもお母さんがいる普通の女子高生なんだな。それなのに世界を救うために自分を犠牲にしようとしているんだな」ということを視聴者に思い出させ、切なさを抱かせるのである。

ところが2期では、1期と同様にはじめちゃんが自分の命の危険も顧みずにある決心をしたところでフォローがなかったので、上記のような切なさを感じられなかった。これが、私が2期目を見終えて「残念」と感じた部分だった。

ガッチャマン クラウズ インサイト』に足りなかったのは恋愛要素!!

と、批判するのは簡単だが、かといって1期と同じように親を引っ張り出す展開はつまらない。ということで、私なりにどういう展開にすれば1期目と同様のカタルシスを与えられたのかを考えてみたところ、「恋愛」――すなわち恋人の存在意外にはないのではないのかという結論に至った。

そもそも、なぜ「母親」という存在がはじめちゃんの神格性を取り除くのかといえば、それは母親はほかの人よりもはじめちゃんの身を心配する特別な人だからだ。はじめちゃんにも「お母さんを悲しませたくない」という思いがあることを示すことで、そうした葛藤を乗り越えて彼女が決断したことに人は感動を覚えるのである。

そこで2期では、母親と同じくらいのレベルの特別な人が必要だった。そしてそれは、家族でないとすれば互いに愛し合う恋人だろう。はじめちゃんが決意するにあたって「恋人を悲しませたくない」という思いを示していれば、むしろ1期を超えるカタルシスが生まれた可能性は十分にあったのだ。

その候補はいた。先輩こと橘清音(たちばな・きよね)である。

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キャラクター|ガッチャマン クラウズ インサイト|日本テレビより

彼は時々、はじめちゃんに対して単なる後輩以上の思いを持っていることをうかがわせるようなシーンがあった。ただし、それは不十分でもあった。先輩はもっぱらほかのモブの女の子とばっかり絡むチャラ男となっていて、少なくとも徒花は彼が「はじめちゃんに強い恋愛感情を抱いている」とは感じられなかったのだ。また、はじめちゃんのほうはもっと淡白で、そもそも先輩を恋愛対象としてまったく見ていないように感じられた。

だからこそ、徒花は考えてしまうのである。もしもはじめちゃんと先輩がちゃんと恋人として相思相愛の状態で付き合っていて、はじめちゃんが決意する際に「先輩を悲しませたくない」という思いを持っていることが表現されていたらなぁ……と。まぁ、また新しいアニメが始まるので、いろいろ期待しておこう。

療養中に見た映画3本のレビュー

というわけでこっからは話題を変えて、病気の療養中に見た3本の映画のレビューをば。基本的に頭が働いていなかったので、とにかく考えなくても見られるような映画をセレクトしていた。(それでも2時間を見続けることができず、ときどき眠って休憩を取りながら見ていたが)

『思い出のマーニー』

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あんまりおもしろくなかった。思った以上にキマシな内容だったが、魅力はそこだけだろうか。オチも予想がついたものだし、陳腐な感じがした。しかも、登場人物が軒並みみんな「いい人」ばっかりで、それがまた作品をつまらなく仕上げている。

ファインディング・ニモ

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ふつー。青いナンヨウハギのドリーは健忘症を患っていて、ほかのディズニー映画では見られないような独特なキャラクターだったけど、とにかく見ているとイラつく。ただ、さすがはディズニーといったところで、エンターテイメント作品としてはとくに文句の付けどころはなかった。

ミュータント・タートルズ

ミュータント・タートルズ (字幕版)

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 ふつー。まぁ、想像していた通りのアメリカンなムービーだった。日本だとチームのリーダーは赤色を身にまとうのが普通なので、リーダーのテーマカラーが「青」というのがどこか新鮮だった。そもそも、日本では「死」を連想させるために忌み嫌われる4人でワンセットになっているのも珍しい。昔、アニメを見ていた記憶だけはあるのだが、さっぱり内容は覚えていなかったので、アニメ版を見返してみようかという気持ちにちょっとなった。

 

体調は回復しつつあるが、まだいまいち調子が元に戻らないので、今週いっぱいは仕事を休むかもしれない。ので、明日あたり、また何本か映画を借りてきてみようかとも考えているが、同時にニコニコでとあるゲームの実況プレイ動画を見始めてしまったのでなやましいところである。

 

こんなところで、お粗末さまでした。