本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

エクストリームな読書会レポート(2018年3月17日開催)

 
参加者は私を含めて10名。男性4名、女性6名。学生さんから社会人まで年代はさまざまだし、読書会初参加の人も数人いた。バラエティ豊かなメンツだったと思う。
 
私の経験から言えば、ビジネス書に限定した場合を除き、読書会は女性の参加率が高い。本の紹介も、女性のほうが熱が入っている(気がする)。
 
冒頭で簡単な自己紹介をして、一巡したらそれぞれ持ってきた本を紹介。けっこう活発に質問や意見が飛び交い、盛り上がっていただけたのでとりあえず主催者としては一安心した
 
以下、読書会で紹介された本を紹介。(紹介順は実際に話した順番) 
 

『スゴ運。』

スゴ運。

スゴ運。

 

 

これは私が紹介した本。
 
著者は開運コンサルタントとい“ううさんくさい”人で、冒頭から自分の銀行口座の写真を掲載するなど、いかがわしさMAXな一冊。
 
内容のベースになっているのはおそらく東洋の占い「奇門遁甲で、そこに九星気学風水をミックスさせた著者オリジナルの占い。奇門遁甲は以前に本も読んだが、こちらより完結で分かりやすい。
 

『Katsukura』

かつくら vol.25 2018冬

かつくら vol.25 2018冬

 

  

ハゲさんの紹介。こちらは書籍ではなく、文芸書好きのための雑誌。
 
もともとは『活字倶楽部という1994年創刊の歴史ある雑誌で、いろいろな出版社の変遷を経てきたそう。しかもハゲさんは創刊号まで持ってきていらっしゃったので、これだけで筋金入りの本狂いであることがうかがい知れる。
 
私の場合、雑誌はたまに読むくらいだが、パッと見た感じ『ダ・ヴィンチ』よりもディープで玄人向けな感じなので、買ってみたい。
 


『神さまたちの遊ぶ庭』

神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)

神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)

 

  

Tomoさんの紹介。著者の宮下奈都さんは羊と鋼の森が2016年の本屋大賞を受賞した作家さんで、私がついこの間読んだ新書『書店員X』でも彼女の『スコーレNo.4』が紹介されていたので見覚えがある名前だった(どちらも読んではいない)。

 

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

 

こちらの本は小説ではなくエッセー。夫の希望により、小中学生の子どもをつれて福井県から北海道の田舎に移り住んだ生活がつづられている。美しい大自然やそこで暮らすやさしい人々との交流がやさしい文章でつづられている。
 
BUBIさんの紹介。ご存知の人も多いだろう、週刊少年ジャンプにて連載中のコミック。
 「おもしろい」という話は聞いていたが、まだ読んだことはなかった。BUBIさんによれば、映画化された名作コミック『DEATH NOTE』に近いおもしろさがあるらしい。
 
舞台はほかの世界から隔絶された孤児院。映画『PAN ネバーランド、夢のはじまり』でもそうだったが、ピーターパンは孤児院の子どもだったという設定もあるようなので、そこを踏襲しているのかもしれない。ただし、舞台設定はけっこうダークだが、そんな環境からの脱出を試みる心理戦が繰り広げられる。
 
 

『少女ポリアンナ

新訳 少女ポリアンナ (角川文庫)

新訳 少女ポリアンナ (角川文庫)

 

 

ぽりにかさんの紹介。不幸な境遇ながらスーパーポジティブな少女ポリアンナと周囲の人間の拘留を描く物語。その象徴が「よかった探し」というゲームで、どんなに不幸なことが起きても、そのメリットを考えることで明るく生きていく方法が紹介される。 これは「ポリアンナ症候群」という心理学的な名前もついている。ぽりにかさんのハンドルネームの由来にもなっているとのこと。

 

私は全然記憶になかったが、フジテレビ系の『ハウス世界名作劇場』にて「愛少女ポリアンナ物語」というタイトルでアニメ化していた。 

愛少女ポリアンナ物語(1) [DVD]

愛少女ポリアンナ物語(1) [DVD]

 

 ちょっと読んでみたい。 

 


アメリカ文学入門』

アメリカ文学入門

アメリカ文学入門

 

 

リョウスケさんの紹介。アメリカ合衆国設立当初から2000年代まで、アメリカで著名な文学作家を紹介しながら、なぜその作家がそのような作品を書くに至ったのかをなぞるように、そのときどきのアメリカ社会や、人種差別、南北問題など、いまもアメリカに根付いている社会的テーマを学ぶことができる。

 

そもそも、アメリカの歴史ってあまり学ぶことがないし、当然ながらその背景となる社会などを知っていたほうが物語そのものも楽しむことができると思うから、これは個人的に興味深い。

 

遠い海から来たCOO

遠い海から来たCOO (角川文庫)

遠い海から来たCOO (角川文庫)

 

 

おとかーるさんの紹介。私もタイトルは聞いたことがある、直木賞を受賞した名作。舞台はフィジーで、そこに暮らす日本人の少年が不思議な生き物COOを見つけ、育てる物語。

 

調べればすぐにあらすじが出てくるが、少年が育てるのは絶滅したはずのプレシオサウルスで、それが世間に知れ渡ってしまうことでいろいろと問題が起きていく。というあらすじだけ読むと子ども向けのほのぼのファンタジーにも思えるが、けっこう当時の社会情勢をテーマに含んだ社会派の物語。

 

 

『心が雨漏りする日には』『愛をひっかけるための釘』『中島らも短篇小説コレクション: 美しい手』

心が雨漏りする日には (青春文庫)

心が雨漏りする日には (青春文庫)

 
愛をひっかけるための釘 (集英社文庫)

愛をひっかけるための釘 (集英社文庫)

 

 

ichikoさんの紹介。中島らもって私も『明るい悩み相談室』は読んだことはあったが、じつは小説やエッセーは読んだことがないし、どういう人なのか詳しくは知らなかった。『心が雨漏りする日には』は自分の躁うつ病に向き合ったエッセーで、だけど陰鬱になりすぎることもなく、しみじみと読めるという。

あと、元々広告代理店でコピーライターをやっていたそうで、タイトルをはじめとした言葉の選び方が秀逸。3冊目は小説だが、個人的にはまず小説を読んでみたい。あと、

 

ちなみに、ichikoさんからはこちらの本もご紹介いただきました。こういう「本当は怖い」系の本も私は好き。

 

『データの見えざる手』

 

シタンさんの紹介。人間の動きを測定するウェアラブルセンサを通じて、データを重ねることで人間の活動限界やマネジメントのヒントを探っていく一冊。タイトルはアダム・スミスの「神の見えざる手」をオマージュしているのだろう。

軽く話を聞いただけだが、人間の動きを測定するだけでそんなところまでいろいろ推測が立てられるのかというのは驚き。個人的にこういう本好き。

 

総括

 

テーマもジャンルも年齢も性別も制限せずに開催したので、さまざまなジャンルの本が紹介されておもしろかった。読書会の醍醐味はいろいろあるだろうが、個人的には「それまでの自分だったら絶対に本屋で手に取らないだろう本」の魅力を直接聞けるのは楽しい。

あと、私は仕事として本を作っているけれど、意外と「普通の読者」と触れ合う機会はあまりないので、こういう場で率直な意見や反応が見れるのもおもしろい。

 

次回も開催する予定だけど、いつにするかは未定。居酒屋読書会のリクエストがあったので、次回は20歳以上に制限して、夜間に開催するかもしれない。

 

あと、今回自分で読書会を主催してみて、読書メーターで募集するとけっこうすぐ人数が集まることがわかった。基本的にはまず私のコミュニティで募集をかけて、のちのち一般にも告知していくスタイルにしようかと考えている。

 

ということで、コミュニティはこちらです。


 

今回はこんなところで。