本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読んで「自分のことしか考えられない自分」から脱却する

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ナゾノクサかわゆす

 

もくじ

 

今回紹介するのはこちら。

自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2006/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 156人 クリック: 3,495回
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いわゆる自己啓発書であります。

自己啓発書「しあわせに生きる方法」を伝授する本であるが、往々にしてその内容を実践するのは難しい。

本書もしかり。

 

タイトルと作り方がうまい

端的に感想を述べるなら、たいへんおもしろい一冊だった。

どういうことを述べているのかは以下で述べるが、単純に表現方法がうまい。

 

まずタイトル。

タイトルの付け方の鉄則というのがあって、見た瞬間、潜在読者に「!」か「?」を思い浮かばせるのがいいタイトルなのだ。

 

本書の場合、後者に当てはまる。

ハッキリ言えば、タイトルだけ見ると「何言ってんだコイツ」というものである。

 

ただもちろん、あまりに意味不明すぎてもいけない。

意味は分からないけど、なんとなく意味を知りたくなるようなものにしなければならない。これが難しい。

 

内容はとある会社に転職してきたエリートサラリーマンが、その会社の伝統的な研修で自分のなかの「箱」に気付き、考えを改めていくという『嫌われる勇気』スタイル。

ストーリーはそもそもそれ自体が人を惹きつける力を持っているので、ともすれば単調で抽象的になりがちなビジネス書や自己啓発書の内容に読者を引き込むための要素となっている。

(ただし、Amazonの低評価レビューを見ると、ストーリーそのものに鬱陶しさを感じる人も多いようだが)

 

「箱」とはなにか?

本書の根幹となっているのが「箱」という概念である。端的に言えば、「箱」に入っている人間は物事がうまくいかない。

なぜなら、「箱」に入っている状態というのは「自分のことしか考えていない」状態だからだ。

「箱」という言い方でしっくりこない場合は、「自己欺瞞」という言い方もしている。これについては詳述する。

 

たとえば、自分の子どもが騒いでいて、それを親が叱る場合を考えてみる。

もし、親が「箱」に入っている状態だと、子どもはそれに反発する。

なぜなら、親が怒っている理由が「自分の不快な感情を解消したいから」というのに子どもは気づくからだ。

結局自分のことしか考えていないのだから、それに反発したくなるのは当然である。

 

一方、親が「箱」に入っていない状態だと、同じように親が叱っても、子どもは素直に従う。

なぜなら、親が「自分のために」叱ってくれていると子どもも感じるからだ(つまり、「公共の場でみだりに奇声を発するのは将来的にあなたの社会的信用を損ないかねない行為である」と教えてくれている、というようなことを感じ取る)

 

これは上司と部下の関係など、あらゆる人間関係に対応できる。

 

誰しも「箱」に入っているのがデフォ

で、問題は「自分が『箱』に入っているか否か」を判別する方法が曖昧である……という点だ。

これは本書でもあまり明確には示されていない。

 

だが読み方を変えれば、「誰しも“絶対に”『箱』に入っている」と伝えているような気がしてならない。

つまり、人間はそもそも「自分の利益を最優先させる」生き物なのだ。

 

ただし、これを性悪説と結びつけるのは早計だ。

そもそも「自分の利益を最優先させる」のは生物として自分の生命を守るためには必要なシステムであり、それ自体を否定するわけではない。

 

とはいっても、よほどのことがない限り命を他社に奪われるリスクがない現代社会においては、自ら意識的にこの本来持っているシステムを自らコントロールしたほうが、じつは成功をおさめやすくなっているのである。

 

金を儲けたい人が第一に考えるべきこと

たとえば「金を儲けたい」と考えているとする。

しかし、こういう考え方を持っている人はまず金を儲けることはできない。

なぜなら、これは「自分のこと」しか考えていない(=『箱』に入っている)からだ。本書では「相手を『人間』としてみているか、それとも『モノ』としてみているか」とも表現されている。

 

そこで必要なのは「金を儲ける」ということが、なにを意味するのかを再定義することだ。

資本主義社会においてもっとも金を儲けているのは、じつは「もっとも他者に利益をもたらしている人」なのである。

 

たとえば日本有数の金持ちとして長者番付にもランクインするファーストリテイリングの創業者・柳井正氏は、ユニクロというブランドを立ち上げることで安くて高品質な衣料品を世の中に提供することで、多くの人々に利益をもたらしているからこそ、その対価としてたくさんの金を儲けることができたのだ。

 

とすると、じつは金儲けをしたい人が考えるべきは「どうすれば自分の力で、できるだけ多くの人の役に立てるだろうか」ということである。

他者の利益ばかりを追求することが、結果としてその人に富をもたらすのである。

これが、資本主義社会の厳然たるルールなのだ。

 

「箱」から出る方法

――は、もう説明している。が、いちおう補足しておこう。

 

●人はちょっと気を抜くとすぐに「箱」に入ってしまう……ということを認識すること

●自分が「箱」に入っているかどうかを知るのは難しいが、じつは他人は相手が「箱」に入っているかどうか、すぐに察知する

 

「自己欺瞞」とはなにか?

本書では「箱」を「自己欺瞞」とも表現している。なかなかムツカシイ言葉である。欺瞞とは“騙す”ということだ。

つまり、自分で自分を欺いくことが、「箱」に入ってしまう要因になってしまうのである。

 

本の中の一例を簡単に紹介しよう。

ちなみに、本書の主人公が男性なので例も男性を想定したものになってしまうのはご了承いただきたい。

 

あなたはぐっすり寝ていた。が、突如、赤ん坊の泣き声で起こされる。生まれたばかりの自分たちの子どもが夜泣きを始めたのだ。妻はすぐに気付かず、寝ているようだった。

ここで、あなたは思う。

どう考えても、先に目が覚めた自分がベッドから抜け出して赤ちゃんをあやすのが「良い行為」である。

面倒くさいからといって寝たフリをし、妻が起きるのを待つのは「悪い行為」である。

しかし、あなたの中では「面倒くささ」のほうが勝ってしまい、寝たふりをすることに決めた。

 

すると、その途端にあなたは自己欺瞞を開始する。

「自分は一日仕事をして疲れているし、明日は朝も早い。家の中にずっといる妻が赤ちゃんの世話をするのが、分配的には当然じゃないか?」

「そもそも、自分はこんなに疲れているのにわが子の泣き声を敏感に察知して目覚めた。一方、妻はまだ寝ている。自分はとってもいい父親だ。妻にもいい母親になってもらう必要があるから、妻を起こして世話をさせるべきじゃないのか?」

「夜泣きはあまり相手にしすぎないほうが子どものためになると、どこかの本に書いてあったような気がする。だから、ベッドの中でジッとしているのが最良だ」

 

こんなふうに、あなたは自分を騙すためにさまざまな理由を掲げ、さらには妻を“敵”として認識してしまうようになるのである。

 

自己正当化によく使われる言い訳

自己正当化もおそらく、生物……として埋め込まれたプログラムのようなもので、意識していないと誰もがそうしてしまう条件反射なのだと思う。

自己欺瞞と言うのは「やるべきだと頭ではわかってたけどやらなかったこと」「やるべきじゃないと頭ではわかってけどやってしまったこと」を正当化する行為であり、次のような言い訳がよく使われる。

 

●時間がなかった

●忙しかった

●自分の仕事ではない

●相手のためにならない

●いろいろストレスの多い時期だった

●疲れていた

●本に書いてあった(テレビで言ってた、偉い人が言ってた)

●体調が悪かった

●タイミングが悪かった

●あの状況では仕方なかった

●みんなもやっている(みんなもやってない)

●自分のポリシー(美学)に合わない

●まだ若いから

●もう年だから

●原因を作ったのは自分じゃない

●問題は相手にある(相手のミスだ、政治家が悪い、会社の制度が悪い)

 

 

原因はあなたにある

なにか、人間関係のトラブルや、問題が起きたとき、おそらく、原因はあなたにある。

こんな本もある。

 

100%自分原因説で物事を考えてみたら……

100%自分原因説で物事を考えてみたら……

 

 

というような言い方をすると、すぐ自己嫌悪のトルネードに沈みこむ人もいるかもしれないが、個人的に大切にしたほうが思うのは「諦観の念」だ。

 

結局、人間はエゴイストな生き物であり、たちが悪いことに、多くの人はそれに気づいていない

――ということに少なくとも自分は気づくことで、この世は生きやすくなる。

 

私の生きるスタンスは「まったく、しょうがないなぁ!」である。

このしょーもない世の中の連中を、私が少しだけガマンしながら、どうにかしてやっているのである。

このくらいの傲岸不遜な態度が、楽になるんじゃないか。

こんなことを考えながら、私は今日ものらりくらりと生きている。

 

自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
  • 出版社/メーカー: 大和書房
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おわりに

最近、セールスライティングの勉強をしているのが、これがなかなかおもしろい。

当たり前だが、本の文章を書くのとはまったく違っていて、いかに「興味のない人をひきつけるか」に軸足が置かれている。

 

んで、今回のエントリーはあえて改行と一行空けを多用してみた。

読みやすくなったような気がする!

ので、今後はもうちょっと意識していこうかと思う。

(暇があったら過去のエントリーもいろいろ手を加えるかもしれない)

 

あと、商品の紹介は「頭」と「お尻」につけるのが効果的……というのもどっかに書いてあったので、紹介している書籍の紹介は最後にもするようにしている。日々是学習

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。