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本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

はてなブログにはあんまりおもしろい人がいない

その他

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本の編集者の仕事はあまり理解されていない。

もくじ

初対面の人に仕事を聞かれて「本の編集者してます」と答え、「じゃあ、いつも文章を読んでいるんですか?」と尋ねられるならまだいいほうだ。もっとズレた問いになると、「じゃあ、文章を書くのが仕事なんですか?」といわれる。それは著者、もしくはライターさんの仕事なので、編集者は基本的に文章を書かない。

編集者という仕事自体はよく知られているが、どちらかというと一般の人の中では雑誌編集者のイメージが強いような気がする。よくよく考えてみれば、ドラマやマンガのなかに登場する編集者たちは圧倒的に雑誌の編集者だ。書籍の編集者が普段何をしているかは、意外と知られていない。というわけで、ビジネス書系の編集者をしている徒花が普段なにをしているのか、ちょっと紹介しておこう。

原稿の催促はほとんどしない

著者やライターさんから送られてくる原稿を読むのは、たしかに書籍編集者の仕事ではある。ただ割合的に考えれば、そうした原稿整理はあまり大部分を占めない。だからといって、よくマンガの編集者がやっているような原稿の催促をしているわけでもない。

そもそも、催促しないと原稿を送ってこない人というのは(少なくとも書籍に限っては)ごくごく一部だ。たいていの人は、ちゃんとこっちで締め切りを伝えれば送ってくれる。ライターさんだと送ってくれない人の割合が高まるが、私はそういう人は次回以降、使わない。

一番労力と時間を使うのは企画の立案

それでは私が普段何に一番労力と時間を使うのかというと、「書籍企画の立案」である。本屋さんやAmazon紀伊國屋書店が提供している書籍の売り上げデータベースサービス「Punline」などをチェックして最近売れている本を調べること。講演会やトークショーやサイン会など各種イベントに参加しておもしろそうな人を発見すること、そして、ニュースサイト、コラムサイト、オピニオンサイト、そしてブログサイトなどを周遊して、ここでもおもしろそうな人がいないか探すのである。

そして、おもしろそうな人がいたらコンタクトを取り、実際に会って話をしてみて、いけそうであれば企画書を作って上司に提案する。それで決済を取り、会社として正式にGOサインが出されれば、発売日までのスケジュールを組んで予算を定め、デザイナーさんやイラストレーターさんやライターさんなどの人員を手配して実際の制作に入っていくのだ。はっきりいって、ここまでくればあとの原稿整理や赤字入れなどは機械的な作業なので楽である。大変なのは企画書を作ってGOサインをもらうまでなのだ。

とはいえ、実際の制作業務が始まったからと言ってそれに専念できるわけではない。そのあいだに次の本の著者候補を探してまた企画を考えておかなければならないからだ。私の場合、実際の制作業を進めているのが2冊、決済が取れそうな企画が2本、それ以外にコンタクトを取って一人水面下で企画を練り上げているのが10本くらいある。プラス、とりあえず会いたいと思ってイベントに参加する予定が10個くらいだ。

また、私の会社はあまり規模が大きくないため、編集部の中で一番年少者の私はそれ以外の雑務もやる。具体的には「書店からの電話注文を受付」「会社のFacebookTwitterアカウントの管理」「Amazonへの新刊情報登録(私が担当した書籍以外も全部やる)」「Amazonの中見検索登録」「翻訳本の税務書類を税務署に提出しに行く」「見本誌の送付」などなど。

はてなブログにはあまり魅力的な著者候補がいない

さて、前述したように、徒花は著者候補を探すため、日常的にいろいろなブログサイトを見て回っている。自分がはてなブログで書いているくせにこんなことを言うのはアレだが、はてなブログにはあまり私の興味を引くような人がいない。考えてみると、おそらくはてなブロガーの多くは「ブログらしい記事に特化している」からだ。

たとえばホッテントリにあがる記事の多くは、近々のニュースや社会現象にコメントしたものや、本や映画の名作をまとめたもの、ハウツーものなどが多い。これらのエントリー、たしかにブログで読んでいる分にはおもしろいし、なるほどアクセスやスターをたくさん集めるのはとてもよく理解できるのだが、じゃあその人気ブロガーの人の記事をまとめて商業出版として刊行したいと思えるものにはなかなか出会えない。私も本や映画のレビュー記事が多いのであまり偉そうなことはいえないのだが、要するに「他人の褌で相撲を取っている」人が多く、ブロガーその人の魅力がないのである。

ブログの書籍化を狙っているなら

もちろん、これらの指摘はあくまで「著者候補を探す」という視点で評した場合の話だ。そのため、アフィリエイトの収入を目的としていたり、あくまでブロガーとして有名になりたいと考えていたり、単に自分の趣味として書いている人には余計なお世話であることは重々承知している。それに、ブログを書き続けることは確実に文章力を上げることにはつながると思うので、ライターを目指している人にはたくさんのアクセスを集めるブログを持っていることはいいことだろう。

だが、もしもブログの書籍化を望んでいるのであれば、いわゆるネットに氾濫しているテクニックなどを駆使してとにかくアクセスを集めればそれでいいというわけではなかろうか。書籍を作るにあたって私が一番大事だと思っているのは、「その人だからこそ言える(説得力がある)かどうか」である。たとえば私だってハロウィンのばか騒ぎをテーマにエントリーを一本書くことはできるが、私は別にハロウィンの専門家でもなければ社会学者でもなく、集団心理の専門家でもないので、そこで言っていることの説得力は低く、薄っぺらいものになってしまう。

おわりに

個人的な感覚にはなってしまうが、おもしろい人がよく見つかるのはなんだかんだアメーバブログである。アメーバブロガーたちはなんだかキャラが濃い。それに比べると、はてなブロガーはなんだか薄味で、インパクトに欠けるのだ。そもそも、はてなブログで人気を集めやすいのが上記のような内容の記事なので、方向性を変えるのであればブログサイトそのものを変えるのも方法のひとつではあるのかもしれない。ちなみに、小説の場合は、なんだかんだ「小説家になろう」をチェックしている人が一番多いような気がする。

また、別に出版社での商業出版にこだわらないのであれば、いまはAmazonキンドルダイレクトパブリッシングで誰でも手軽に電子書籍自費出版できる。そっちのほうが、収益率だっていいはずだ。さて、部屋の掃除をしよう。

それでは、お粗末さまでした。