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本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『水滸伝』を読んでみたらやっぱりとんでもない話だったでござる

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今回のエントリーはこちらの記事の続き。めちゃくちゃ長いよ!きをつけて!

 

 

もくじ

 

では行ってみよう。ちなみに、赤字はメインキャラクターである水滸伝百八星の一員、青字は敵キャラクターである。

 

水滸伝 中 (岩波少年文庫 542)

水滸伝 中 (岩波少年文庫 542)

 

 

 

23.潘金蓮、夫武大郎を毒殺すること

さて、素手で虎を退治した武松が呼びかけられて振り返ると、彼を呼び止めたのは彼の兄・武大郎だった。大郎は武松を自分の家に招いて滞在させることにし、妻の潘金蓮(はくれんきん)に紹介する。すると彼女は武松のイケメンぶりに心酔し、誘惑し始めるのだが、もちろん武松はそれを断る。

ある日、武松は知事の命令で町を離れることになる。すると、その隙に潘金蓮は薬屋の主人・西門慶(さいもんけい)と毎日不倫にふけるようになった。そのことを知った武大郎は現場を取り押さえるが、逆に西門慶によってケガを負い、寝たきりになる。さらに、彼女は夫の弟・武松が帰ってきたら復讐されると恐れ、不倫の逢引きをしていた王ばあさんと一緒に夫の武大郎を毒殺してしまうのだった。

 

24.武松、兄のかたき西門慶を殺すこと

出張を終えて帰ってきた武松は兄が病気で死んだと聞いてびっくりする。潘金蓮を怪しんだ武松は死体を処理した何九(かきゅう)を脅して真相を知ると、復讐を決意。彼はさっそく潘金蓮と王ばあさん、そして近所の人を集め、彼らの前で王ばあさんの前に短刀を突きつけて真相を白状させて証言をとる。その後、潘金蓮をぶち殺して臓物をつかみ出すや、兄の霊前に捧げた。

さらに武松はその首を持ってすぐに西門慶の薬屋に行くと、番頭を殺して奥の部屋まで行き、西門慶の前に潘金蓮の首を投げ出して、西門慶を殺して首を切り取る。こうして復讐を果たした武松は、自首することにした。

 

25.孫二娘、十字坡にて人肉饅頭を売ること

自首した武松だが、知事は彼が好漢であることを知っていたのでいろいろ手配をし、死罪ではなく流刑に処する。こうして彼は2人の護送役とともに孟州へと向かう。

途中、居酒屋に立ち寄った武松と護送役の3人は女主人の出してきた酒と肉饅頭を食らう。だが肉饅頭に髪の毛が入っているようで、どうにも怪しい。さらに、女が今晩泊まっていくように勧めたため、用心した武松は痺れ薬が入った酒を飲むふりをして捨て、気絶したふりをする。するとそこで女は本性を現し、屈強な若者2人を呼んで3人を肉饅頭にするよう指示する。そこで武松は女をとっつ構えるが、そこに女の主人が戻ってくる。彼は武松の勇猛さを知って許しを請い、自らを菜園子・張青(さいえんし・ちょうせい)、そして妻は母夜叉・孫二娘(ぼやしゃ・そんじじょう)と名乗る。彼らは通りがかった旅人を殺してその人肉で商売をしていた。話すうちに意気投合した彼らは義兄弟の契りを結び、3日ほど滞在してから分かれることになる。

こうして、武松は無事に孟州にたどり着くのだった。

 

26.武松、施恩のために蒋門神をうちこわすこと

孟州の牢に収監された武松は、豪華な食事をもらうなどなぜか破格の好待遇を受ける。不思議に思った武松が尋ねると、典獄の息子である金眼彪・施恩(きんがんひょう・しおん)の指示らしい。施恩に会ってその理由を問うと、施恩は武松に頼みごとをしてきた。

施恩は盛り場で料理屋を経営していたのだが、最近来任してきた武官・張団練(ちょうだんれん)の部下、蒋門神・蒋忠(しょうもんしん・しょうちゅう)が縄張りを奪ったので困っているという。武松は施恩の頼みを快諾するが、ひとつの条件を出す。それは『三なくんば望を過ぎず』というもので、要は酒屋の前を通るたびにその店で3杯の酒を飲ませろ、という要求だった。

約束通り、いい具合に酒が入った状態で蒋門神の酒場にやってきた武松は店に難癖をつけて暴れまわり、ついに往来で蒋門神と対決。アッサリと勝って蒋門神をポカポカ殴りつけていると蒋門神が命乞いをしてきたのでこれを許して逃がしてやり、無事に施恩は店を再興させることができたのだった。

 

27.武松、鴛鴦楼で血の雨をふらせること

ある日、武松のところに孟州警備の兵馬都監の使いの者が来て、彼は張都監と出会う。都監は近侍として仕えないかと誘い、武松は彼の部下となる。その後、中秋節のころ、鴛鴦楼(えんおうろう)という屋敷で月見を宴を催した張都監はそこに武松を招いて酒を飲ませ、酔っ払わせる。そこで彼はなぜか泥棒の濡れ衣を着せられ、やっと張都監にハメられたことに気づいた。じつは、張都監は張団練と義兄弟の盃を交わした間柄だったのだ。

逮捕された武松はすぐさま処刑されそうになるが、施恩や府知事の計らいで流刑に処され、護送役2人とともに孟州を旅立つ。だがその途中、張たちの息がかかった護送役が武松を殺そうとしたので、反撃した武松は2人を殺して刀を奪い、復讐のために孟州に踵を返すのだった。

武松は張団練の屋敷に行って馬丁や女中などを皆殺しにしながら鴛鴦楼まで進み、蒋門神、張都監、張団練を切り殺した。さらに金や銀の皿を懐に忍ばせて、駆けつけた近侍の者たちもすぐさま殺し、夫人や小間使いなども皆殺しにしてようやく腹の虫を治めたのだった(怒りすぎ)

さて復讐を果たした武松が逃げ出して間道にあった古いお堂で横になると、いきなり山賊に縛り上げられてしまう。これで一巻の終わりかと思ったが、なんとその山賊の頭領は菜園子・張青と母夜叉・孫二娘だった。こうして3人は再会を喜び、四方山話に花を咲かせるのだった。

 

28.行者武松、酔って孔亮をなぐること

さすがに大量殺人を犯した武松は指名手配され、もう町に戻ることができない。そこで武松は青洲にある二竜山・宝珠寺で山賊の頭領をやっている魯智深(ろちしん)楊志(ようし)を頼って旅に出ることにする。その際、身元がばれないように行者の格好をすることにした。

武松が途中、立ち寄った酒場で酒を飲んでいたが、近くで飲んでいた客にからんでケンカをし、ぶちのめす。その後、酔っ払った武松はその男が呼んだ3~40人の男たちにつかまって屋敷に連れられ、殴られていたが、ある男が出てきてその暴行を止める。なんと、その男は小旋風・柴進のところで義兄弟の契りを交わした及時雨・宋江(そうこう)だった。彼は柴進の屋敷を出た後にこの町の孔隠居の屋敷にかくまわれ、隠居の息子兄弟、毛頭星・孔明(もっとうせい・こうめい)独火星・孔亮(どっかせい・こうりょう)に武術を教えていたという。武松が酔って殴ったのは、弟の孔亮だったのだ。

すっかり再会を喜んだ彼らは酒を酌み交わし、武松は二竜山に向かう途中だと宋江に説明する。すると宋江は、「それよりも、自分は青洲の要塞の司令官である小李広・花栄(しょうりこう・かえい)に誘われているから、一緒に行かないか」と誘う。だが、武松は「自分は大罪人だから仕官できない、二竜山に行く」と答える。2人は一緒に旅立つが、途中で涙を流しながら別れるのだった。

 

29.宋江、恩が仇になって逮捕されること

ここから主役は宋江に代わる。

武松と別れて旅を続ける宋江は道中で山賊に捕まるが、山賊の頭である錦毛虎・燕順(きんもうこ・えんじゅん)矮脚虎・王英(わいきゃくこ・おうえい)白面郎君・鄭天寿(はくめんろうくん・ていてんじゅ)は、捕まえた人物が梁山泊の頭領・晁蓋(ちょうがい)の命の恩人である宋江と知ると頭を下げて非礼を詫び、酒宴を催した。

ちょうどそのとき、山賊の部下が一人の婦人をつかまえてきた。聞けば、この婦人は宋江が向かおうとしている清風塞の文官の妻だという。これから頼ろうとしている花栄の同僚の奥さんを殺すのをマズイと思った宋江はこの女を逃がしてやり、自分もその後、3人の頭領に別れを告げて清風塞の花栄の元を訪問する。花栄に山賊に囚われた女を逃がしたことを話すと、彼は「その女は助けなかったほうが良かったかもしれない」と話した。花栄の話によると、最近になって文官の劉高がこの清風塞の司令官となり、人民から金を搾り取っているというのだ。そして、その妻も領民をいじめ、賄賂を受け取っているのだという。

その後、町中で宋江が町でたまたま夫人に出会うと、彼女は「あの男は山賊の仲間だ」と夫に告げ口。たちまち宋江は逮捕され、拷問を受ける。宋江が逮捕されたことを知った花栄はすぐさま傷だらけの宋江を助け出し、軍勢を率いて劉高と対峙。自慢の弓の腕前を見せつけて劉高を震え上がらせると、そのまま宋江を逃がしてやることにした。

だが、宋江が逃げることを予測していた劉高は逃亡中の宋江をとらえ、さらに悪い青洲の知事・慕容彦達(ぼようげんたつ)、その部下である武芸十八般の達人、鎮三山・黄信(ちんさんざん・こうしん)と口裏を合わせて花栄にも奸計を仕掛ける。劉高と花栄の仲直りの酒宴と偽って花栄を招き、その途中で「山賊と同調した罪人だ!」と花栄を逮捕したのだ。宋江と花栄の2人は囚人として送り出されたが、その途中、護送車は山賊に襲われる。その山賊こそ錦毛虎・燕順、矮脚虎・王英、白面郎君・鄭天寿だった。3人は一緒に闘って黄信を退き、劉高をぶち殺して祝宴を挙げる。だが、「恩を仇で返したあの女を殺さないと腹の虫がおさまらん」と宋江、花栄、燕順、王英、鄭天寿は清風塞の乗っ取りを画策するのだった。

 

30.霹靂火秦明、焼野原を走ること

争いに敗れて逃げ出した黄信が清風塞に戻ると、知事はただちに稲妻のような声を発する豪傑、霹靂火・秦明(へきれきか・しんめい)を派遣。ここで、官軍の秦明と山賊側の花栄の戦いが繰り広げられる。だがサシの勝負では決着がつかず、軍勢同士の争いで花栄の策略で秦明軍は総崩れとなり、秦明は生け捕りにされる。そこで秦明は以前から高名を知っていた宋江と出会い、自分たちの仲間にならないかと誘われる。しかし軍人である彼は山賊になることを潔しとせず、一晩だけ泊まると、単騎で青洲の街に戻るのだった。

だが、秦明が戻ると町は焼野原になっていて、男女の焼死体がゴロゴロと横たわっている。さらに、閉ざされた城門越しに知事と話をすると、慕容知事は「お前が謀叛して民家を焼きはらったんだろうが!」と責め立て、さらに秦明の妻の首を見せつけるのだった。衝撃を受けた秦明が元来た道を戻ると、宋江たちと出会い、「じつは、自分たちがあなたの仕業に見せかけて焼き討ちしちゃったんだよね☆」と打ち明ける。当然ながら怒り狂う秦明だったが、宋江たちがあまりにも下手に出るし、死んだ奥さんの代わりに花栄の妹を差し上げるということなので、「これも運命の星の巡り会わせか」と、秦明はついに彼らの仲間に入ることを決めるのだった。(これも冷静に読むととんでもないエピソードである)

さて仲間に加わった秦明は単騎でひっそりと清風塞に戻り、黄信と話をする。黄信も宋江の高名ぶりを知っていたので(それまで黄信は自分が護送していた囚人が宋江だと知らなかった)、山賊の仲間入りすることを決意。宋江、花栄、燕順、王英(王矮虎)らとともに劉高の館に攻め入って恩を仇で返した婦人を含む一家を皆殺しにした。その後、花栄の妹を呼び寄せて約束通りに秦明と結婚させ、お祝いの祝宴をするのだった。

 

31.小李広花栄、雁を射おとすこと

慕容彦達は花栄、秦明、黄信の謀叛をすぐに中央政府に報告して援軍を要請。さすがに中央政府の大軍勢を相手にしては旗色が悪いと見た宋江たちは、ここで晁蓋率いる梁山泊に合流することを決定する。彼らは軍勢を3つに分けて、梁山泊に向けて出発した。

その途中、彼らは2つの軍勢の争いに遭遇する。話を聞くと、彼らは方天画戟の達人、小温侯・呂方(しょうおんこう・ろほう)と、賽仁貴・郭盛(さいじんき・かくせい)と名乗る。どちらも山賊である彼らは腕比べをしていたのだが、宋江の話を聞いて彼らの仲間入りをすることを決めるのだった。

2人の軍勢も加えて梁山泊に行軍する一行だったが、いきなり大軍勢が向かったら梁山泊の人たちがびっくりするだろうということで、宋江は燕順とともに少数の騎馬で先行することにした。そこで途中、酒屋に立ち寄るとそこにいた男とケンカになるが、じつはその男、石将軍・石勇(せきしょうぐん・せきゆう)は博打で人を殺して小旋風・柴進(しょうせんぷう・さいしん)にかくまわれたことが縁となり、宋江の弟である鉄扇子・宋清(てつせんし・そうせい)に頼まれて、宋江宛ての手紙を言付かっているというではないか。宋江が手紙を読むと、そこには郷里の父が病気で死んだと書かれている。居ても立ってもいられなくなった宋江は梁山泊のことを燕順に託し、自身はひとりで故郷に走り出してしまうのだった。

いきなり宋江が抜けてしまって困った燕順と石勇だったが、とりあえず梁山泊に向かう。宋江の手紙を見せると梁山泊の面々に信用してもらえ、無事に花栄たちは梁山泊に合流。ただ、自分の弓の腕前をあまり信じていなさそうに見えた花栄は、空を飛んでいた雁をたった一本の弓矢で射抜いて、尊敬を集めさせた。

 

さて一人の宋江は無事に郷里の村にたどり着くが、なんと父は死んでいなかった。手紙は父の策略で、息子が山賊にならないか心配して呼び寄せたというのだ。とりあえず適当に話をして一晩実家に泊まる宋江だったが、夜半、いきなり実家は松明に囲まれて官軍の手が迫る。宋江の運命やいかに。

 

32.宋江、掲陽嶺で李俊ら四豪傑に会うこと

あっさり逮捕された宋江は囚人として江州に送られることになる。だがその途中、宋江を助け出そうとした梁山泊の面々に連れられて、宋江は頭領・晁蓋と話をする。晁蓋は自分たちの仲間になってくれと宋江を説得するが、父親に諭された宋江は「やっぱり自分は山賊にはなれない」と涙ながらに訴え、彼らは別れることにした。そのとき、梁山泊の一味である智多星・呉用(呉学究)は、牢役人の頭である戴院長のことを教える。彼は義侠心あふれる人物で、1日に800里(約320キロ)歩く「神行法(しんこうほう)」の術を心得ているから、彼と友達になりなさい、とのこと。こうして、宋江は護送役とともに、再び江州に向けて旅立つのだった。

さて途中、酒屋に立ち寄ると彼らは痺れ薬を飲まされ、危うく人肉されそうになる。だが宋江のことを知っていた仲間の一人が気づいてすんでのところで助けられ、彼らは互いに自己紹介する。彼らは混江龍・李俊(こんこうりゅう・りしゅん)催命判官・李立(さいめいはんがん・りたつ)出洞蛟・童威(しゅつどうこう・どうい)翻江蜃・童猛(はんこうしん・どうもう)と名乗り、義兄弟の契りを交わすのだった。

 

33.宋江、潯陽江であわや命を落とさんとすること

宋江と護衛役2人は掲陽鎮(けつようちん)という町で武芸者の芸を見て、その見事さに銀子を渡す。すると、それが気に食わない町の顔役の男にケンカを売られたが、武芸者である病大虫・薛永(びょうたいちゅう・せつえい)とともに撃退。だが、そのせいでどの宿屋からも宿泊を断られ、親切なご隠居の家に泊めてもらうことにする。

夜半になって、実はそのご隠居があの大男の父親であると知り、慌てて宋江たちは家を抜け出し、逃げることにした。すかさず大男たちの追手が迫り、宋江たちは潯陽江(じんようこう)という大河に追いつめられる。そこで助けてくれたのが、先の酒屋で義兄弟の契りを結んだ混江龍・李俊であった。宋江を殺そうとした船頭の船火児・張横(せんかじ・ちょうおう)は非礼をわび、血を分けた弟で泳ぎが得意な浪裏白跳・張順(ろうりはくちょう・ちょうじゅん)がいることを紹介。さらに、最初に宋江にケンカを吹っ掛けてきた大男も没遮攔・穆弘(ぼつしゃらん・ぼくこう)と名乗り、弟の小遮攔・穆春(しょうしゃらん・ぼくしゅう)とともにあいさつした。

彼らはみんな仲良しになって酒盛りし、宋江は再び護衛役2人とともに江州へと旅立つのだった。

 

34.宋江、江州にて戴宗・李逵と兄弟のちぎりをむすぶこと

ようやく宋州にたどりついた宋江は護送役2人と別れ、呉学究が紹介してくれた神行太保・戴宗(しんこうたいほ・たいそう)と仲良く酒を飲む。すると、そこで金の貸し借りでいざこざを起こしていた居丈高の両手斧の使い手、黒旋風・李逵(こくせんぷう・りき)が現れたので、太っ腹な宋江は金を貸してやる。

さて李逵は宋江に借りた金を元手に博打をやるが、すっからかんになる。だが、さすがに宋江から借りた金を返さないわけにはいかないので盗みを働くが、それを宋江に咎められ、李逵は宋江の器の大きさに感心するのだった。こうして3人は義兄弟の契りを結んだ。

 

35.黒旋風と浪裏白跳、水中にて格闘すること

宋江が「魚が食べたい」といったので、魚を盗もうとした李逵が張順とケンカをおっぱじめる。宋江は「君は浪裏白跳・張順ではないか」と尋ね、兄から手紙を授かっていることを伝えて、ケンカを仲裁。水中船の得意な張順にコテンパンにやられていた李逵を助けるのだった。こうして、宋江は張順とも仲良くなったのである。

 

36.宋江、潯陽楼で酔って反逆の詩を書くこと

ある日、宋江はひとりで酒を飲むために潯陽楼という酒場に行き(この人は囚人のはずだが、かなり自由)、そこで酔っ払って国家に反逆する意味の詩を壁に書いてしまう。それをゴマすりだけが上手な退職官吏・黄文炳(こうぶんへい)が見つけ、すぐに江州知事の蔡得章(さいとくしょう)に報告。宋江は死囚牢にぶち込まれてしまう。

さてこのことを都に報告するために戴宗は飛脚の役目を命じられたが、その途中、梁山泊の幹部のひとり、旱地忽律・朱貴(かんちこつりつ・しゅき)に捕えられる。だが、戴宗も宋江の味方であると知ると、彼らは呉学究の知恵も借りて、宋江を助け出そうとするのだった。呉学究はハンコを作るのが得意な玉臂匠・金大堅(ぎょくひしょう・きんたいけん)と、字をまねるのがうまい聖手書生・蕭譲(せいしゅしょせい・しょうじょう)の力を借りて、宰相である蔡京(さいけい)のニセの手紙を作ることを提案。というわけで、金大堅と蕭譲を家族ごと拉致して無理矢理仲間に引き込み(ひどい)、偽の手紙とハンコを作らせて戴宗に持っていかせた。

しかし、ここで呉学究は大きなミスを犯す。蔡京と蔡得章は親子の間柄なのに、ハンコで諱(いみな)を使ってしまったのだ。こうなったらもう仕方がないと、梁山泊の好漢たちは宋江を助け出すため、旅支度を始めるのだった。
 

37.梁山泊の好漢、江州の刑場に乱入すること

さて案の定、ニセの手紙はあっさり見破られ、戴宗は牢屋にぶち込まれる。そして2人の処刑が決定されるのだった。
いざ処刑のとき、刑場の四隅から蛇使いや天秤棒を担いだ一団、さらに旅商人の一覧がなだれ込む。彼等こそ変装した梁山泊の豪傑たちで、頭領の晁蓋をはじめ、17人の幹部たちが一斉になだれ込んだのである。彼らは見事、宋江と戴宗を助け出して町の外に逃げ、張順らと合流。互いに名乗りあった29人の好漢とその軍勢数百名は6000~7000はあろうかという江州の官軍勢との戦いを繰り広げ、黒旋風・李逵による獅子奮迅の働きもあって見事に勝利した。ここにきてさらに通臂猿・侯健(つうひえん・こうけん)も合わさった。
さて彼らは都に忍び込んで黄文炳の屋敷の者たちを皆殺しにし、黄文炳も殺害。こうなっては宋江はもう梁山泊に入るほかに選択肢がないので、彼らはアジトに帰ろうとした。またその途中で出くわした山賊、摩雲金翅・欧鵬(まうんきんし・おうほう)神算子・蒋敬(しんさんし・しょうけい)鉄笛仙・馬麟(てつてきせん・ばりん)九尾亀・陶宗旺(きゅうびき・とうそうおう)も梁山泊の一味に加わることになった。
これにより梁山泊の順位は
第一位:晁蓋
第二位:宋江
第三位:呉学究
第四位:公孫勝
となったのである。
 

38.宋江、九天玄女から天書を授かること

梁山泊第二位の宋江はやはり実家の父や弟が心配になったので、ひとりで実家に戻る。だが実家はすでに官軍の見張りがあり、宋江は追手に追われることになった(この人も基本的に学習しない)。あわや危機となったところで宋江は古い廟の中に入って隠れたが、そこで「星主さま」という不思議な呼び声とともに不思議な世界に生き、美しい宮殿に足を踏み入れる。すると、そこにいた神女は宋江に三巻の天書を授けるのだった。
意識を取り戻すとその廟は中国神話で戦術と兵法を司る女神・九天玄女(きゅうてんげんにょ)を祀ったものであることに気づき、自分が籠を与えられたことを知る。その後、宋江は李逵の助けもあって無事に梁山泊に戻り、父と兄も迎え入れることになる。
 
さて宋親子の再会を見て、次に家族の心配をしだしたのは公孫勝だった。彼は100日たったら必ず戻ると約束し、旅立つ。すると今度は李逵も地元のおふくろに会いたいと嘆願し始めたので、「酒を飲まない」などと約束をさせて彼も実家に送り出すのだった。
 

39.李逵、にせものの李逵を殺すこと

ここから主人公は李逵に代わる。
さて実家のおふくろを訪ねに行った李逵は地元にたどり着き、そこで旱地忽律・朱貴と会うと「もう到着したから酒を飲んでもいいっしょ!」と酒盛りする。その後、さらに自分の村を目指して歩いていると、黒旋風・李逵を名乗るニセモノ・李鬼に襲われるが、当然ながら簡単に追い返す。初めは殺そうとするが、彼も実家に老いた母親がいると話したので、李逵はそのニセモノを逃がしてやるのだった。
やがてそれから先に行った料理屋に入ると、どうもその料理屋の女将は李鬼の妻らしく、帰ってきた李鬼と話をしているのが聞こえる。それによれば、老いた母親がいるのはウソらしい。怒った李逵はすぐに李鬼をぶち殺し、金品を奪って老母の元にたどり着いた。
実家に帰って久しぶりに母と会った李逵だが、彼女はすでに目くらになっている。そこで李逵は母親を背負って梁山泊まで連れて行こうとするが、その途中、山の中で水を汲みに行っている間に母親はトラに襲われ、食われてしまう。怒り狂った李逵はトラの親子4匹を野太刀でぶち殺し、母親の骨を拾って山を下りた。
 
すっかり虎退治で名を挙げた李逵だが、その男が自分の夫を殺し、家に火をかけた黒旋風だと知った李鬼の妻は、腹黒い曹隠居に報告。曹隠居は李逵に酒を飲ませて酔わせている間に県庁に報告して都頭の青眼虎・李雲(せいりゅうこ・りうん)を逮捕に向かわせる。このことを知った旱地忽律・朱貴は弟である笑面虎・朱富(しょうめんこ・しゅふ)とともに李逵を助けようとするが、いかんせん李雲は強い。そこで朱富は毒入りの酒や食べ物を振る舞って李逵を救出。力を取り戻した李雲は李逵と争うが決着がつかず、朱富が間に入って結局、李雲も梁山泊の仲間になることを決意するのだった。
 

40.石秀と楊雄、藩巧雲を殺すこと

そのころ梁山泊では実家に帰っていた公孫勝が約束の100日が経っても帰ってこないので、「神行法」の使い手である戴宗に様子を見てくるように命令していた。戴宗が公孫勝の地元に到着すると、見知らぬ男から声をかけられる。彼は自らを錦豹子・楊林(きんひょうし・ようりん)と名乗り、公孫勝から梁山泊に入るよう紹介状をもらったという。地元に詳しい彼を引き連れて先に行くと、山賊にからまれるが、彼らは楊林の弟分で、鉄の鎖の名手である火眼狻猊・鄧飛(かがんしゅんげい・とうひ)玉旛竿・孟康(ぎょくはんかん・もうし)、そして鉄面孔目・裴宣(てつめんこうもく・はいせん)だった。意気投合した5人は酒を飲み交わし、とりあえずは別れる。
さて戴宗と楊林が町で公孫勝を探していると、首切り役人の病関索・楊雄(びょうかんさく・ようゆう)を見かける。彼は軍人の張保にケンカを吹っ掛けられていたが、通りがかった薪売りの男に助けられていた。戴宗と楊林は薪売りの男が気に入ったので一緒に酒を飲んだところ、彼は自らを拚命三郎・石秀(へんめいさぶろう・せきしゅう)と名乗った。しかし、いくら探しても公孫勝が見つからないので、2人はとりあえず梁山泊に帰ることにした。
 
さてここから主人公は石秀になる。楊雄は自分を助けてくれた石秀を探して酒を酌み交わし、義兄弟の契りを結ぶ。するとそこに楊雄のしゅうとである藩老人が現れ、石秀を見込んで一緒に肉屋をやらないかと誘う。石秀はそれを承諾したので、楊雄は彼を自分の家に住まわせることにして妻の藩巧雲(はんこうううん)を紹介したのだった。しかしこの藩巧雲、夫のいない間に坊主の海闍黎・裴如海(かいじゃり・はいにょかい)と不倫を重ねていたので、石秀は楊雄にそれを告げるが、妻に丸め込まれた楊雄は逆に石秀を追い出してしまう。そこで石秀は裴如海をぶち殺し、それにより楊雄は正気に戻る。そして2人で藩巧雲をぶち殺し、梁山泊に行くことを決めるのだったが、それを聞いていた男がいた。
 

41.時遷、祝家荘で旅籠屋のにわとりをぬすむこと

2人の話を聞いていたのはコソ泥の鼓上蚤・時遷(こじょうそう・じせん)。彼は自分も梁山泊に行きたいといったので、3人で梁山泊へと旅立つ。その途中、3人は祝家荘という村の旅籠に立ち寄って食事を要求するも、肉が売り切れていた。だが、目ざとい時遷は裏にいたニワトリを見つけるとそれを盗んで勝手に調理してしまう。怒った主人が男たちを呼びつけるも、3人は返り討ちにし、旅籠に火をつけて逃げ出す。途中で追手に時遷がつかまってしまうが、2人はとりあえず逃げた先の居酒屋で落ち着いていると、そこで鬼瞼児・杜興(きれんじ・とこう)と出会う。彼にいきさつを説明すると、時遷を取り返すのを手伝ってくれるという。杜興は現在、李応という人物にかわいがられているのだという話だった。

彼の話によれば、独流岡という3つの村があり、それぞれ李家、扈家、祝家が治めていて協力し合いながら梁山泊からの来襲に備えているという。中でも一番強いのが祝家で、大将の祝朝奉(しゅくちょうほう)をはじめ、祝竜(しゅくりゅう)祝虎(しゅくこ)祝彪(しゅくひょう)の三兄弟がいるほか、彼らの武術教師である鉄棒・欒廷玉(てつぼう・らんていぎょく)がいる。

さらに、扈家には飛天虎・扈成(ひてんこ・こせい)のほか、双刀を使って馬に乗れば男でも太刀打ちできない女傑、一丈青・扈三娘(いちじょうせい・こさんじょう)もいる。最後、李家の主人である撲天鵰・李応(はくてんちょう・りおう)も鉄製の槍と背中に仕込んだ5つの手裏剣でたたく武芸の達人だという。

李応の高名を知っていた2人は杜興とともに李応を訪問し、時遷を返してもらうよう交渉する。李応は了承して祝家と交渉するが、三傑が反対して返さない。それに李応は怒り狂って武装して出かけ、三傑のひとりである祝彪と戦う。祝彪は逃げ帰ったが、せっかく仲の良かった祝家の者と闘ってくれた李応に報いるため、楊雄と石秀は梁山泊から援軍を呼んで時遷を救い出すことを画策するのだった。

梁山泊にたどり着き、頭領である晁蓋にいきさつを話すと、「ニワトリを盗んだやつなんか助けられるか!」と憤慨して、この2人を斬れと命じる。しかし、そこでナンバー2の宋江が晁蓋をなだめ、「もともと祝家は梁山泊を敵視していたから、この機会にぶっ潰しましょう」と提案。呉用や戴宗も賛成したので、梁山泊は宋江を総大将とする統制群を組織し、これにより、「梁山泊&李家 vs 祝家&扈家」の戦争の火蓋が切って落とされるのだった(ニワトリ泥棒から始まる戦争である)。

 

42.一丈青扈三娘、王矮虎をいけどりにすること

宋江率いる梁山泊軍は独竜岡から1里ほど離れた場所に陣を敷き、石秀と楊林に斥候を任せるが、楊林はあっさりつかまってしまう。斥候をつかまえたという騒ぎを聞きつけた宋江はすぐさまその夜に攻め込んだが、敵の計略にからめ捕られ、黄信が生け捕りにされてしまう。

夜襲に失敗した梁山泊軍は軍を二手に分けて表と裏から攻め入るが、どちらの守りも固く、攻略は容易ではない。さらに葦毛の馬にまたがった女傑、扈三娘が現れて暴れまわる。彼女は祝家の三男坊・祝彪と許嫁の間柄にあったので、援軍に加わったのだ。さっそく女好きの矮脚虎・王英(王矮虎)が戦いを挑んだが、段違いに強い扈三娘にいいようにやられて生け捕りにされてしまう。

これを見た欧鵬が今度は戦いを挑むが、扈三娘には全く歯が立たない。見かねた鄧飛が助けに向かい、敵軍も祝竜が助けに来る。そこにさらに梁山泊軍の馬麟、秦明が加わり、敵方も欒廷玉が加わるなど、乱戦状態に。結局、秦明と鄧飛は敵に生け捕りにされ、総大将である宋江は命からがら逃げだすのだった。それを追いかけてくるのは祝竜、欒廷玉、そして扈三娘という敵軍のエース3人。総大将あわやの危機に助けに来たのは穆弘、楊勇、石秀、花栄で、形勢悪しと見た祝家は祝彪を参戦させてさらに大混戦となる。

日が暮れてきたので闘いながら逃げようとするのを執拗に追いかけるのは扈三娘。そこに現れたのは黒旋風・李逵だった。さらにそこへやって参戦してきたのは豹子頭・林冲(ひょうしとう・りんちゅう)。さすがの扈三娘もかつての八十万禁軍槍棒班・教頭の槍術にはかなわず、生け捕りにされてしまうのだった。

一度ならず二度までも大敗を喫し、5人もの幹部が生け捕りにされてしまった状態では、とても梁山泊に帰ることはできない。翌日、呉学究が援軍を率いてやってきたので相談すると「大丈夫です。5日以内に万事うまくいきます。じつは……」と笑った。果たして、呉学究は何を語ったのか?

 

おわりに

 

相変わらず、引っ張り方がうまい。

そして、馬鹿みたいに強い女の子・扈三娘ちゃんに萌えています。さながら源義仲の妾、巴御前のような無双っぷりに惚れる。

 

水滸伝 中 (岩波少年文庫 542)

水滸伝 中 (岩波少年文庫 542)

 

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。

疲れた。