本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

2020年までに働き方を変えないとヤバイかもしれないという話~『日本3.0』のレビュー

今回紹介する本はこちら。

 

日本3.0 2020年の人生戦略

日本3.0 2020年の人生戦略

 

 

NewsPicksの編集長、佐々木紀彦氏による日本社会と働き方についての提言書。この人は東洋経済新報社に勤務しているとき、東洋経済オンラインの編集長となって、同サイトを超人気にした立役者である。

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セックスと青春とSF~『逆行の夏』のレビュー~

今回紹介する本はこちら。

 

逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫SF)

逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ジョン・ヴァーリイ,シライシユウコ,浅倉久志,宮脇孝雄,大野万紀,内田昌之,中原尚哉
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/07/23
  • メディア: 新書
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アメリカのSF小説作家、ジョン・ヴァーリイの中短編集。ちなみに、ヴァーリイ氏がとくに活躍したのが1970~80年代で、現在も69歳で存命中。

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売れる企画にあるもの~『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』のレビュー

今回紹介する本はこちら。

 

なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか

なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか

 

 

鉄道会社でマーケティング業務に従事する傍ら、京都大学で人間の行動について研究し、心理カウンセラーの資格も持っている著者が書いた「多人数コミュニケーションの指南書」

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ぜひとも読みたいビジネス書15冊~『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』のレビュー~

今回紹介する本はこちら。

 

一流の人は、本のどこに線を引いているのか

一流の人は、本のどこに線を引いているのか

 

 

ビジネス書の書評家として有名な土井英司氏の「ビジネス書の読書術」について書かれた一冊。

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ミュシャ展がいろいろすごかった

先日、ミュシャ展に行ってきた。場所は六本木。ただし、ただの六本木ではない。六本木にはいろいろな六本木があり、森のように大きなビルが屹立しているビジネスな六本木や、あらゆる国籍の外国人がとくに理由もなくうろちょろしておいしいケバブの店があったりする怖い六本木もあるのだが、ミュシャ展を開催している国立新美術館は東京ミッドタウンという、その名前とは裏腹にハイソサエティな有閑マダムがザ・リッツ・カールトンとかで回遊している「きれいな六本木」にある。ちなみに、私は一度だけ仕事の打ち合わせでザ・リッツ・カールトンの「ザ・ロビーラウンジ」にあるザ・コーヒーを飲んだことがあるが、1500円というザ・ボッタクリな値段だったので、みなさんは注意してほしい。少なくとも私の貧弱な舌では、レギュラーソリュブルコーヒーとの味の違いはよくわからなかった。

なお、国立新美術館へのアクセスは六本木駅を使うよりも千代田線の乃木坂駅を使ったほうが便利だ。おそらく、いまどきは乃木坂と言ったら7割くらいの人はカーテンをグルグルさせる女の子たちを連想すると思うが、そのことを考えると、どこかの草葉の陰で乃木希典がひっそり泣いているのかもしれないと想像して、思わず一首浮かぶ。

いまは遠き 旅順の鬨を偲ぶれど
始終碌には え聞かざりけり
徒花

閑話休題。

じつをいえば、私はミュシャはそんなに興味がない。奥さんの要望である。そして私は、前日から戦々恐々としていた。というのも、国立新美術館のツイッターアカウントをチェックしたら、「ただいまの入場待ち時間は90分です」とか「ただいまの入場待ち時間は150分です」などと、なぜか東京ディズニーリゾートのアトラクションの待ち時間を告知していたからだ。午前中からこの長さの待ち時間が発生するとなると、ディズニーシーにある「トイ・ストーリー・マニア!」に違いない。国立新美術館のツイッター担当者はよほどのト・ストーリー・マニア!マニアのようだが、会社のツイッターアカウントをこのように私的利用し、しかもそのことに誰も気づかないとなると、いよいよ国立新美術館のマネジメント能力の欠如が疑わしくなってくる。美術館職員がこんな怠慢をさらけ出しているのは、恐ろしいことである。

だが、たしかにトイ・ストーリー・マニア!はおもしろい。ランドの「アストロブラスター」はヒット判定が乱暴なので、私はどれだけがんばってもせいぜいL-2の「ステラ・シューター」にしかなれず、一緒に搭乗する奥さんに馬鹿にされるのだが、おそらくトイマニは搭乗者の人格の崇高さを数値化して加算しているので、私は奥さんと張り合えるだけの点数を得ることができるのだ。しかし、トイマニは疲れる。乗っているとつねに先端に玉のついたひもをスポスポスポスポひっぱり続けなければならないので、何度も乗ると腱鞘炎になってしまうだろう。だから、国立新美術館のツイッター担当者があまりトイマニに拘泥しすぎないでほしいとも、老婆心ながら思っていた。

さて当日、美術館の前には黒山の人だかりができていて、まじで120分も待ち時間があった。もしかしたらこのまま鹿児島まで遠征して西郷隆盛軍と戦うのではないかと、今度はわが身が心配になった。しかし、そこはさすがに天下のギロッポン。炎天下の下でも人々は暴動を起こして係員に殴りかかることはなく、懐から取り出した和紙の扇子で胸元を仰いだり、レースの日傘をさしながら涼しげに談笑している。しかも、美術館側も無料で紙コップとお茶を入館者に提供する厚遇ぶり。同じ行列でも、ラーメン次郎に並ぶ人々とはまったく違う人種なのである。ここにならんでいる人々が求めているのはニンニクやアブラではなく、絵画なのだ。というわけで、奥さんは私を並ばせたまま美術館の涼しいロビーのソファに座ってスマホで『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』を鑑賞することにしたらしいので、私はひとりで並びながらここ1ヶ月ほどずっと格闘している吉川英治の『宮本武蔵』をkindleで黙々と読んでいた。

さてミュシャ展はおもしろかった。ミュシャといった私の見識ではポスターとかリトグラフばっかり描いた人というイメージだったのだが、今回の展覧会ではそうした従来のイメージとはかけ離れた巨大な絵がどーんどーんと飾ってあって、度肝を抜かされる。もちろん、中に入った途端、行列に並んでいた人たちが消えるわけもないので、会場内でも人々がぎゅうぎゅう焼きになっているわけだが、絵が大きいおかげでよく見える!

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しょっぱなにあるのがこれで、タイトルは『原故郷のスラヴ民族』。これぐらいの大きさの絵は、数年前にエル・グレコ展で見た『受胎告知』ぶりくらいだろうかと思い出す。一応解説しておくと、これはスラヴ民族の祖先が他民族の侵入に恐れをなし、逃げながら神様へ祈っているところなのだが、右にぼやっと立っている人は神様ではなく司祭らしい。私はてっきりヴィジョンだと思ったのだが、そこらへんがよくわからない。あと、この司祭の頭だけが絵の上部にぴょこんと飛び出しているのが気になった。今回の展覧会では、こういうぴょこっと飛び出したものがたまにある。

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というわけで、おもったよりもおもしろかったミュシャ展だが、残念なお知らせがある。ミュシャ展は6月5日で終わってしまったので、いま、このブログを読んで興味を持った人がいたとしても、もう見ることはできないのだ。残念でした。その代り、今度はアルチンボルド展がある。個人的にはこっちの方が楽しみだが、奥さんは興味がないらしいので私は一人で行くことにしている。泣かない。

arcimboldo2017.jp

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。