本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

儲けるってなんだろう ~『しょぼい起業で生きていく』のレビュー

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いわゆる「年功序列」とか「終身雇用」というものがとっくに崩壊している日本社会で、おそらく多くの人がこれからどうやって働くべきかということはぼんやり考えているだろう今日このごろ。

 

そうしたなかでは「起業」も選択肢の1つとしてありうるが、やっぱり転職とか複業と比べると、かなりハードルが高く感じられるのが事実だ。

今日紹介するのは、そんな「起業」の心理的ハードルを下げてくれる一冊。

 

しょぼい起業で生きていく

しょぼい起業で生きていく

 

 

著者の「えらいてんちょう」はもちろん本名ではなくて、Twitterのユーザー名。

twitter.com

 

成功を目指さないスタイル

まず本書では「多額の開業資金」「特殊な技能」「綿密な事業計画」もまったく必要ない起業を「しょぼい起業」と規定し、その方法を伝えてくれる。

まず大事なのは、目標を「稼ぐ」ではなく「食っていく」というところに置いている点。

ようするスケールや大成功を求めないということだ。

日本という国は本当に豊かだから、じつはそんなにお金がなくても楽しく暮らしていくことができる。

たとえば図書館ではありとあらゆる本を無料で貸し出してくれる。最高だ。

 

こういう考え方は最近のトレンドとしてあって、メディアにも取り上げられた佰食屋(1日100食以上は売らない)の創業者の人も最近本を出している。

 

売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放(ライツ社)

売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放(ライツ社)

 

 

私がこれでいいと思うのは、ゆるやかな「脱資本主義」だ。

資本主義はどうしてもあらゆることをお金で換算してしまおうとする考え方だが、それからほんのちょっとだけ逸脱しているそのバランス感覚。

これがまた「反資本主義」になると、行き過ぎになってしまうのだが、資本主義を受け入れつつ、でも必要ない部分は脱していくというスタイルは今後の主流になるのかもしれない。

 

日常生活の資本化

さて、本書で言うところ「しょぼい起業」の基本的な考え方は以下の通り。

 

・いつもやっている行為をお金に換える(生活の資本化)

たとえば食べ物を売る場合、最初から売る目的でつくるのではなく

「自分が食べたいから作ったけど、余ったから売ります」

ということ。

言ってみれば、私が書いているこのブログも、そもそもはこの「生活の資本化」に近い。

基本的には自分が読んだ本を忘れないようにするために書き留めているのだけど、それにAmazonリンクを付けて、ついでにお小遣いも稼げるようにしている感じ。

 

お金を稼ぐことを目的として起業しようとすると、どうしてもいろいろな準備とかリスクを負うことになるが、そもそも自分のためにやることだったら、そういう準備は必要ない。

 

店に住む

私の場合、最初は1円も売り上げる気はなくて、家じゃなくて店を借りたらおもしろいんじゃないの、というノリで借りた店舗なのですが、これがなかなかどうして、謎の売り上げがあるのです。実家から持ってきた服が、100円くらいでバンバン売れます。

自宅に服を置いておいても売れないのに、店を自宅にしたら服が売れた。家賃の足しになる! と喜んでいたら、訳のわからないものがいっぱい売れて、初月には40万円くらいの売り上げがありました。意味不明で笑えます。

「同じ家賃なら家より店借りたほうがいいだろ」と思っていたら、「おっ、結構売れる! 家賃浮く!」となって、「むしろそれだけで生活できるくらいに儲かった!」になったわけです。

 

結局の所、これも考え方としては同じなのだが、最初からモノを売るために店を構えようとするのではなく、住むついでに物を売っていると、意外と売り上げが立つ、ということだ。

設備投資も同じで、「店を借りて営業していたら設備が整えられて、必要な許可を取らざるを得なくなる」という感じだという。

 

ほかにもいろいろ細かいテクニック(人手の集め方、宣伝方法)なども教えてくれるが、やっぱりこの本の本質は「起業」の心理的ハードルを下げてくれるところにある。

それは単に起業だけではなく、「儲ける」「コスト」「資本」といった価値観を揺さぶってくる。

なぜ、人はしたくもない仕事に時間をかけ、その対価としてお金をもらい、そのお金を使ってストレスを解消したりするのか。

しょぼくてゆるい内容だが、決してその本質的な問いかけはゆるくない。

 

しょぼい起業で生きていく

しょぼい起業で生きていく

 

 

後記

スマホ用ゲームで「ドクターマリオワールド」がリリースされたのでやってみたわけですが

drmario-world.com

まあ、これが全然おもしろくない。

ストーリーとしては、突如発生したウィルスたちを、同じ色のカプセルをぶつけて消していくという落ち物(浮き物)系のパズルゲームなわけだが、落ちる速度がゆっくり出し、コンボみたいなものもないから爽快感ゼロ。

なんかじれったくて、すぐやめてしまった。

パズルゲームの場合は、今の時代なスピード感と操作性は大事だと思うのだが、スマホでタッチするゲームの場合はどうしても指を置かなければいけない分、それだけ画面が隠れて操作しづらいのが玉に瑕。

そのてん、やっぱりパズドラとかツムツムはよくできたゲームだなあと思った。

 

 今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。