『紅殻のパンドラ』がおもしろい
深夜アニメを見始めるようになったのは大学生になってから。
もくじ
当時、初めて魔都TOKYOで独り暮らしを始め、夜は当然、とくに目的もなく起きていたりしたので、そこでアニメをやっているのを見たわけだ。さすがに仕事を始めてからすべてのアニメをチェックするのが難しくなってしまったが、いまもちょちょい見てる。
今期チェックしてるアニメ
今期、毎週視聴しているのは『僕だけがいない街』『おそ松さん』『昭和元禄落語心中』『デュラララ!!×2 結』くらい。なかでも、個人的には『僕だけがいない街』が安定しておもしろいと思っていた。
僕だけがいない街(1)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース)
- 作者: 三部けい
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/05/18
- メディア: Kindle版
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こちらはマンガが発売した当初から目をつけていて、買おうかどうしようか悩んでいたのだが、結局、いまに至るまで購入はしていない。個人的には著者の三部敬(さんべ・けい)氏といったら『菜々子さん的な日常』と『鬼燈の島-ホオズキノシマ-』が思い浮かんでいた。
菜々子さん的な日常DASH!!(1) (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 瓦敬助
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/02/10
- メディア: Kindle版
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鬼燈の島―ホオズキノシマ― 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
- 作者: 三部けい
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2014/03/27
- メディア: Kindle版
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『紅殻のパンドラ』の概要
だが先日、なにがきっかけとなったのかはまったく覚えていないのだが、やはり今期に放送しているアニメ『紅殻のパンドラ』が、じつは原案・士郎正宗であると知り、俄然興味がわいてきたのだ。
ぶっちゃけ、絵柄がそんなに好みじゃないし、かわいいおにゃのこがたくさん出てくるよくあるパターンのアニメだと思っていたので、完全にスルーしていた。いまのところ、第7話目まで放送しているので、一気に見た。
原作はマンガで、こちら。エロい!
【電子版】紅殻のパンドラ(1)<紅殻のパンドラ> (角川コミックス・エース)
- 作者: 六道神士
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/09/12
- メディア: Kindle版
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士郎正宗氏がどのくらいかかわっているのかというと、「大雑把な物語の流れ」と「ベースとなるキャラの設定」くらいらしい。それ以外を担当しているのが著者となっている六道神士(りくどう・こうし)氏。
読んだことはないが、代表作は『エクセル・サーガ』である。だいぶ、絵がうまくなってる……。
あらすじおよび士郎ワールドとの共通点
まずはあらすじから
舞台は、サイボーグやロボットが一部ではあるが一般に出回り始めた未来。両親と死別し、脳以外の全てを機械化した「全身義体」の少女・七転 福音(ななころび・ねね)は遠縁の親戚である崑崙八仙 拓美(ころばせ・たくみ)の世話になるため、最新の技術が注ぎ込まれた最高級の人造リゾート島・セナンクル島にやってきた。
その初日、福音は謎の慈善事業家、ウザル・デリラ、彼女の護衛でネコ耳のロボット・クラリオンと出会う。そしていろいろゴタゴタに巻き込まれた末、福音はウザルからクラリオンの所有権を譲り受け、彼女と行動を共にすることになったのだった。
まずもう、この全身義体の少女が主人公というところで士郎ワールド全開だが、謎の人物・ウザルの声優は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で主人公の少佐を務めた田中敦子さんだ(キャラは崩壊している)。少佐も全身義体だったが、これは扱うのがとても難しいので適合者(アデプタ)は非常に少なく、本作においては世界に数人しかいないとされている。
攻殻機動隊とは同じ世界ではないようだが、印象的には『攻殻機動隊』よりも現代に近い時代な模様。というのも、すでに電脳化や全身義体という技術自体はあるのだが、まだ人々はそういった技術(とくに電脳化)にたいしてオープンマインドになっておらず、反対する団体もいるらしいからだ。
さらに、タチコマやロジコマのような小型多脚戦車のひとつとして、本作にはゲルツェコマ(Gertsecomma)……通称ゲルコマが登場する。
名前の由来はよくわからない。ほかのコマシリーズと比べるとかなりシンプルなデザインで、またそんなに発達したAIが搭載されておらず、スピーカーもないようなのでおしゃべりができないのは残念なところだが、そもそも攻殻機動隊シリーズではシリアスな物語における息抜きキャラ的な扱いだったので、全編が息抜きしまくっている本作においては、とくに喋る必要性もないのだろう。ゆるキャラ的なブエルもいるし。
ちなみに、ブエルの元ネタはイスラエルの王・ソロモンが使役したとされる72の魔人(悪魔)のひとつ。有名なのはコラン・ド・プランシーが描いたこちら。だから足が5本あるキャラクターデザインとなっている。現時点ではただのギャグ担当だが、物語の核心はこいつが握ってる。
コラン・ド・プランシー
さらにこれは小ネタになっていくが、ちょいちょい士郎ワールドを意識させるシーンがある。たとえば第6話では、『アップルシード』に登場するサイボーグの機構のひとつ、ヘカトンケイルシステムが実験としてちょっと出てきたり、同じく第6話で、主人公・福音の義体の出力を抑える説明をするとき、看護師さんが「ゴリラ女なんて呼ばれたくないでしょ?」というセリフを発するが、これは明らかに部下から裏で「メスゴリラ」と揶揄されていた少佐を匂わせている。ここらへんは、知っていると思わずニヤッとしてしまうシーン。
本作独自のパンドーラ・デバイス
んで、本作で特徴的なのがタイトルにもなっているこれ。要は、一時的に全身義体にさまざまなアプリケーションをインストールすることで、特殊技能を発揮できる変身能力と考えてもらえばおおむね間違いではない。その起動方法は、クラリオンのパンツの中(厳密には違う)にある装置(F端子)に指先をかざすこと(ウザルの設計で、ちゃんとクラリオンが恥ずかい表情をする仕様になっている)。
これにより、主人公の福音はウィザード(魔術師)級ハッカーになって相手の防壁を突破したり、射撃のプロになったり、アンドロイドを操作できる「人形遣い」になったりする。しかもその変身シーンは、さながらニチアサキッズタイムに放送している魔法少女モノよろしく、光に包まれながらちょっとずつ姿が変わっていく仕様になっている(厳密には、光学迷彩を利用して「そう見えているようにしている」だけらしい。そしれこれも、開発者であるウザルの趣味)。
おわりに
要するに本作はかわいい萌え系のおにゃのこがいっぱい出てくる福音とクラリオンの百合モノであると同時に、舞台設定やメインのストーリーは本格的なSFとなっていて、かなりおもしろい。抱き枕もあるらしいヨ。
基本的にはギャグエッセンスが多めで脱線しがちだが、本筋はシリアスになりそうな感じなので、今後とも期待したい。原作のコミックスもまだ7巻しか出てないというので、買っちゃおうかなぁと悩んでいるところだ。ぜひご鑑賞アレ。
というわけで、お粗末さまでした。