本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『奇想の画家たち』のレビュー~西洋美術界の奇人変人~

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みなさん、美術は好きですか?

 もくじ

まあ別に、好きでも嫌いでもどっちでもいい。私は好きだ。日本、海外どちらの作品も見るが、とにかく「線がハッキリしている絵」が好きである。だから、現在開催中のモネをはじめとする印象派は全然興味がない。あんなボヤっとした絵はようわからん。

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『イラストで読む 基層の画家たち』の紹介とレビュー

さて、こんな本を読んだ。

イラストで読む 奇想の画家たち

イラストで読む 奇想の画家たち

 

本書は星の数ほどいる画家の中でも、ひときわ異彩を放つ絵を描いた人々をコミカルかつ分かりやすく紹介した本である。ただし、あえてだろうが、シュールレアリスムの画家たち(ダリとかマグリットとか)は入っていない。あれは「シュールレアリスム」というひとつのジャンルにくくられているからだろう。つまり本書で紹介している画家たちは、そのときの美術の王道から外れ、ひとりで変な絵を描いていた人々なのである。

著者の杉全美帆子氏は広告代理店でグラフィックデザイナーとして働いている人で、本書でふんだんに使われているかわいらしいイラストはすべて著者が描いたものである。文章も分かりやすいし、おススメの一冊だ。

杉全氏のこのシリーズは人気を博しているようで、ほかにも数冊出ている。

イラストで読む ルネサンスの巨匠たち

イラストで読む ルネサンスの巨匠たち

 

 

イラストで読む 印象派の画家たち

イラストで読む 印象派の画家たち

 

 

イラストで読む レオナルド・ダ・ヴィンチ

イラストで読む レオナルド・ダ・ヴィンチ

 

以下から、本書で紹介されている画家を簡単に紹介していこう。ちなみに、名前の表記は本書に準ずる。

怖くて愉快な地獄――ヒエロニムス・ボス

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『快楽の園』

15世紀に活躍したオランダ(ネーデルランド)の画家で、肖像画もなく、その人生はあまりよくわかっていない。ただ、割と裕福な家柄だったようで、絵は仕事ではなくほとんど趣味として描いていたようだ。だからこそ、自分が描きたい絵をすきなように描くことができたのかもしれない。

当時は「ルネサンス」と呼ばれた時代で、それまでの神秘的な宗教画ではなく、ローマ帝国時代などに礼賛された人間本来の美しさを、発展した科学の知識などもかけあわせて表現しようとした時期だった。というわけで、ミケランジェロラファエロなどは肉体美を表現したわけだが、そんななかで自分のイメージを膨らませて独自の宗教画を描いたのがボスである。

ボスは個人的にも好きだ。というよりも、徒花は「北方ルネサンスとよばれるこの時期のネーデルランドあたりの絵画が好みである。ファン・エイクとか

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『アルノルフィーニ夫妻像』

ブリューゲルとか。

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『叛逆天使の墜落』

さて、冒頭で挙げた『快楽の園』をもっと詳しく見てみよう。かなりいろいろ細かく書き込まれていて、ひとつひとつみていくだけでも面白い。これ、じつは開閉式のパネルになっていて、おそらく右側が「地獄」、左側が「天国」だと思われるが、一番大きい中央部分は何をイメージしているのかよくわからない。楽園なのか、退廃した現世なのか……見てもよくわからないのだ。

そして、いちいちデザインが特徴的である。たとえば地獄面に描かれている異形の怪物は悪魔なのだろうと思われるが、現代の私たちが短絡的にイメージする悪魔の姿を超越し、どこかユーモラスでグロテスクな怪物の姿。そして、こうした異形の怪物たちは天国側にもいるし、中央の面にもウヨウヨいる。どこを見てもカオス。

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中央にいる大きな白い怪物の顔はボスがモデルとも言われている。

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じつはこうした怪物たち、ちゃっかりフィギュアにもなっている。なんでそんなことを知っているのかと言えば、じつは私の実家のトイレにはこのフィギュアが飾ってあるからだ。私が購入したわけではなく、どうも母親が買ってトイレに飾ったらしい。わが母ながら、さすがのセンスである。

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リフティング・イメージ ボス “Tree Man”(JB01) - 名古屋市美術館 ミュージアムショップより

一応、ネットで探してみたら上のページで販売していた。が、けっこう高いし、いまではなかなか手に入らない品のようだ。

画家界最初のナルシスト――アルブレヒト・デューラー

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『自画像』

15~16世紀に活躍したドイツ出身の画家。だが、個人的に絵柄はあんまり好みじゃない。上の絵は、西洋美術史上初の単独自画像とされていて、明らかにイエス・キリストを自分と重ね合わせている。実際、イケメンだったようだ。死ね!

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メランコリアⅠ』

肖像画が得意だったようだが、銅版画でも卓越した技術が光る。以上。

指名手配もされた屈指の武闘派――カラヴァッジョ

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オッタヴィオ・レオーニが描いたカラヴァッジョの肖像画

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『ホロフェルネスの首を斬るユディト』

正しくはミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。ちなみに、カラヴァッジョというのはイタリアの地名だ。あのレオナルド・ダ・ヴィンチの「ヴィンチ」の地名である。上の絵を見ればわかるように、かなりリアリティのあるタッチで、それまでののっぺりとした西洋画とは一線を画す。

この絵は旧約聖書の外典のひとつ『ユディト記』のワンシーンだが、攻め込んできたアッシリア軍の司令官・ホロフェルネスを首をかき斬って暗殺するユディトの表情が絶妙である。カラヴァッジョの絵画の特徴のひとつは、この豊かな表情だ。これまで聖書の中の話を題材にしたものは、どんなに残酷なことが行われていても、そこに描かれた人物たちは能面のように無表情だった。しかし、彼はそこに俗物的な感情を付け加えたのだ。当時としては、かなりショッキングな作品である。

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『聖ペテロの磔刑

それだけではない。スポットライトのように登場人物たちにあたる強い光、そして背景の闇と人物の影。こうした構図は、のちのちレンブラントを初めとするバロック派の先駆けとなっていったのだ。

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『フランス・バニング・コック隊長の市警団』

ちなみに、上のレンブラントの絵画は一般的に『夜警』というタイトルだと思われているが、じつはこの絵は夜を描写したものではないので、そのタイトルは間違い。現在では上のタイトルで呼ばれている。

さて、カラヴァッジョはこのように美術史においても多大な影響を及ぼした人物だが、キャラクター的にもかなり強烈だった。とにかく短気で怒りっぽく、街中でケンカをしては人を殴り、恋人を巡って相手の男を闇討ちして剣で斬ったり、乱闘の末に相手を殺害したもんだから、いよいよ裁判所から「バンド・カピターレ(見つけ次第、いつでもだれでも殺してよい)」という判決を下され、逃亡生活を始めたのである。しかし、彼の描く絵はとくに有力者に気に入られたため、なんだかんだと周囲の人間に助けられたりしていたというから、なかなか不思議な人物だ。

(番外編)スペインのマニエリスム画家――エル・グレコ

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『自画像』

今回紹介する本では紹介されていないのだが、カラヴァッジョと同年代に活躍した個人的にお気に入りの画家。生まれはギリシャだが一般的にはスペインの作家として知られていて、名前はギリシャ人」という名前を意味するスペイン語である。

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『無原罪のお宿り』

とにかく絵柄と色彩が独特。人物は不自然に縦に引き伸ばされ、シーンの描写も劇的で、なんだかマンガ的である。こうした手法はマニエリスムと呼ばれていて、ほかにもバルミジャニーノやボントルモなどが代表的な画家である。ルネサンス期に傑作が多すぎたため、それと差別化するために極端な表現方法を駆使したとされているが、これはこれで味があって好きだ。たしか数年前にエル・グレコ展が東京で開催されて、私は実物を見たが、思った以上に大きくて迫力があった記憶がある。これは聖母マリアイエス・キリストを授かったときのシーンである。

人間の醜い部分を描く天才――フランシスコ・デ・ゴヤ

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『フランシスコ・ゴヤの肖像画』(ヴィセンテ・ロペス・イ・ポルターニャ画)

18世紀に活躍したスペイン生まれの画家。このころになると絵画のテーマに宗教が選ばれることは少なくなり、普通の人々を描いた風俗画や、貴族の肖像画などが描かれることが多くなる。しかし、彼はそうした人々をただ写真を写すように描くことはしなかった。ゴヤは人間が胸の中に抱えている闇の部分を、その絵画の中に表現したのだ。たとえばこれ。

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『カルロス4世の家族』

これはスペインの王、カルロス4世とその家族を書いた肖像画だ。一見すると普通の家族絵画のように見えるが、「愚鈍な王」と称されていたカルロス4世の顔はどこか間抜けで、悪名高い王妃・マリアはグロテスクに描かれている。そして、柱の陰からこっちを見ているのはゴヤ本人だ。こんな皮肉たっぷりの絵を、カルロス4世はいたく喜んだという。

また、個人的にはゴヤといったらこの絵が真っ先に思い浮かぶ。

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『我が子を食らうサトゥルヌス』

サトゥルヌスというのはギリシャ神話に登場するクロノスという大地の神の別名で、「自分の子どもに殺される」という予言を信じたがために狂気に取りつかれ、わが子を次々飲み込んでいったとされる伝説がある。対象が神とはいえ、いかにも自分の身の保身しか考えていない人間的な闇の部分を描き出した1枚である。

実はこの絵を見たのは、ますむらひろし氏のマンガ『アンダルシア姫』だった。あまりにインパクトの大きい絵だったため、私の脳裏にはすっかり「ゴヤ=サトゥルヌス」という構図が出来上がってしまったのだ。うつろなサトゥルヌスの瞳からは常軌を逸した恐怖がこれでもかと放たれている。

アンダルシア姫 (1) (ピチコミックスEX)

アンダルシア姫 (1) (ピチコミックスEX)

 

ただし、一般的にはコチラの絵のほうが有名かもしれない。

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『着衣のマハ』

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『裸のマハ』

これ、とある権力者が依頼したとされるが、おそらく裸婦像をカモフラージュするために普段は着衣バージョンを飾り、気心の知れた仲間内だけで裸のほうの絵を鑑賞していたと考えられている。これもある意味、人間の醜い部分を見事に描き出した傑作といえるだろう。ちなみに、「マハ」というのは小粋な町娘みたいな意味である。

科学を毛嫌いした夢想家――ウィリアム・ブレイク

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トマス・フィリップスによるウィリアム・ブレイクの肖像画

まずイギリス人というのが珍しいが、彼の場合、絵画だけではなく詩でも有名なため、今回紹介する中でもひときわ異彩を放つ人物だ。活躍したのは18世紀末~19世紀だが、当時は産業革命がはじまり、科学が大いに発展した時代だった。しかし、ブレイクはそうした科学を信じず、自分の目に見えるビジョン(幻視)を描いたのである。

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ニュートン

この作品は海の底でコンパスを使ってこの世の真理を追究する哲学者を書いたもので、体が岩と同化している。科学を痛烈に批判するために描いたらしい。

しかし、ブレイクと言ったらこれだろう。

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『大いなる赤い龍と太陽をまとう女』

「赤い龍」というのはサタンのことで、「太陽をまとう女」は聖母マリアである。これはハンニバル・レクター博士が登場するあの名作映画レッド・ドラゴンで、凶悪犯が魅了されたがゆえに悪のエネルギーの源として食べてしまうものだ。パッケージにも、しっかり出ている。

レッド・ドラゴン [DVD]

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一見すると悪魔崇拝主義者のようにも見えるが、ブレイク自身は人間を善と悪の部分を併せ持つ存在と考え、人間が犯すすべての罪は神の元で許される、と考えていたらしい。ただ、個人的にはこのタッチ、そんなに趣味じゃない。

果てなき「黒」の探究者――オディロン・ルドン

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『自画像』

19世紀に活躍したフランス生まれの画家。彼が描き出す絵画の最大の特徴が「黒」である。

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『不思議な花』

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『眼は奇妙な気球のように無限に向かう』

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『森の精神』

「白い紙切れが怖い」と語った彼は、そんな恐ろしい「白」を塗りつぶすかのごとく「黒」に魅せられ、奇怪で不可思議で不吉な雰囲気を漂わせるいくつもの絵画を描いた。ドガですら「彼の黒より美しいものを刷るなんてことは不可能」といったほどで、なぜか見るものをひきつける圧倒的な黒はまさにルドンの色だ。ちなみに、こうした得体のしれない存在は、ルドンが顕微鏡の世界をのぞいて触発されたともされている。たしかに、ミクロの世界ならこんな奴らがウヨウヨしていそうだ。

ただし、そんな彼の作風も、結婚して子どもが生まれた晩年になると大きく様変わりする。

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『ビーナスの誕生』

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キュクロプス

やわらかでパステル調の色彩が入り乱れた絵画は、初期の彼では決して書きえなかった新境地となっている。それはまさに「黒」を極めた彼だからこそ描き出せる美しい色彩なのだ。とはいえ、私はやっぱり初期のころの黒い絵が好きだ。しかし、それはまだ私が若いことの証なのかもしれない。ルドンは語っている。

「ここだけの話、黒は私をひどく疲れさせます」

黒は、若く元気なものでなければ楽しめない色なのかもしれない。

わが道をゆく唯我独尊の画家――アンリ・ルソー

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『私自身、肖像=風景』

19世紀に活躍したフランスの画家。上の肖像画を見てもらえばわかるように、はっきりいってヘタクソである。なんかよくわからない表情してるし、遠近法をやりすぎだし、なによりルソー自身が宙に浮かんでいる! しかも、次の絵を見てほしい。

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フットボールをする人々』

このころ、フットボール(つまりサッカー)が新たなスポーツとして誕生したのでルソーはそれを描いたわけだが、その結果、なぜか並木道の真ん中で不思議な踊りを踊るオッサンの絵画に仕上がった。どうやら、フットボールラグビーを混同し、しかもボクシングの動きも取り入れてしまったようなのだ。しかも、右のオッサンの右足がどこかに消えている! おそろしく雑である。

しかし、これら2枚の絵を見てもらえばわかるように、たしかにヘタクソはヘタクソなのだが、なぜか人を惹きつけるヘタクソさなのだ。よく言えば、だれにもマネできない「ルソーワールド」が絵画の中で完成している

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『戦争』

それもそのはず、彼は幼いころから絵を描くのは好きだったのだが、美術学校に通うことも誰かに師事することもなく、本格的に絵画を始めたのは40歳になってからなのだ。というわけで、美術ジャンルのどれにも属さない不思議なタッチの絵が出来上がったのである。まぁ、当初は「6歳の子どもが殴り書きしたものじゃないか」と散々な評価だったらしいが……。

しかし、そんな彼にも世界観意外に褒められる部分がある。それが「ルソーの緑」だ。

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『飢えたライオン』

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『夢』

ルソーの緑は22種類あるといわれていて、それらの緑を部分部分に塗っていきながら少しずつ完成させていくスタイルだった。彼の絵画は晩年になってからピカソやドローネーなどのプロによって評価され、現在に至っている。

ちなみに、ルソーは本当に独学で絵を勉強していたため、美術の知識は浅かった。そのため、49歳のときに10歳年上で当時超有名画家だったエドガー・ドガがあいさつをしに来たとき、彼を全然知らなかったというのだ。新しい芸術にもあまり興味がなかったというし、まさに世間や周囲の人間に左右されず、己の道だけを歩み続けた「THE・芸術家」といえるのかもしれない。

おわりに

いろいろ駆け足で説明していったが、冒頭に紹介した本ではもっと細かくて面白いエピソードが満載なので、とても面白い。美術系の本はフルカラーなので高いのが難点だが、本書の場合、税抜1600円とお求めやすい価格なのもよいところだ。興味を抱いてみたら、奇天烈な画家たちを調べてみるのも面白いだろう。

それでは、お粗末さまでした。