本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『かがみの孤城』(辻村深月・著)のレビュー

かがみの孤城 作者:辻村深月 ポプラ社 Amazon 本をつくる仕事をしていてつねづね思うのは、「売れる本にするのであれば、内容を難しくしすぎてはいけないなあ」ということです。 ビジネス書とか実用書だと、これはとくに顕著です。 そもそも著者はなんらかの…

『知識ゼロからの日本絵画入門』(安河内眞美・著)のレビュー

私は仕事でビジネス実用系の本を作っているので、仕事の一環として最近売れているビジネス書とか実用書とかもよく読むのですが、最近はちゃんと「読む」ことがめっきり減ってきてしまいました。 この理由を考えると、単純に私が年をとってしまったことがある…

『完全版 無税入門』(只野範男・著)のレビュー

どの本だったかは忘れましたが、先日Amazonでとある本のレビューをザッ見ていて、「著者の主義主張が入っていてよくない」というような書き込みを見ました。 私からすれば、著者の主義主張がまったく感じられない本なんて読む必要があるんか?……などと思って…

『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚・著)のレビュー

世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた 作者:永井孝尚 KADOKAWA Amazon ある本が「いい本」か「悪い本」かというのは完全に個人の主観なので正解なんてないと思いますが、私はいち読者として本に接する場合、「世…

『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』(管賀江留郎・著)のレビュー

道徳感情はなぜ人を誤らせるのか ~冤罪、虐殺、正しい心 作者:管賀 江留郎 発売日: 2016/05/11 メディア: 単行本 鎌倉時代に浄土真宗を起こした親鸞は「他力本願」「悪人正機」という考え方を世に打ち出しました。 この考え方を端的に表現しているのが、有名…

『ネガティブ・ケイパビリティ』(帚木蓬生・著)のレビュー

新型コロナで東京都などに3度めの緊急事態宣言が出て5/31までの延長が決定しましたが、まあたぶん大多数の市民の感覚としては「はいはい」という感じであまり気に留めていない感じかと思います。 そもそも「緊急事態」というのはなんなのでしょうか。 Wikip…

『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸・著)のレビュー

「クローズド・サークル」のお手本になる3冊 「論理を重ねて真相にたどり着く」のお手本になる1冊 「奇想天外で美しい謎」のお手本になる3冊 「密室もの」のお手本になる3冊 「心理的に美しい謎」のお手本になる3冊 「地の文にひそむウソ」のお手本にあ…

『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』(岡田斗司夫・著)のレビュー

ここのところブログの更新が滞り気味なのは仕事がいろいろ忙しくてあまり本を読めなかったというのもあるのですが、同時に「これはおもしろい。紹介せざるを得ない」と感じるような本に出会えなかったことも理由の1つにあるような気がします。 おもしろい本…

『ブルシット・ジョブ』(デヴィッド・グレーバー著)のレビュー

アルベール・カミュの随筆『シーシュポスの神話』には、神々の怒りを買ったシーシュポスが、ひたすら山の山頂に岩を運び続ける罰を与えられるという話があります。 でもシーシュポスが苦労して山頂に岩を運んだ瞬間、岩は絶対に山のふもとまで転がり落ちてし…

『センスは知識からはじまる』(水野学・著)のレビュー

センスは知識からはじまる 作者:水野学 発売日: 2014/07/08 メディア: Kindle版 編集者はある程度のセンスが求められる職業であります。 たとえば本の表紙(厳密にはカバー)。 つくるのはもちろんデザイナーさんですが、デザイナーさんが出してくれた案にい…

『羊たちの沈黙』(トマス・ハリス著)のレビュー

羊たちの沈黙(上)(新潮文庫) 作者:トマス・ハリス 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫) 作者:トマス・ハリス 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 ※ネタバレ含むので注意 今回紹介するのは歴史に名を残すサイコス…

『幸せになる明晰夢の見方』(ディラン・ドゥッチロほか著)のレビュー

幸せになる明晰夢の見方 作者:ディラン・トゥッチロ,ジャレド・ザイゼル,トマス・パイゼル 発売日: 2014/11/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 明晰夢というのをご存じでしょうか。 「これは夢だ」と、夢を見ている本人が自覚しながら見る夢です。 「明晰…

『三行で撃つ』(近藤康太郎・著)のレビュー

三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾 作者:近藤 康太郎 発売日: 2020/12/12 メディア: Kindle版 どこかの本で読んだのですが、 「クライアントに感謝されるようでは、カウンセラーとしては二流」 といわれるです。 一流のカウンセリングを受けると、ク…

『職業としての編集者』(吉野源三郎・著)のレビューになっていない

職業としての編集者 (岩波新書) 作者:吉野 源三郎 発売日: 1989/03/20 メディア: 新書 私はこれまで「自分の人生を変えた本」というに出会ったことがありません。 いや、たぶん私の思考に多大なる影響を与えて、いまの私をかたちづくった本は無数にあるので…

『サードドア 精神的資産のふやし方』(アレックス・バナヤン著)のレビュー

サードドア―精神的資産のふやし方 作者:アレックス バナヤン 発売日: 2019/08/16 メディア: Kindle版 いい本というのは、毀誉褒貶が激しいことが多いです。 読んだ人が多ければ多いほど、批判的に受け取る人も多くなるのは仕方がないことです。 この本も、売…

『読書について』(ショーペンハウアー著)のレビュー

「読書術」をテーマにした本は実用書の鉄板ジャンルの1つで、その多くは「読書はいいものだ」と読書を全肯定しています。 読書術の本を手に取る人は普段から読書習慣があるわけですから、「読書する人はそうじゃない人よりすごい人なんだよ」と言ってもらえ…

年末年始はコレを読んどけアワード2020 ~小説・人文・ビジネス・実用~

今年は新型コロナの影響で私の仕事も在宅になったりして、わりと本を読む時間が増えました。 2020年12月7日時点で、今年読んだ本は259冊。最多は5月で、41冊も読んでいました。 なかにはマンガも含まれるのですが、今年も年末年始のお休みのときにぜひ読ん…

『トコトンやさしいエントロピーの本』(石原顕光・著)のレビュー

トコトンやさしいエントロピーの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ) 作者:石原 顕光 発売日: 2020/02/28 メディア: 単行本 世の中には聞いたことがあるけれど、じつはなんのことだかよくわかっていない言葉ってたくさんありますよね。 「エントロピー」と…

『三体』(劉慈欣・著)のレビュー

SF

三体 作者:劉 慈欣 発売日: 2019/07/04 メディア: Kindle版 ついに読みました。 アジア人として初めて、SFの賞のなかでもっとも権威があるといわれているヒューゴー賞を受賞した傑作です。 ヒューゴー賞は1953年から続くもので、ファン投票によって決められ…

『ベストセラーコード』(ジョディ・アーチャー&マシュー・ジョッカーズ著)のレビュー

ベストセラーコード 作者:ジョディ・アーチャー,マシュー・ジョッカーズ 発売日: 2017/03/24 メディア: Kindle版 人工知能が小説を書き上げる未来というのは、おそらくそう遠くない将来に実現するでしょう。 www.fun.ac.jp 私はなんだかんだ10年近く編集者と…

『戦国自衛隊』(半村良・著)のレビュー

新装版 戦国自衛隊 (角川文庫) 作者:半村 良 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 1974年に発表された、たびたび映像化や舞台化などもされた、日本を代表する歴史SFの名作ですね。 戦国自衛隊1549 発売日: 2013/11/26 メディア: Prime Video 戦国自衛隊 …

『高校生からわかる「資本論」』(池上彰・著)のレビュー

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」 作者:池上 彰 発売日: 2009/06/26 メディア: 単行本 最近わりと、「資本論」がブームになっていますね。 これはやっぱり新型コロナによって不況になっていることが影響しているのかな……などと私はぼんやり考…

『ベストセラーを書く技術』(晴山陽一・著)のレビュー

ベストセラーを書く技術──「書いて伝える力」があれば、一生負けない! 作者:晴山 陽一 発売日: 2018/08/10 メディア: 単行本(ソフトカバー) 私は気になる本があった場合、とりあえずAmazonの「欲しい物リスト」に放り込んでいます。 気になる本を片っ端か…

『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』(cis著)のレビュー

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 (角川書店単行本) 作者:cis 発売日: 2018/12/21 メディア: Kindle版 私は、すべての活動は「投資」であると思っています。 たとえば、私が仕事の帰りにコンビニで、「青汁アイス」(税抜120円)という新商品を見つ…

『ヒポクラテスの誓い』(中山七里・著)のレビュー

ヒポクラテスの誓い 法医学ミステリー「ヒポクラテス」 (祥伝社文庫) 作者:中山七里 発売日: 2016/07/08 メディア: Kindle版 私がこのブログを解説したのが2015年のことなので、かれこれ5年も!書き続けていることになります。 あんまり書く気が起きないと…

『妻のトリセツ』(黒川伊保子・著)のレビュー

「男性脳」と「女性脳」の違いというテーマは、実用系の書籍では鉄板テーマのひとつです。 古いものでいえば、『話を聞かない男、地図が読めない女』という2000年に邦訳された本もベストセラーになりました。 話を聞かない男、地図が読めない女 作者:アラン…

『そこまでやるか!裏社会ビジネス 黒い欲望の掟』(丸山祐介・著)のレビュー

この間、とある出版社のマーケティング担当者の方に聞いた話なのですが、裏社会をテーマにした某マンガの売上をアップさせるため「パニックマンガとして描いてください」という要望を作者に伝えて内容を変更していってもらったところ、人気が出るようになっ…

『なめらかな世界と、その敵』(伴名練・著)のレビュー

伴名練(はんな・れん)という作家さんの名前を初めて知ったのは、『アステリズムに花束を』というアンソロジーを読んだときです。 アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2019/06/20 メディア: Kindle版 ただ、そのときはと…

『恐怖の構造』(平山夢明・著)のレビュー

私はホラーとかオカルト系の話が好きなんですが、ホラー映画やホラーゲーム、お化け屋敷は大の苦手です。 なんでかというと、「びっくりする」のがイヤだからです。 その意味では、『ジュラシックパーク』みたいなパニックムービーも苦手です。 観客をびっく…

『役に立つ古典』(安田登・著)のレビュー

1万冊以上の本を読み、教養に関する知識が半端なく、現代の知の巨人のひとりであるライフネット生命の元会長・出口治明さんが、かつて恩師から言われたのは 「古典を読んで分からなければ、自分がアホやと思いなさい。現代に生きている人が書いた本を読んで…