本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『科学する麻雀』(とつげき東北・著)のレビュー

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私が麻雀にハマっていたのは大学生の時だったのですが、あまり(というかまったく)強くありませんでしたので、まあ友人たちからすればカモだったと思います。

最近は本物の雀卓を囲んで麻雀をやる機会はすっかりなくなったのですが、麻雀そのものは好きなので、オンライン対戦ができる麻雀のアプリゲームはよくやっています。

 

私がやっているのはコレです。

www.mahjong-toryu.com

 

すっかりリアル麻雀から遠ざかっているので単純に比較はできないでしょうが、自分の中の感覚としては、大学生時代の自分よりもは強くなっている気がします。

 

なんで強くなったのか、ということを考えると、それはやっぱり「オリる」ということができるようになったからじゃないかなと。

大学生の自分だったら、「テンパイしている」というだけで、2000点くらいの手であっても相手のリーチに突っ張ってしまったりしたわけですが、いまではたとえマンガン手をテンパイしていても、あまりにも危険な匂いがプンプンする牌をつかんでしまったらベタオリすることもあります。

 

さて今回紹介するのはこちらの本です。

 

科学する麻雀 (講談社現代新書)

科学する麻雀 (講談社現代新書)

 

 

もともと、こちらの本を先に読んだのですが、

 ↓

場を支配する「悪の論理」技法

場を支配する「悪の論理」技法

 

 

これ、もうちょっとハウツー的な本かと思いきや、かなり理屈っぽくネチネチと「悪の論理」を振りかざす人々のことを説明するのにかなりのページを使っていて、なかなか読むのにエネルギーがいりました。

 

で、著者はどんな人なんだろうとプロフィールを見たところ、『科学する麻雀』というのがあり、むしろこっちのほうが代表作っぽかったので、興味を惹かれたわけです。

なるほどこんな本を書くような人だったら、麻雀についてかなりネチネチと研究して最適解を出していそうな感じがするなあと。

 

結果として、この『科学する麻雀』はかなりおもしろかったです。

とはいえ、本書において多くのページ数が割かれている各種データの分析手法については完全に飛ばし読みしてしまいました。

私と同じように、「あれこれの分析はいいからとにかくハウツーだけ手っ取り早く知りたい」という人は、本書の第3章「最強の麻雀講座」だけ読めばいいでしょう。

 

今回はその第3章のなかから、私がとくに「なるほど」と思ったエッセンス中のエッセンスだけを抽出してまとめます。

本書を読むのすら面倒くさいという人は、この記事のポイントだけ意識するだけでも技量がアップするかもしれません。

 

麻雀は「オリるゲーム」である

降りることは大変重要である。麻雀で一番明確に技術差が感じられるのが「正しく降りているかどうか」である。下手な人はとにかく放銃が多い。親のリーチに対して、ぼろぼろのイーシャンテンにもかかわらず「前に出る」などと言いはじめる始末だ。

普通、麻雀というのは全局のうち半分近くはベタオリするゲームなのだ。なぜならば、4人いるうちで最も配牌とツモがよかった人が和了するのが麻雀であり、自分だけが毎局毎局上がれるゲームではないからだ。大半の「上がれないとき」には確実に降りて失点を防ぐのが正しい打ち方なのである。

 

安全牌についてはS~Fランクで著者が本書で一覧表にしてくれていますが、その内容は特に驚く内容はありません。

当たり前ですが、聴牌している人間の捨てた現物牌がもっとも安全で、次に「単騎待ちしかできない字牌」「スジの1・9」などが続きます。

 

それよりも大事なのは「降りると決めたら徹底的に降りる」を意識すること。

誰かのリーチが掛かってからなぜかほしい牌をツモってテンパイしていってしまうことは多々あるけど、そうした場合でも、冷静に自分の特典を考えると「どう考えても勝負するような手ではない」場合が多い。

そうした悪魔の誘惑を断ち切って聴牌を捨ててベタオリすること。

降りるのか、それとも突っ張るのか、その判断を早めに下すこと。

そしてその判断をできれば機械的に下してしまうこと(たとえば先制リーチされてしまったら、基本的には降りるとか、自分の中でルールを決める)。

 

良形テンパイは即リーが基本

本書では「リャンメン以上」「ノベタン」「字牌シャンポン」「字牌単騎」を良形と呼んでいます。

 

良形テンパイで先制の(つまり他家の攻撃がとくにない)場合、リーチしてはいけない状態はほとんどない。(中略)

とおくにダマで3ハン以下の手ならば「全部リーチすべき」と考えるべきだ

重要なことは、「どのような状態なら手変わりを待つべきか」を細かく覚えることではない。

「ごくまれな例外を除き、すべてリーチ」と理解すること。これが麻雀における第一の知である。

 

リーチをすると「一発」「裏ドラ」がつき、他家の牽制にもなります。

ついつい、リーピンのみの手だったりするとタンヤオやドラがつくまで待ちたくなるものだが、先制攻撃できるのなら先制攻撃してしまったほうがいいということ。

 

タンヤオや三色、一通など、もうちょっと待っていれば高い手になりそうなときがあるかもしれないけれど、基本的にはそれを待つのは悪手。

深く考えずさっさとリーチするべし。

 

相手からの先制リーチは、降りる

相手がテンパイした場合(明示的にリーチしてきた場合や中順移行に3フーロした場合)に攻めるか降りるかの判断は、麻雀においてもっとも重要な判断の一つである。

一番に考慮すべきは、「現在自分がテンパイかどうか」ということである。これは「自分の手が高いかどうか」よりも重要である。他家の攻撃がある状況下でマンガンテンパイイーシャンテンという状態は、現在3900テンパイよりも劣るのだ(これは、相手の攻撃がない場合には、必ずしも成り立つとは限らないから注意されたい)。

 

まず自分がテンパイしている場合は、自分が親か子か、得点が高いか安いかによって判断が変わってきます。

このあたりは、本書を読んでみてくださいね。

 

問題は、自分がノーテンの状態で他家からのリーチが掛かった場合。

結論だけ述べれば、リーチした人間が子であっても、自分がイーシャンテンで7700点以上の得点が見込めないのであれば降りるべし、というのが正解。

それ以外の場合はさっさと降りを決め込みましょう。

 

判断基準を固定させる

本書では他にも

・チートイツでリーチするべきか

・ポンテンとメンゼンはどちらにするか

・待ちを広くするためにテンパイを崩すのはアリか

・どうしても安牌がない場合はどうるのか

などなど、判断に迷う部分での「基準となる思考法」が紹介されています。

 

これは本書の冒頭で述べられていることですが、麻雀で強くなるために必要なのは

「判断基準を固定して打つ」

ということです。

 

麻雀はただでさえ、考えなければならないことが多いゲームです。

自分の手はもちろん、相手の捨て牌、鳴き状況、順位と点差、残りのツモ数などなど。

しかも、往々にしてあまり考える時間は多くありません。

ポンやチーをしたいなら、反射的に発声しないと間に合わない。

 

私も実際に麻雀をやっているときに感じるのは、疲れていて集中力が落ちていると、格段に負けることが多いということです。

麻雀はもちろん運の要素もありますが、それ以上に連続して行われる思考と判断をいかに「ミスしない」かということに尽きるんじゃないでしょうか。

 

とりあえず読んでいてリアル麻雀がしたくなりました。

 

後記

新しいアニメがスタートしましたね。

私は「ドロヘドロ」と「ID: INVADED イド:インヴェイデッド」を見ています。

 

dorohedoro.net

id-invaded-anime.com

 

ドロヘドロはあの狂った世界観がいい感じでアニメで再現できていていいと思います。EDテーマがけっこうコロコロ変わるのがいい。

 

「イド~」のほうは、私は知らなかったので1話を見始めて知ったのですが、舞城王太郎が原作・脚本をやってるんですね。

こちらも初っ端からわりと視聴者置いてけぼりな、ブースター全開な感じで始まりましたが舞城王太郎ならまあそうなるだろうなと。

ただ、見ていてくとだんだん話の構造がわかっておもしろい。

飽きさせない展開です。

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。