本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

月収の7.5ヶ月分は貯金しよう~『はじめての人のための3000円投資生活』のレビュー~

今回紹介する本はこちら。

 

はじめての人のための3000円投資生活

はじめての人のための3000円投資生活

 

 

発行部数50万部を突破した、2016年のメガヒット作のひとつ。著者の横山光昭氏はファイナンシャルプランナーで、著書がいっぱいある。

 

この本で伝えているメソッドは単純明快だ。

コツコツ貯金 + 月々3,000円投資

これが黄金パターンであると述べている。

 

そもそも、横山氏はどちらかというと「貯金」の専門家である。こちらの本もヒット作だ。

 

年収200万円からの貯金生活宣言

年収200万円からの貯金生活宣言

  • 作者: 横山光昭
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2009/04/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しかし本書ではいきなり「貯金だけでは、お金の悩みは解決できない」という言葉で、いきなりこれまでの著書の存在意義を自ら叩き潰す(これは編集者が考えた見出しだろうけど)

 

投資と貯金を両立させる

 

とはいえ、もちろん貯金をないがしろにしているわけではない。もっともベーシックな戦略は「ある程度の貯金を貯める」→「投資を始める」というルートだ。しかし、貯金だけに専念するのは、じつはちょっと時間がもったいない。そこで、貯金に励みつつ、同時に月3,000くらいという無理のない金額で、少しずつでもいいから投資に回していくことを本書ではおススメしているのである。

 

横山先生の本が人気な理由のひとつは、おそらく「お金の金額の身近さ」があると思う。もしこれが「3万円投資生活」だったら売れなかっただろう。投資を初めから選択肢に入れているような、それなりに貯金や所得がある人にとっては3万円もはした金だろうが、パンピーにとって月々3万円を出すのはかなりキツい。それこそ、年収200万円とか300万円の人は無理だ。しかし、月3,000円ならなんとかなる(と、感じさせられる。ここが大事)

 

投資は「投資信託」で

 

もちろん、月3,000円なので、横山氏がおススメするのは「投資信託」一択だ。個別株や現物資産、不動産などもってのほかである。本書では「ハイリスクは悪」という信念に基づき、かなり堅実にお金を貯めるための投資方法に徹している(もちろん、それでも損をする可能性はゼロではない)。具体的な銘柄も挙げているが、それは本書を読んで自分で確認してほしい。

 

なお、タイトルからもわかるように、本書はあくまで「これまで一切投資をしたことがない人」を対象にした本なので、少しでも投資をしたことがあったり調べたことがある人にとっては、さほど目新しい情報はないだろう。「ネット証券を使え」「手数料を安くしろ」「FXはダメ」「銀行で買うな」「分散させろ」などなど、投資を行う上での基本的事項が押さえられている。

 

以下、個人的にちょっと参考になりそうな部分をピックアップしていく。

 

口座は「源泉徴収なしの特定口座」で

 

特定口座は証券会社が年間の売買の履歴・損益を計算した「年間取引報告書」を作成してくれる口座なので、素人にとってはありがたい。

「源泉徴収なし」の場合、自分で確定申告をしなければならないが、そもそも投資の運用益が1年で20万円に達しなければ申告の義務はないので、月々3,000円の投資ならまずこの利益は手に入らず、そもそも必要ない。むしろ、「源泉徴収あり」を選択すると、運用益が20万円以下でも約20%の税金が自動的に差し引かれてしまうのわけだ。

 

NISAは使う必要なし

 

NISAのメリットは1年間の運用益が20万円を超える場合にのみ享受できる。つまり、運用益が20万円に達しなさそうなら、別に使う必要はない。別にデメリットがあるわけではないが、口座開設に際していろいろ書類をそろえたり時間がかかったりする面倒くささがあるので、「3,000円投資生活ではいらない」というのが結論だ。

 

月収の7.5ヶ月分の貯金は必ず確保

 

どのくらい貯金を確保しておけばいいのかという目安。これは内訳があって

絶対におろさない貯金:月収の6ヶ月分

使うための貯金:月収の1.5ヶ月分

になっている。前者は「生活防衛資金」とも呼んでいて、突発的な事故や病気、災害、失業など、とにかく予測不能な事態に対処できるようにするためのお金だ。一方、後者はちょっと生活費が足りなくなったときや、羽目を外すときに使う貯金である。

投資に励むのもいいが、まずは基礎としてこのくらいのお金はつねに持っておくべきであるというのが横山氏の理論だ。

 

はじめての人のための3000円投資生活

はじめての人のための3000円投資生活

 
3000円投資生活で本当に人生を変える!

3000円投資生活で本当に人生を変える!

 

 

今日の一首

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 73.

高砂の 尾の上の桜 咲きにけり

外山の霞 たたずもあらなむ

権中納言匡房

 

現代語訳:

山の上の桜が咲いているなぁ!

(桜が見えなくなるから)山里の霞よ、たたないでおくれ

 

解説:

「遠くの山の桜を眺める」というお題で詠まれた歌。作者は「漢学者」として中国の監視に秀でていたため、「高砂の尾上(高い山)」と「外山(人里に近い低い山)」を灰比させることで、漢詩や中国の水墨画のような遠近感を歌に取り入れている。

 

後記

 

私は以前、個別株の投資を行っていたが、いまはすべて資金を引き上げてやめてしまった。そこそこ儲けは出たが、割とこまめに株価をチェックしないといけないので面倒くさくなったのと、ちょっと飽きてしまったためだ。

株で儲けようというのはかなり難しい。特に今後、証券の現場はプロのトレーダーでも太刀打ちできないAIが跳梁跋扈する領域になるだろうから、まず個人が儲け続けるのは不可能だろうと思う。

最後に余談だが、『インベスターZ』はおもしろい。

 

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

 

 

今回はこんなところで。

それでは、お粗末さまでした。