本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『水滸伝』のあらすじ(粗くない)【上】

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パトカーには一度だけ乗ったことがある徒花です。

もくじ

天邪鬼なワタクシは有名な古典の名作をあまり読んだことがないのだが、ふと『水滸伝』を読んでみようと思い立ち、とりあえずこちらを読んでみた。 

 

水滸伝 上 (岩波少年文庫 541)

水滸伝 上 (岩波少年文庫 541)

 

 

これは、まぁ、いわば小学生向けの本であるが、翻訳者が冒頭で語っている通り、子ども向けだからといって特別内容をはしょったり、簡単な言葉にしているわけではない。

そのうえで、水滸伝のエッセンスを少ないページで簡潔にまとめてあるようだ。

 

ちなみに、中巻、下巻はまだ読んでいない。ちょっと間が空きそうなので、本エントリーは完全に自分のための備忘録となっているが、あしからず。

 

そもそも『水滸伝』ってなに?

 

『水滸伝』は中国で明の時代に生まれたとされる伝承物語で、タイトルを直訳すると「水のほとりの物語」。梁山泊とよばれる場所につどった108人の豪傑が、悪徳役人たちをバッサバッサと倒していく痛快な物語――と多くの場合は説明される。

 

だが、読んでみたら「英雄っていうより、ただのチンピラやん」という感想が真っ先に浮かんだ(とくに魯智深)

なにしろ、好漢と呼ばれる登場人物たちは、ちょっと気に入らないことがあると相手をボコボコに殴ったりぶち殺したりするし、だいたいつねに酒をかっくらっている。無銭飲食はするし、強盗だってお手の物だ。とりあえず、近所にいたらお近づきになりたくない類の人たちである。

 

ちなみに、水滸伝は講談なのでいろいろなバージョンがあるが、今回徒花が読んだものは120回本をベースにされている

 

とりあえず以下、本書の内容をより簡単に、まとめていく。ちなみに、赤字はメインキャラクターの108人の豪傑、青字は全編を通した悪役である。

 

1.洪太尉、百八の妖魔を逃がすのこと

北宋は仁宗皇帝の時代、国中に疫病が蔓延していたので、首都・東京(とうけい)の会議にて、ある決議がされた。近衛軍司令官の洪信(こうしん)を使者として、道教の偉い坊さんに祈祷をお願いすることにしたのである。

洪信はとりあえず使命は果たしたものの、山内にあった「伏魔殿」を見つけると、周囲の反対を押し切って、悪魔を閉じ込めた封じ紙を解放してしまう。すると、そこから黒煙が噴き出し、108の魔王が世に放たれた。これが物語の発端である。

 

2.王師範、罪をおそれて東京の都を逃げ出すこと

時代が下って哲宗皇帝の時代、東京に高俅(こうきゅう)と呼ばれた、蹴鞠しか得意なことがないボンクラがいた。しかし、哲宗皇帝の東宮(弟)である端王(たんおう)に気に入られる。しかも哲宗皇帝が死んだあと、端王が皇帝に即位したので、高俅はなぜか殿帥府の太尉――つまり軍部の最高司令官になってしまう。

さて高俅は全軍を招集したが、八十万禁軍武芸師範の王進(おうしん)が病欠する。じつは高俅は王進の父親と確執があったので、この機会に王進を陥れようと考えたのだ。それに気づいた王進は東京をなんとか逃げ出し、旅の途中、とある民家で宿を借りる。ついでに、その家の息子に棒術を教えた。

やがてその息子は成長すると全身に9匹の龍の入れ墨をれて九紋竜・史進(くもんりゅう・ししん)と名乗り、武芸十八般の達人となる。この史進こそ、のちに水滸伝百八星(すいこでんひゃくはっせい)のひとりに数えられる豪傑のひとりであった。

 

3.九紋竜史進、暗夜に華陰県を逃げ出すこと

さて、史進は成人したが、近くの山で山賊が暴れていた。3人の棟梁はそれぞれ神機軍師・朱武(しんきぐんし・しゅぶ)跳澗虎・陳達(ちょうかんこ・ちんたつ)白花蛇・楊春(はくかだ・ようしゅん)といった。そこで、史進はこの山賊が攻め入ってきたら成敗しようと画策する。

最初は戦った両者だが、この3人はそもそも役人の不当な圧迫を受けて山賊に身をやつしたと知り、史進は彼らの味方をすることを決心。そのうち、村人のひとりが裏切って役人を呼びつけたが、史進は裏切り者をぶち殺して3人とともに逃げ出す。3人は超強い史進に「自分たちの頭領になってくれ」と頼むが、史進はまだ悪人になるつもりはない。そこで、かつての師匠・王師範を頼って彼らと別れひとり、延安府を目指す旅に出るのだった。

 

4.魯提轄、げんこ三つで鎮関西を打ちころすこと

史進がとある町に到着すると、ひげもじゃの肥った男と出会う。彼こそ、のちに花和尚・魯智深(かおしょう・ろちしん)と呼ばれる、魯達(ろたつ)その人だった。2人が街を歩いていると、たまたま軟膏売りをしていた史進の棒術の師匠、打虎将・李忠(だこしょう・りちゅう)に出会い、3人は一緒に酒を飲む。

さて酒席にて隣の部屋から女の泣き声がするので話を聞いてみると、地元の金持ち・鄭(あだ名は鎮関西)という男にだまされたという。というわけで、尋常ではない怪力の魯達はひとりになったあと、その鎮関西をげんこつ3発でサクッとぶち殺す。しかし、それで殺人者となってしまった彼は、慌てて逃げ出すのだった。

 

5.花和尚魯智深、五台山で大あばれすること

殺人者になってしまった魯達は坊主になるしかないと考え、五台山にのぼって花和尚魯智深と名前を変える。しかし、肉も酒も口にできない環境に嫌気がさした智深はこっそり酒を飲んでは酔っぱらって暴れることを繰り返し、ほかの修行僧たちをボコボコにする(こいつが一番とんでもない)。

いよいよ長老もかばいきれなくなったので、東京の住持に宛てた添書をもらい、五台山を下るのだった。

 

6.花和尚、花嫁にばけて小覇王をこらしめること

東京を目指して旅する魯智深は、とある村の民家に泊まるが、そこでは最近、桃花山に住み着いた山賊が暴れているという。というわけで、魯智深は山賊の頭目のひとりが嫁に欲した女に勝手に化けてその頭目をボコボコにする。復讐にやってきた山賊の頭領と相対すると、なんとそれは打虎将・李忠であった。

再会を祝った2人だが、魯智深はいちいちセコい李忠がどうにも気に入らない。そこで彼の子分をボコボコにして李忠の金銀を奪い、ひとりでまた旅立つのだった。

 

7.史進と魯智深、瓦官寺を焼きはらうこと

魯智深は今度、古びた寺・瓦官之寺(がかんのてら)にたどり着く。聞くと、その寺の雲水のひとり・崔道成(さいどうせい)が飛天夜叉・邱小乙(きゅうしょうおつ)という道士とともに寺を壊して暴れているという。もちろん魯智深はこの2人をボコボコにすることを決めるのだが、長旅で腹が減っていたのに加え、意外にも2人の腕が立つので、一度は林へと逃げていくのだった。

さて、林に逃げた魯智深は追剥にケンカを吹っ掛けるが、よくよく見ると追剥は九紋竜・史進であった。彼も師匠・王師範を探して旅を続けていたのだが、路銀がなくなったので追剥をすることにしたのだという(この発想がすごい)。というわけで、今度は魯智深&史進が崔道成&邱小乙と対決。サクッと崔道成&邱小乙をぶち殺すのだった。

瓦官之寺に戻った2人は、とりあえず金銀を奪って寺に火をつけ、路銀の足しとする。2人はこのあとどうするか話し合うが、史進はいったん地元に帰り、朱武らとともに過ごすという(結局そうなるの!?)。そこで2人は再び別れるのだった。

 

8.花和尚、柳の木を根ごと引きぬくこと

東京に到着した魯智深は、紹介状を持って大相国寺に向かう。だが、大相国寺の長老は魯智深がとんでもない暴れん坊だと知って、できるだけ寺から遠ざけるために野菜畑の管理人に指名する。

畑にはゴロツキどもがいたが、魯智深の馬鹿力に感服した彼らは子分になることを決意。ついでに彼は、柳の大木をたったひとりで引きぬき、子分たちを驚かせるのだった。

 

9.豹子頭林冲、高太尉にはかられて罪におちること

さて魯智深が子分たちの前で武芸を披露していると、その様子を見ていた八十万禁軍の槍棒師範、豹子頭・林冲(ひょうしとう・りんちゅう)と仲良くなる。しかし、林冲はとある問題に巻き込まれていた。彼の奥さんが、殿帥府太尉・高俅の義理のボンクラ息子に狙われていたのである。

一度は奥さんを寝取るのに失敗したが、それで落ち込んでいるボンクラ息子を助けようと、高俅は一計を案じ、林冲の友人である陸謙を仲間に引き込んで林冲に策略を仕掛ける。すっかり罠にはまった林冲は、無実の罪により捕えられてしまうのであった。

 

10.林冲、野猪林で花和尚に一命をすくわれること

正義感の強い役人・孔目(こうもく)の力によってなんとか死罪はまぬかれた林冲だが、流刑されることになる。その途中、彼は高俅の密命を受けた役人に殺されそうになるが、そこに魯智深が駆けつけて救い出す。魯智深は林冲が無実の罪で捕まったと聞いたときから、彼を心配してあとをつけていたのだった。

とりあえず役人を徹底的に脅しつけて殺させないようにしてから、安全な街中に入ったところで魯智深は林冲と別れるのだった。

 

11.林冲、洪師範と棒の試合をして勝つこと

さて、役人に連れられてとある町にやってきた林冲は、好漢の流罪人をかくまうことを趣味にしている大金持ち、小旋風・柴進(しょうせんぷう・さいしん)と出会い、気に入られる。だが、それを気に入らないのが、柴進の棒術の師匠である洪師範である。洪師範と林冲は棒術で決闘し、敗北した洪師範は恥ずかしさのあまり逃げ出すのだった。

ますます林冲が気に入った柴進は牢獄の役人に宛てた紹介状とお金を与える。とりあえずこれで平穏な日々が過ごせると思っていたら、東京から林冲の命を奪うため、陸謙が役人とともにやってくる。それを知って頭に血が上った林冲は、彼らをぶち殺すことを決意するのだった。

 

12.林冲、吹雪の中を梁山泊に走ること

陸謙の策略を脱した林冲は、無二の親友だった陸謙をぶち殺し、その心臓を抉り取る。その帰り、暖を取るために立ち寄った民家で林冲は酒を所望するが、断られたので逆ギレして家の主人を追い出す(ここらへんから林冲がいろいろ乱暴になる)。

さて、陸謙や役人を殺して殺人者となってしまった林冲は、柴進から梁山泊のことを知る。そこでは白衣秀・王倫(びゃくえしゅう・おうりん)という男がトップに立つ集団が、はみ出し者を受け入れているらしい。というわけで、林冲は梁山泊に行くことを決めた。

 

13.林冲、青面獣楊志と決闘すること

梁山泊近くの町にたどり着いた林冲は、そこで見張り役をしていた旱地忽律・朱貴(かんちこつりつ・しゅき)と出会う。朱貴から信頼された林冲は梁山泊に入り、頭領の王倫に出会うが、王倫は林冲の入山を断る。じつは王倫は書生くずれで、武芸は苦手なのだ。林冲は武芸の達人であるから、自分の実力を見抜かれたら、実権を握られてしまうと恐れたのである。

しかし、林冲もすごすご帰るわけにはいかない。そこで、王倫は「3日以内に山の外で誰かひとり殺して、その首を持ってくる」という入山テストを出した(これも通りかかった人にとってはとんでもない話である)。

さて林冲が山を下りて道端で通りかかる者を待つと、3日目に顔に青あざのある大男が通りかかったので、林冲は襲いかかる。だが男は強く、決着がつかない。すると、その様子を見ていた王倫がふたりの闘いを止めて、青あざの男の正体を尋ねた。

男は自らを青面獣・楊志(せいめんじゅう・ようし)と名乗り、いきさつを語った。彼は役所の仕事をしくじったので身を隠していたのだが、許しが出たので財産を持って東京に帰る途中だった。だが、そこで財産を梁山泊の山賊に奪われたので、取り返しに来たのだという。王倫は、楊志も梁山泊の仲間に引き入れて林冲と競わせていれば自分は安全になると考え、彼を仲間に勧誘するが、楊志は都に帰るといって聞かない。仕方なく、王倫は林冲だけを仲間に引き入れることにしたのだった。

 

14.楊志、宝刀を売り毛なし虎の牛二を殺すこと

東京に戻った楊志は財産を使って役人たちに賄賂を渡し、復職しようとするが、殿帥府太尉・高俅楊志を許さず、追い返す。すっかり持ち金がなくなった楊志は、仕方なく祖先伝来の宝刀を売ることにするが、そこで町のゴロツキ、毛なし虎の牛二(ぎゅうじ)に絡まれる。ケンカの挙句、牛二をぶち殺した楊志は逮捕されてしまうが、根はまじめで良い評判のある男だったので留守司令官の梁中書(りょうちゅうしょ)に気に入られる。

梁中書は楊志を部下にしようとするが、部下である急先鋒・索超(きゅうせんぽう・さくちょう)などと決闘を行うことになる。結局、勝負はうまくつかず、楊志は実力を認められて管軍の役職に就くことになったのだった。

 

15.赤髪鬼劉唐、晁天王に助けられること

ここで話はがらりと変わる。

山東済州で盗賊が出回っていたので、知事は2人の都頭、美髯公・朱仝(びぜんこう・しゅどう)挿翅虎・雷横(そうしこ・らいおう)に警備を強化させていた。ある日、雷王は霊廟で寝ていた不審な大男をとっ捕まえ、その地域の名主である托塔天王・晁蓋(たくとうてんのう・ちょうがい:晁蓋は百八の好漢ではないが、メインの人物のひとりではあるの元に連れて行く。晁蓋は自分を頼ってくる者がいれば悪人だろうと助ける好漢だったので、不審な大男に興味を持ち、ひっそりと話を聞いた。

大男は自らを赤髪鬼・劉唐(せきはつき・りゅうとう)と名乗り、晁蓋に儲け話を持ち掛けるためにここまで旅してきたという。そこで、晁蓋は彼を助けて儲け話を聞くことにした。

劉唐によれば、梁中書という役人が舅の誕生日祝いに大量の金銀財宝を運ぶ算段を立てているという。劉唐の考えによれば、その財宝は人民から奪った不義の金なので、そいつを途中で強奪する計画を持ちかけたのだ(前のエピソードだといい人っぽかった梁中書がじつは悪徳役人だったということだが、これはあくまでも劉唐の想像なんじゃないかと思う)。劉唐は「痛快痛快!」と賛同し、強奪にやる気満々になる。

さてとりあえず助かった劉唐だが、自分をとっ捕まえた雷横が気に喰わない。そこで帰る途中の雷横を追いかけてケンカを吹っ掛けるが、実力が伯仲してなかなか勝負がつかない。そこにいきなり学者風の爺さんが現れ、仲裁を始める。爺さんは智多星・呉用(ちたせい・ごよう)という寺子屋の先生だった。

呉用先生と晁蓋のとりなしでその場を収め、劉唐、晁蓋、呉用の3人は改まって強奪計画を相談する(呉用先生も「もちろん」計画に賛成だった)。しかし、3人だけではさすがに計画はうまくいかないだろうと考え、もう少し仲間を増やそうと考える。そこで、梁山泊の近くで漁師をしている、武芸が達者な 阮(げん)兄弟を仲間に引き込むことを決めるのだった。

 

16.呉学究、 阮氏兄弟を説き、公孫勝馳せ参ずること

呉用先生はさっそく梁山泊のふもとに赴き、立地太歳・阮小二(りっちたいさい・げんしょうじ)短命二郎・阮小五(たんめいじろう・げんしょうご)活閻羅・阮小七(かつえんら・げんしょうしち)の3兄弟を説得し、仲間に引き入れる。

さて、劉唐、晁蓋、呉用に3兄弟を加えた6人で仲良く酒宴をしていると、そこに訪問者が来る。男は入雲龍・公孫勝(にゅううんりゅう・こうそんしょう)と名乗り、彼らの仲間に加わった。作戦会議をする中で、ついでに遊び人の白日鼠・白勝(はくじつそ・はくしょう)も役に立ちそうだということで、その計8人で、略奪計画を実行することを決めるのだった。

 

17.七豪傑、黄泥岡の財をうばい取ること

一方その頃、梁中書は財宝の輸送にあたって、青面獣・楊志を護衛につけることにした。楊志はかなり気をつけていたが、いろいろ横柄な態度を取って部下から反感を買ったこともあり、晁蓋たちの計略によって財宝を盗られてしまうのだった。

梁中書に合わす顔がなくなった楊志はひとりで去っていく。そして、残された部下たちは「楊志が盗賊どもと手を組んで、財宝を奪ったことにしとこうぜ」と口裏を合わせるのだった(どいつもこいつもとんでもない)。

 

18.楊志と魯智深、二竜山をのっとること

やることがなくなった楊志はとりあえず町に降り、酒屋で無銭飲食をしているところで、林冲の弟子だったという操刀鬼・曹正(そうとうき・そうせい)に出会う。楊志はとりあえず梁山泊に向かおうとしていたのだが、それよりも二竜山に巣食っている山賊のほうがいいのではないかと提案する。

「うむ、じゃそこへ行こう」とアッサリ予定変更した楊志がさっそく二竜山に向かうと、山のふもとに魯智深がいた。魯智深は林冲を助けたことが原因で東京を追われることとなり、好漢として有名だった菜園子・張青(さいえんし・ちょうせい)母夜叉・孫二娘(ぼやしゃ・そんじじょう)夫妻に助けてもらったあと、世を忍ぶために二竜山に根城にする山賊の頭・鄧竜(とうりゅう)を頼ろうとしたのだが、ケツの穴の小さい鄧竜は魯智深の入山を断ったため、ムシャクシャしているところだったのである。ケンカをしてからとりあえず仲良くなった2人は、計略を立てて二竜山を乗っ取り、鄧竜をぶち殺して頭を真っ二つに割ることに成功したのだった。

 

19.及時雨宋江、晁蓋に急を知らせること

楊志が裏切って逃亡したというでたらめな報告を受けた梁中書は怒り狂い、楊志の一刻も早い逮捕を部下たちに厳命する。部下はとある筋から白勝をつかまえて拷問し、晁蓋が強奪計画にかかわっていたという情報をつかむ。そこで、部下は現地の県庁に向かい、その日の担当の役人だった及時雨・宋江(ちょうじう・そうこう)に晁蓋逮捕の件を話す。しかし、じつは宋江は晁蓋の無二の友人だったため、こっそり晁蓋にそのことを伝え、逃がすのを手伝ったのだった。

晁蓋、呉用、劉唐、公孫勝は相談し、とりあえず阮3兄弟のところに逃げることを計画するが、そこに美髯公・朱仝、挿翅虎・雷横が主導する役人たちがやってくる。しかし、朱仝、雷横ともに好漢である晁蓋を逃がす手伝いをして、彼らは無事、阮3兄弟と合流することができたのだった。

はるばるやってきた役人は阮3兄弟のところまでやってきて船戦をしかけるが、アッサリ敗北して逃げ出すのだった。

 

20.林冲、王倫をきり晁天王を頭領に推すこと

晁蓋、呉用、劉唐、公孫勝、そして阮3兄弟は梁山泊の見張り役・朱貴に入山の希望を伝え、梁山泊に入り込む。だが、ケツの穴の小さい(この言い方、やたら出てくる)頭領・王倫は林冲のときと同じように彼らの入山を拒んだ。

そこで、7人は林冲と協力し、王倫に襲いかかってその首を切り落とす。そして、新たに晁蓋を梁山泊の頭領にして、雲裏金剛・宋万(うんりこんごう・そうまん)を含め、自分たちは幹部の座に納まるのだった。

一方、晁蓋のことを心配していた宋江は、町中で偶然、劉唐と出会う。劉唐は晁蓋から預かった手紙とお礼の金を宋江に渡すため、危険を顧みずに町までやってきたのである。最初は受け取るのを断る宋江だが、劉唐の熱意に押され、手紙と金を受け取るのだった。

 

21.宋江怒って閻婆惜を殺すこと

手紙を受け取った宋江は早く家に帰ろうとするが、そこで閻のばあさんにつかまる。彼女は金に困っていたところを宋江に助けてもらい、18歳になる娘の閻婆惜(えんばせき)と一緒に宋江の世話になっていたのだ。しかし、閻婆惜のほうは宋江のことを気に入っておらず、もっと若い男と恋仲になっていて、宋江のことを鬱陶しがっていた。

ばあさんにせがまれ、宋江はしかたなく閻家に立ち寄る。しかし、宋江はそこで酒に酔いつぶれ、婆惜に手紙を読まれてしまうのだった。婆惜はその手紙をネタに、宋江をゆすり始める。怒った宋江は婆惜の首を切り落として殺し、殺人者になってしまう。宋江は逮捕されそうになるが、県知事は宋江と仲が良く、彼が良い男であることを知っていたので、たまたまその場にいた唐牛児(とうぎゅうじ)にいっさいの罪をなすりつけて牢屋にぶち込むことにした(カワイソすぎる!)。

しかし、閻のばあさんがいつまでも騒ぐので、そのままにもできない。仕方がないので、県知事、美髯公・朱仝、挿翅虎・雷横は宋江に逮捕状を出しながらも逃がすことにしたのである。とはいえ、これで宋江は役職を失い、弟の鉄扇子・宋清(てっせんし・そうせい)とともに旅に出ざるを得なくなってしまったのだった。

 

22.武松、景陽岡にて虎を退治すること

旅を始めた宋兄弟は、やがて小旋風・柴進のところにたどり着き、かくまってもらう。宋江はそこで、行者・武松(ぎょうじゃ・ぶしょう)と名乗る男と知り合い、義兄弟の誓いを交わすのだった。武松は地元で役人とケンカをして殴り倒し、病気もあって、柴進にかくまってもらっていたのである。

さて、宋江に出会ってすっかり病気もよくなった武松は故郷に帰ろうと旅に出る。途中、虎が出るといううわさの峠に差し掛かったが、すっかり酒を飲みすぎて理性を失っていた武松はひとりで夜の峠に繰り出すと、虎と出会い、素手でその虎をぶち殺す(人間業ではない……)。すっかり県知事に感心された武松はその県の歩兵都頭という就職口を見つけたのだった。それから何日かたち、町中で彼を後ろから呼び止める声があった――。

 

おわりに

 

とりあえず、下巻への引っ張り方がなかなかうまい。そして、書くの疲れた。

続きはこちら。

 今回はこんなところで。

それではお粗末さまでした。