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本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

菊川玲さんは発達障害じゃないのか問題~発達障害は緩和できるヨ~

その他

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私は毎朝、だいたい7:30くらいに起きて、8:30くらいに家を出る。

もくじ

んで、テレビをザッピングしてニュースをチェックしているのだが、8:00になるとフジテレビで特ダネが始まる。特ダネは大きなニュースがない場合、番組冒頭で、海外などで起きたちょっと変わった事件を紹介するのだが、そこでけっこう菊川玲さんがおヅラ小倉さんの話に対して頓珍漢な受け答えをしているのが前々からひっかかっていた。

んで、とくに「これ!」というきっかけがあったわけではないのだが、私は今日、番組を見ていてふと「菊川玲さんってアスペルガー症候群なのかもしれない」と思ってしまった。菊川さんは2012年からこの番組のMCを務めているらしいので、今年でもう4年目になるのだが、会話を聞いているとちょいちょい「え、小倉さんが言いたいのはそういうことじゃないでしょ?」と首をかしげてしまう受け答えをしているのが、改めて気になったのだ。

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群発達障害と混同されがちだが、アスペルガー症候群発達障害のひとつである。具体的には

・思ったことをそのまま言葉にしてしまう

・相手の反応や状況を察することができない

・発言が一方的

・言葉の裏の意味や曖昧な表現がわからない

などが特徴であるようだ。もちろん、これは知性とは関係ない。実際、菊川さんは東京大学工学部建築学科を卒業している。頭の出来は間違いなく素晴らしいのだ。単に、コミュニケーション能力が壊滅的にダメなだけだ。これがもしかしたら、発達障害のひとつ、アスペルガー症候群だからなのかもしれないのである。

ただし、アスペルガー症候群をはじめとした発達障害の判別は医者であっても非常に難しく、個人差があるため、基本的に断定は避ける傾向がある。以下、少し引用しよう。(太字は徒花)

特徴に濃淡があるのが発達障害の特徴です。つまり、ADHD自閉症スペクトラムアスペルガー症候群よくある特徴のすべてに適合する人はおらず、部分的に当てはまる人たちがほとんどです。例えば、発達障害に含まれる自閉症スペクトラムスペクトラムとは虹色のように段階的に存在するという意味です。

また特徴の濃淡も一軸(一つの特性の濃淡)ではなく、複数の特徴が濃く出たり薄く出たり、一部の特徴は非常に濃くでて、他の特徴はうっすらとしか出ていないなどの場合があります。このため、場合によっては○○には当てはまるけれども、△△には当てはまらないから、自分は発達障害ではないなどの自己判断をする方もいますが、やや偏った結論といえます。あくまで診断は複数の基準による総合的な評価を専門家である医師がするため、多くの項目が当てはまらなくても診断を受けるケースは多くあります

また環境や状況によっても特徴が出やすかったり出にくかったりします。家庭で日常生活をおくるには障害の診断を受けなくても問題ないが、同じ人でも仕事場や就職の場では困難さが強く出ることがあり、その際は診断につながるケースが多くあります。

大人の発達障害 : 発達障害とは - 株式会社Kaien

思うに、菊川さんは高いコミュニケーション能力(臨機応変な対応、適切な言葉遣い、場の空気を読む力など)が必要とされるテレビ番組(とくに生放送)などへの出演はあまり向いていないのではないかと思う。東大出の美人というスペックはたしかにテレビ映えするが、あまりコミュニケーション能力を必要としない研究職などに専心していたほうが、もっとめざましい功績を残せていたんじゃないだろうか、と。

私はかつてADHDだった(のかもしれない)

じつは、私がこのように思ったのは、過去に私も「おまえは発達障害に違いない」と断言されたことがあるからだ。言ったのは私が以前勤めていた会社の社長である。その言葉通り、入社してから1年くらい、私はどうしようもないポンコツ社員で、とにかく仕事ができなかった。

本の編集者というのは、芸能人ほどではないだろうが、そこそこ高いコミュニケーション能力を要する仕事である。著者、ライター、デザイナー、イラストレーター、カメラマン、印刷会社の人など、本作りに必要な人々の間に立ってスケジュール通りに進行させるディレクション業務だからだ。

今になって思い返せば、当時の私はとくに、アスペルガー症候群のほかに、発達障害のうちのADHDに該当していたのではないかと思う。これは「注意欠如多動性障害」とよばれるもので、以下のようなものが特徴としてある。

・気が散りやすく、注意力が持続しない

・ルールが守れない

・失くし物や忘れ物が多い

・事前によく考えて行動できない

編集者はマルチタスク――すなわち、いくつかの仕事を同時並行に進めていかなければならないのだが、私の場合、やらなければならないことが多くなると優先順位をうまくつけることができなかった。しかも注意力が散漫なので、いろいろな仕事にちょっとずつ手をつけて、結局どの仕事も全然終わらない。そのうえ、ポカ・ミスもよくする。これでは仕事がうまくできるはずもなかった。

発達障害は治すことができない?

上で述べたように、まず発達障害は診断が非常に難しい。そのうえ、明確な治療法も確立されていないのだ。一応、治療法としては薬物療法「生活療法」のふたつがあるらしいが、次のような解説もある。

どちらの治療法にせよ、現在のところ発達障害を根本的に「治す」ことはできません。発達障害の特性とは、その人が生まれもった「ものの感じ方・考え方・行動の仕方」と深く結びついていて、それを根本的に変えることはできないからです。

従って「治療」のめざすところは、生活上の不適応を軽減し、「発達障害」を発達の「凸凹」の範囲に収められるような方策を見つけることになります。そのためには、なぜ不適応が生じているのか(発達障害の特性そのものか/二次的な要因によるものか/周囲の環境によるものか など)を検討し、どうすれば不適応を減らせるかを様々なアプローチ(症状を緩和させる/対処法を身につける/環境を変える/周囲の人にサポートを求める など)で探っていくことになります。その上で安定的な「居場所」と「役割(仕事)」を見つけることが目標となりますが、その際にはさまざまな支援機関を活用することも可能です。

診断と治療|大人の発達障害|NHK福祉ポータル ハートネット

つまり、発達障害を根本的に治療することはできないので、日常生活(仕事など)に支障をきたさない程度に症状を抑えることしかできない、というわけだ。実際、私も現在では一応、編集者として仕事に支障をきたさない程度に症状は治まっている。その治療法は、おそらく後者の「生活療法」だったのだろう。

生活療法は薬などを使わず、日常的なトレーニングによって症状を緩和させていく方法のことだ。極端なことを言えば、「自分は発達障害である」と認識することが治療の第一歩といえる。そうすると、たとえば「私はADHDだから、仕事をするときにはミスをしないように人一倍気をつけなければならない」という意識が働くようになり、それが習慣化することによって実際にミスを減らしていける……というわけである。

「おまえは発達障害だ」といわれた幸運

私を「発達障害だ」と断定した当時の社長は、人間的にはとても尊敬できない人物ではあった。だが、社長が以前に発達障害をテーマにした本を作った経験があり、関連する知識を有していたのが、私にとっては幸運であった。

既に述べた通り、発達障害を克服するためのキーのひとつは、本人が「自分は発達障害なのかもしれない」と認識することにある。多くの人が発達障害でいつまでも苦しんでしまうのは、この社長のように「おまえは発達障害だ」と断言する人が滅多にいない、というのも原因にあるのではないかと思う。

そもそも、世の中には「発達障害」を知らない人も多いので、もしこの社長が発達障害に関する知識を有していなかったら、仕事のできない私を見て「おまえはこの仕事に向いていない。ほかの業界に転職しろ(ウチをやめろ)」と言っていたかもしれないのだ。そうすれば、いまの私はなかっただろう。

私が発達障害を克服した方法

ライター専門職に限定され、誤字脱字を厳しくチェック

さて、私が発達障害に違いないと判断した社長は、次のような指令を出した。

おまえに編集業務は無理だ。しかし、文章はそこそこうまいし、書くのも早いから、とりあえずライター専門職としてひたすら原稿を書く仕事をしろ。そうすれば、やることが多すぎて混乱することはなくなるだろう」

というわけで、私はそれから1年くらい、ひたすら雑誌や本の原稿を書きまくっていた。

しかし、原稿執筆でも私はミスをする。とにかく、変換ミスや誤字脱字が多いのだ。そこで、社長はそういったミスを発見すると烈火のごとく怒った。変換ミスが1か所でもあると、そこで読むのをやめて原稿を私にたたき返す。これにより、私は「ヤバい。絶対に誤字脱字はしないように、書き終わったら自分で読みなおそう。1回読み直すだけじゃ自分は見落とすから、社長に見える前に、時間をおいて3回は見直そう」という意識を持つようになった。これにより、徐々に誤変換や誤字脱字は減っていった。

※しかし、いまだに誤変換、誤字脱字はたまにやる。とくに、本ブログのようにチェックしてくれる人がいないと多くなりがち。気をつけよう。

少しずつ編集の仕事を手伝わされる

さて、原稿書きがまともにできるようになってくると、私はほかの先輩方から編集の仕事のサポートを依頼されるようになった。私がよくミスをするのは周知なので、あくまで最終チェックはすべて先輩がやるのだが、少しずつ編集業務にも参戦できるようになったのだ。しかし、これは社長が意図したことではなかったらしい。のちのち、社長は次のように言っていた。

「正直、ほかの人間がお前に編集を手伝わせるのを自分は止めようと思った。でも、よくよく仕事ぶりを見ていると、なんだかんだ問題なく仕事ができているようだったから見逃していた」

実際、私の会社はつねに人手不足で、猫の手も借りたいほど忙しかった。だから、社長の意図とは別に、自分の仕事を少しでも手伝わせようと先輩たちが勝手に私を使っていたのだが、これがまた良かったのである。

ひとりで編集作業を任される

さて、私がかつていた会社は人の入れ替わりが激しく、3年くらい働いて仕事がひとりでできるようになると、先輩たちはどんどん辞めていった。入社して2年目くらいになると、いつのまにか私は社内で古株になり、後輩のほうが多くなっていたのだ。

となると、さすがに後輩のサポートばかりをやらせるわけにもいかない(というか、そんな余裕は会社にない)。そこで、私はいよいよライターとしてではなく、編集者として本作りを任されるようになった。はじめは社長も心配だったようだが、そのころになると私のADHD的な症状はだいぶ緩和され、2年前と比べると段違いに要領よく仕事ができるようになっていた。

私はそのころから、社長の指示もあって、必ず朝にToDoリストを作るようになっていた。書いておかないと、今日中にやらなければならないことを忘れたり、優先順位をつけられなくなるからだ。ToDoリストは付箋にひとつずつ書く。そしてそれをパソコンの画面に貼っておくのだ。メモ帳などに書くと私は絶対に見るのを忘れるので、それを防ぐためである。そして、ひとつの仕事をやり終わると付箋を外して進捗具合が一目でわかるようにした。

3年たち、転職

やがて編集者として1年仕事をやり、入社してから3年がたったころ、一通りの仕事をすべて自分だけでできるようになった私は、社長に辞意を伝えた。仕事をしながら転職活動を行い、いまの会社に内定も決まっていた。最後に、社長と一緒にランチに行き、そこで言われたことはいまでも覚えている。

「おれはいままでいろいろな人間に仕事を教えてきたが、たぶん、おまえはこれまで育ててきた中で一番成長した人間だ。いまのおまえなら、とりあえずどこに行っても通用するだろう」

社長は、人間としては本当に尊敬できない狂人だったが、社会人として、そして編集者の師としてはいまでも頭が上がらない。私はまだ編集者として、研鑽している日々である。

おわりに

さて、ここまで読んでくださった方には理解していただけると思うが、冒頭でダシに使った菊川氏について、私は誹謗中傷するつもりは毛頭ない。もちろん、彼女が発達障害だと断定もできない。だが、もし彼女が本当に発達障害で、本人も周囲の人間もそれに気付いていないのだとしたら、それはもしかしたら彼女にとっては不幸なことなのかもしれないと思った次第である。私がそうであったように、発達障害の症状を緩和させるためには本人の自覚と、それをサポートする周囲の協力が不可欠なのだ。

そして、同時に社長のことも思い出したので、書いておこうと思った。発達障害などについては、以下の本が読みやすくて、理解しやすいのでおススメしておこう。

ぼくはアスペルガー症候群

ぼくはアスペルガー症候群

 

なお、前の会社の社長はたまに名言を吐くのだが、今回はそんな社長が放った名言のひとつで締めくくろう。

「人間は大学生まで猿だ。社会に出てやっと“人間”になる」

 

それでは、お粗末さまでした。

 

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