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本で死ぬ

基本的には本の話。でもたまに別の話。

『ロブスター』のレビュー~5月病になりそうだったらレイトショーに行こう~

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久しぶりにミニシアターのレイトショーに行ってきた。

もくじ

ミニシアターの魅力は「非日常感」じゃないだろうか。深夜、狭くてレトロちっくで、どこかアングラな雰囲気を漂わせている空間に入り、なんだかよくわからない映画をよくわからないまま見る行為は、日常とはちょっと違う世界に迷い込んだような気分になれる。これは、シネコンではなかなか味わえない。

それと、ミニシアターは「お一人様」が多いので、ひとりでふらりと入っていきやすい。むしろ、平日の深夜にふらっとミニシアターに行くとか、いかにも「通」っぽい! もしかすると、そこから始まるロマンスだってあるかもしれない!(徒花は経験がないが)

鬱々したら仕事帰りにミニシアターへ行こう

徒花がミニシアターに行くのは、どうにもアンニュイで気分が沈みがちなときだ。誰しもそういう気分になることがあると思うが、個人的には、そうなったら仕事終わりにふらっとミニシアターにいけばいいと思う。とりあえず、2時間くらいは俗世間のことを忘れていい感じにトリップできる

もしくは、Peatixというイベントサイトでテキトーに検索して、その日に開催されているイベントに飛び込みで参加するのもいい。これは、気軽に参加できそうなイベントがその日にあるかどうかわからないので運次第だが……。

個人的な経験上、アンニュイで鬱々とした気分は「自分が普段行かない場所に行く」ことで解消されることが多い。誰も自分の素性を知らないところにいき、知らない人同士で時間を共有するという体験は、日常生活のわずらわしさから心を開放してくれる。いろいろなしがらみからちょっとだけ抜け出せるのだ。

これは、もしかすると、海外旅行に行く感覚に近いかもしれない。海外旅行よりも手軽に「非日常感」を味わえる空間のひとつが、きっとミニシアターなのだ。(ただし、徒花は海外旅行に行ったことがないので、この例えがどれだけ的を射ているのかは判然としないが)

これからは5月病に罹患する人がいるかもしれないが、気分がへこんだらミニシアターに行こう。地方に住んでいて近所にミニシアターがないよ、という人は知らん。自分でなんとかしてくれ。

新宿はミニシアターが多い

さて、先日行ってきたのは新宿東口と南口の間あたりにある新宿シネマカリテ。欧州のオサレ系映画とか、マイナーな邦画をよく上映している。

個人的にはあの成海璃子ちゃんがぜんぜんイメージできない濡れ場を演じているという邦画無伴奏が気になったのだが、上映時間の都合がつかないので、『ロブスター』という映画を鑑賞。21時過ぎ上映スタートで、見終わったのは23時過ぎだった。


新宿駅東口のあたりにはけっこうミニシアターが密集していて、シネマカリテのほかに新宿武蔵野館とかK's cinemaとかがある。こちらの2つは行ったことがないので、今度暇ができたら行ってみようと思う。

また、新宿ではないが、下北沢にあるミニシアター・トリウッドは有名かもしれない。こちらはマイナーなアニメ作品を上映していることが多く、いつだったか忘れたが、新海誠作品を一気に上映していたことがあったので、それを鑑賞しに行ったことがある。

さらに、京王線の下高井戸駅のすぐそばには、そのまんまの名前で下高井戸シネマというミニシアターもある。こちらも行ったことはないのだが、京王線ユーザーであるうちに一度は行っておきたいなぁと思っている。

下高井戸シネマ

『ロブスター』について

さて、今回鑑賞したのはこちらの映画。

あらすじ:

独身者は身柄を確保されてホテルに送り込まれ、そこで45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられて森に放たれるという近未来。独り身のデビッドもホテルへと送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにし、ほどなくして独り者たちが隠れ住む森へと逃げ出す。デビッドはそこで恋に落ちるが、それは独り者たちのルールに違反する行為だった。

ロブスター : 作品情報 - 映画.comより

監督はギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス氏。おっぱいは出てこないが、あからさまなセックスシーンがあるためか、映倫区分はR15+となっている。基本的にグロはないけれど、犬好きの人にはちょっと刺激が強すぎるシーンがあるのご用心。

映画の感想

舞台は近未来で、人間をさまざまな動物に変える技術はあるらしいが、劇中でSFっぽさはまったくない。「近未来おとぎ話」とでも表現したほうが的確だろうか。ただ、動物に変えられた人間の成れの果てなのだろう、ヨーロッパ風の森の中でフラミンゴとかラクダとか、違和感しかない動物たちがフラフラしている映像はなんともシュールだった。

前半は「かならずパートナーがいなければならない」社会が舞台で、主人公のデビッドはパートナーが見つけられず、独り身として生きるべく森の中に逃げ込む。すると、後半は「パートナーをつくってはいけない」というルールがある森の中の社会が舞台となるのだが、そうするとデビッドは好きな女性ができて彼女と結ばれたいと望むようになるのだ。

最終的にそうした社会の狭間でデビッドがどういう道を進むのかは映画を見ていただきたいが、そこはいかにもヨーロッパの映画らしく、あんまりはっきりとした結末にはならないのでご注意を。

細かいところを見ていけばツッコミどころ満載なので無視するが、前半は意外とコミカルな部分が多くておもしろい。反面、後半になるとシリアス度が増して、ちょっとダレる。上映時間は118分なので決して長い映画ではないのだが、中盤以降は「この先どうなるんだろう?」的なわくわく感がちょっと損なわれて、長く感じた。

まあ、暇なら見てみるのも悪くないかもしれない。ただ、ひとりで見たほうが楽しめるとは思う(というか、ミニシアター系の作品はひとりで見たほうがいい作品のほうが多い)

おわりに

本作のタイトルの由来は、主人公が「もし動物に変わるならロブスターになりたい」といったからだ。その理由はどう考えてもすんごく消極的な理由なのだが、しかし、この言葉をタイトルに持ってくるとおり、「ロブスターになりたい」という彼の言葉にこそ、確固たるポリシーも持たず、流されるがままに生きる主人公・デビッドの人物像が集約されているのかもしれない。

つまり、本作は不条理なルールを敷く社会を風刺しているというよりも、そうした社会のルールをとりあえず守って「自分の中に軸を持たずに流されるがままに暮らしている人」を嘲笑している映画なのかもしれない。ここら辺の考察は、もっと映画に詳しい人に任せよう。

ちなみに、徒花は動物に返信するとしたらハヤブサになりたい。なにしろ、地球上で一番早く空を飛べる(らしい)生き物なのだ。かっこいい!

今回はこんなところで。

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それでは、お粗末さまでした。