本で死ぬ ver2.0

基本的には本の話。でもたまに別の話。

喪服を買うか、レンタルするか、それが問題だ

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正月、実家に帰省したとき、母親から「礼服(喪服)を買っておけ」との指令が下った。

もくじ

私の祖父母は4人中すでに3人死んでいて、残った祖母も脳梗塞を一回やらかしているので、事実上の要介護状態にある。正月に1年ぶりくらいに会ったが、ろくに話そうともせず、食べ物も食べようとしない。髪の毛はぼさぼさで、目に力がない。忌憚なく申し上げると、私の目には彼女はすでに「生きる意欲」が失われているように映った。たしかに、死期は近そうである。
というわけで、もうそろそろ、いつなんどき葬式になるかわからないので、礼服を準備しておけ、というのが賢母の適切な指示であった。

その場では「へい」と答えた私だが、さていざ買おうかと考えると、「本当に礼服なんて購入する必要があるのだろうか?」という思いがしてくる。というわけで、いろいろ調べてみた。(徒花は男なので、基本的に以下の話は男性の礼服の話になる)

黒のスーツは喪服の代わりになるのか?

まずそもそもの話として、いちいち礼服なんて買う必要があるのだろうか。「黒っぽいスーツでいいんじゃないの?」という疑問が浮かぶ。黒っぽいスーツなら私も持ってる。それでいいじゃん?
と思って調べてみると、見る人が見れば、やっぱり礼服じゃないのはわかるらしい。一見すれば黒いスーツも、「本当に真っ黒」なものは少なく、光沢が出る加工が施されていたりするため、明るい屋外などに出ると、周りがちゃんとした礼服を着ているなかでは浮いてしまうのだそうだ。

もちろん、それでなにか困るわけではない。ただ、うるさい親戚のババアから嫌味を言われ、口を出さない周囲の人からも「常識がないやつだな」と思われ、自分と両親が恥をかくだけである。だから、そういうのをまったく気にしない人は、そもそも礼服なんて購入する必要はない。むしろ、勇気があるならアロハシャツで葬式に参列したって、非難ごうごうになるかもしれないが、べつに法律違反ではないわけだ。私はそこまで礼服を着ないことにプライドはないので、とりあえず礼服で参列する方向性にしておく。

あと、細かいところを言うと、「ステッチの有無」も礼服と普通のスーツを分けるポイントだとか。要は、「縫い目が外から見えるか」ということだ。とくにジャケットの襟元部分にステッチが入っているのは、まず礼服ではあり得ないという。

それから「ベントの有無」。ベントというのはジャケットの裾の切れ込みのことだ。後ろにひとつだけ入っていたり、両サイドにひとつずつはいっているパターンがあるが、礼服の場合、このベントがないのが正式であるらしい。(追記:ただし、最近では喪服でもベントが入っていたり、普通のスーツでもノーベントのデザインのものがあったりするからややこしや)

喪服っていくら位?

さあ、ちゃんと喪服を着る方向性で固まったので、次に気になるのが「値段」だ。どうせ一生に数回しか着ないものなんだから、できるだけ安いものを選びたい。まずはメジャーなブランドをチェック。と、その前に、かの有名なITコンサルタント・永江一石氏は次のように指摘している。

どういうことか端的にいうと、「ネットで価格を調べないでいきなり店舗に行くとぼったくられるよ!!」ということだ。これは喪服のみならず、モノを買うときに忘れてはいけないことである。まずはネットで市場価格がいくらくらいなのか調べる癖はつけておいたほうがいいだろう。サイズがどうしても心配な場合、まずは店舗で採寸を測ってもらい、それをメモしておけばよい。

そのまえに、自分のサイズの測り方

ともあれ、まずは自分の体にフィットしたスーツを選ぶために、スーツの採寸の取り方を学ばねばならない。AOYAMAのサイトにその説明があった。

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サイズ表【AOKI公式通販】スーツ・礼服・レディーススーツ・レディースフォーマル通販より

スーツのサイズはアルファベットと数字の組み合わせで表現される。アルファベットは「体型」、そして数字は「身長」だ。これはJIS規格で定められているので、どのスーツ店でも同じ。

【ガリ】 Y ← A ← AB ⇔ BB → E → K 【デブ】

【チビ】 3 ← 4 ← 5 ← 6 → 7 → 8 → 9 【ノッポ】

ちなみに、身長は知っているだろうが、体型の測り方は基本的には胴囲(ウエスト)であるようだ。徒花の場合、身長と体重から割り出したら着るべきスーツのサイズは「Y5」だった。サイズの測り方について、くわしくはこちらのサイトも参照のこと。

サイズの測り方・スーツの選び方/型について/サイズ表 |フォーマル専門店ノービアノービオ

ウエストを測るときはベルトの5cm上くらいを。また、ズボンの裾上げが必要な人は股下のサイズをチェックするのを忘れないようにしなければならない。それから、ネットショップで調べるときはそれがジャケットだけの価格ではないか、きちんとチェックするのを忘れないように! ズボンは別売りとなったら泣ける。では以下、個別に見ていこう。

洋服の青山

一番安いものだと税抜き19,000円(税込み20,520円)。しっかり「Web価格」と書いているので、店頭だともっと高いのだろう。ただし、YA体(スリムと標準の間の型か?)は私がチェックしたときには在庫がなく、購入できない。

送料は「期間限定」で無料とある。裾上げはやってもらう場合は500円(ダブルは600円)かかるが、無料で同梱されている「裾上げテープ」を使って自分で裾上げを行えば追加料金はかからない。うまくできるかはわからないが・・・・・・。

お直し/ネーム入れについて | 洋服の青山オンラインストア【公式通販】スーツ・フォーマル・アウトレット

●AOKI

青山よりも種類が少ない。そして、一番安いもので税抜き23,000円(税込み24,840円)! 裾上げは500円(ダブルは600円)とのこと。送料は「いまだけ無料」と書かれていて、いつまで無料なのかはよくわからない。青山といい、この「いまだけお得ですよ」感を煽るやり方はどうも古臭く見える。

ためしにカートに入れてみると、「試着申し込み手続き」のボタンがある。購入したいスーツの試着を店舗で予約できるようだ。ただし、これを利用するには会員登録が必要で、住所や電話番号などを細かく入力しなければならないので面倒くさい。しかし悪いところばかりではない。AOKIの場合はY(スリム型)の品揃えがよく、徒花の希望するY5のサイズもしっかり在庫があるようだ。この辺りは評価できる。

●コナカ

一番安いものは青山と同じく税抜き19,000円(税込み20,520円)。ただし、やっぱりYのサイズがどれもない!! 安いところは標準サイズの体型サイズしか取り扱っていないようだ……。コナカの場合、「全品送料無料」と期間を書いていないので、青山やAOKIよりも清清しい。また、裾上げの値段も上記2社よりもちょっぴりお安い420円となっていた。

●SUIT SELECT

一番安いのは税抜き18,000円(税込み19,440円)と、意外にも低価格。しかし残念ながら、徒花が希望するY5のサイズだけがなぜか品切れとなっていた・・・・・・。みんなこのくらいのサイズを購入するのだろうか? しかし、それ以外は在庫があるようだった。しかも、股下サイズ直し(これはたぶん裾上げのことだと思うのだが、実際に注文するときには問い合わせて確認したほうが無難だろう)が無料である。割と良心的なのではなかろうか。

あ、ちなみにTHE SUIT COMPANYは高かったのでパス。というわけで、次はネットショップの値段を比較していこう。

●MONOIR

まずはサイトで「日本最大級の喪服通販サイト」と謳っているMONOIR(モノワール)をチェック。ここでもやっぱり一番安いのは税抜き19,000円。とくに大手のスーツショップと値段的には変わらないのでガッカリ。しかも裾上げサービスは実施していないので、近所の100均で裾上げようのテープを買ってきて自分でやってくれというスタンスらしい。

よくあるご質問|MONOIR 喪服・礼服・ブラックフォーマルのモノワール

ただし、ちょっと評価できるのはAmazonに出店してる点。つまり、Amazonのアカウントを持っていれば、いちいち住所とかをこのサイトに入力しなくても購入できるのだ。これでAmazonのポイントがガッツリ付与されれば万々歳なのだが・・・・・・残念ながらスーツを購入してもたったの1ポイントしか付与されない。ケチ。

●meisin

と思ったところ、「そもそも最初からAmazonで探せばもっと安い喪服が手に入るんじゃないか?」と考えた。んで、探してみたら見つけたのがこちら。

驚くなかれ、なんと価格は税込み9,700円である! ほかのブランドで買うより1万円も安い! しかも通常配送なら配送料無料!! しかも、Amazonのポイントがしっかり1%分(97ポイント)付与される!!! meisinというのはなんなんだと思って調べたが、この会社なのではないかと行き着いたのが下。

株式会社 名紳

ただ、本当にこの会社なのか、Amazonのサイトを見る限りは裏付けるものがないのでわからない。もう少し販売元がどういうとこか説明してくれれば、安心できそうなものなのだがそこがもったいない。しかも、やはりY5のサイズはなかった……。裾上げサービスもないので、これも自分で裾上げをするやつだ。

●Le orme

こちらはさらに税込み9,400円と破格の値段(ただし、関東への配送料としてプラス540円が加算される)。しかししかし、やはりY5サイズはなし!!! 当然、裾上げは自分で行うタイプ。そしてAmazonのポイントもつかない・・・・・・。そして、Le ormeというのもネットで検索したがどこのどういう会社orブランドなのかよくわからなかった。これであれば、meisinのほうがまだいいんじゃないだろうか。

そもそもレンタルでいいんじゃないか?

いくら喪服そのものが安くとも、購入したらクリーニングに出したり、皴ができないようにちゃんと管理したり、虫に食われないように防虫剤を置くなど、管理が大変だ。なにより時代はシェアである。ということで、あえて購入せず、必要なときだけレンタルして済ませるほうがスマートなのではないかと思った。Y5サイズも安いもので見つからないしね。

「喪服 レンタル」で検索すると、次々と候補が出てくる。それでは以下、また個別に見ていこう。

●礼服レンタル.com

シンプルな名前のこちらから。ズボンとジャケットはもちろん、ワイシャツ、ネクタイ、サスペンダーなどがついた8点セットで税込み5,800円。関東地方に在住なら、16時までに注文すれば翌日の14時以降には届けてくれる。ふくさと数珠のセットはプラス500円。また、飲み物をこぼしたり破れてしまった場合の保証代は500円となっている。送料は無料で、メールフォームはもちろん、電話でも受け付けてくれるし、当然ながらクレジットで支払える。便利な世の中や。

レンタル期間は3泊4日で、延長は1日当たり1,000円。荷物にヤマト運輸ゆうパックの着払い伝票が入っているので、それを使って4日目までに返却手続きをすればOKだ。

●京都かしいしょう

こちらは4,800円で、靴下やシャツ、ベルトなどの「オプションフルセット」は1,000円となっている。数珠とふくさのオプションは500円と、だいたい礼服レンタル.comと同じ価格設定だ。ただし、こちらは楽天市場内のネットショップなので、楽天のクレジットカードで支払えばその分ポイントがゲットできる。こちらは15時までに注文が完了すれば、関東地方であれば翌日の午前中には届く早さもウリだ。ただし、クリーニング代などの保障する「あんしんパック」は1,000円とちと高い。っていうか結局、セットにすると「礼服レンタル.com」と同じ価格になる。

レンタル期間は最長3泊4日で、返却方法はゆうパックで、こちらも着払い伝票が同封されてる。ちなみに、ゆうパックの場合はローソンかミニストップで受け付けてくれる。

あとは列挙

ざっと探してみたが、ネットレンタルの場合、どこも料金やサービス内容には大差がない。以下、他に見つけたものをざっと列挙していく。

ちなみに、以下のARKだけちょっと高い。

まとめ

いろいろ細かく上げていったので、最後にまとめておこう。

普通のスーツ店のネットショップ:19,000円くらい

Amazonのショップ:10,000円くらい

ネットレンタル:5,000円くらい

とにかく安く済ませたいならネットレンタル一択だろう。管理の手間もかからないし。しかし、期間が長めになりそうだったり、今後も頻繁に使いそうであるなら、Amazonのショップのほうがお得かも。値段を考えるのであればスーツ店のネットショップは使う意味がない。「実店舗がある」というのが彼らの強みなのだから、いくらネット上で少し割引されていたとしても、それだったらもっと安いところを利用したほうがいいはずだ。

おわりに

いろいろ考えた末、徒花はレンタルを利用してみることにした。というわけで、「買わない」。もちろん、もう少し年齢が高くなったらそれなりのブランドのものを一着くらいは持っておいたほうがいいのかもしれないが、まだ20代だから許されるはず!

 

それでは、お粗末さまでした。